転び麻呂???





 オレの中で、忌々しい思い出がある。
 あの都の貴族だ。
 いつも難癖つける嫌な奴で。
 後白河院の腰巾着なア・イ・ツ!
 今までは、大人の態度で流してきたけど。
 忘れもしない、春の神泉苑で。
 あいつの所為でちゃんが、龍神への
 奉納舞を舞うことになった。
 そして───

「俺の許婚です!」
 九郎の許婚となった瞬間。

「ふぅ〜。オレも嘘だってわかってたのにね・・・・・・」
 胸がちくちくと痛くて。
 息もぴったりなんて言ってみたり。

「熊野でも邪魔してくれたよな・・・・・・」
 本宮へ行く際に、足止めされた。
 もっとも、法皇一行も怨霊の所為で足止めにあって
いたのだが。

 道端で会えば嫌味を言われるし。
 普段、人の役に立っているのか?といえば。
 貴族という血筋だけで、のほほんと暮らしているだけ。

「でもま〜、あの転び麻呂のおかげでオレも変ろうと思え
たわけだしね・・・・・・」
 に近づきたくて。
 すぐに諦める事をやめた。
 の傍に居たいから。
 笛を習ったり、発明も役に立つものはないかと考えている。

「変れるきっかけってさ。ちゃんと出会って、いいな〜
好きだな〜と思って変ろうと思ったのもあるんだけどさ。逆に
貶されて今のままじゃ駄目だって思い知らされた時も、そう
なんだって知ったんだよね〜」
 チョビの頭を指でぐりぐりする。

「さて!あと少しで仕事終らせるから。チョビはちゃんの
ところへ先に帰ってもいいよ?」
 チョビは、迷っているようだった。
「お前、モモちゃんに会いたいだろう?」
 さらに迷っていたようだが、ひらりと景時の肩に乗る。
「・・・・・・何?オレと一緒でいいの?」
 頷くチョビ。
「もしかして・・・お前モモちゃんに告白済み?」
 照れつつも頷くチョビ。
「・・・早っ!積極的だね〜チョビは。じゃ、早いとこ終らせて、
急いで帰ろうな」
 
 

 愛しいあの娘が待つ家に───





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≪遙かなるお題配布所≫からお題拝借。お題元はコチラからどうぞ。

 あとがき:チョビと景時の語らい(笑)チョビとモモちゃんも恋仲なのでしたv 
         やる気のきっかけは色々なパターンがあるなと。怒りもパワーになる場合ありますよね?     (2005.3.15サイト掲載)




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