小さな白い龍





「白龍はさ〜、ちゃんと一緒に居たいんだよね?」
 景時の自室の前の階に腰掛けている白龍と景時。
「うん!私は、私の神子を守る」
「・・・だよね〜〜〜」
 この白龍、発言こそは幼いままだが、身体は大きい。
 小さくなる時もあるのだが、龍神の力が戻りつつある所為か、大きい姿が
楽らしく、最近ではこの姿が多い。
 の一番近くにいる者。それは朔なのだが、次といえば───
「白龍はさ、この戦いが全部終って。五行の乱れも元通りになったら・・・」
「うん!嬉しい。そうしたら、本当に私の神子を守れる!」
 無邪気な笑顔で答える白龍。
(だよな〜、そうなんだよ・・・・・・)
 白龍の神子はなのだ。永遠のおまけというべきか?
「もしも、もしもだよ?ちゃんがね、誰かのお嫁さんになったらどうする?」
 ずっと気になっていた疑問をぶつけてみる。
 白龍は、きょとんとして首を傾げながら考えている。
「神子・・・お嫁さん?誰の?」
「た、例えばってことだから!誰のっていう話じゃないんだよ?」
 白龍にまでいいツッコミをされる景時。
(・・・・・・知っててってわけでもなさそうだけどさ)
 相手は一応神様である。侮る無かれといったところだろう。
「神子が望むなら。見守る!」
 質問の仕方が悪かったと、景時は考えをめぐらす。
 見守るというのは、どうにでもとれる。
「じゃあさ、ちゃんが元の世界へ帰ったら白龍はどうするの?」
 またもや首を傾げて考え始める白龍。
「神子が望むままに。見守る!」
 溜息をつく景時。
「じゃあさ、白龍の言う『見守る』って何?」
 白龍が即座に答えた。
「見続ける事。あるがままに、逆らわないこと。私は流れを見続ける・・・・・・」
「そ、そうなの・・・・・・」
 何となく話がかみ合っているような、いないようなまま時を過ごした。



「白龍〜おやつだよ〜〜」
 が白龍を探す声がする。
「神子!」
 白龍の姿が小さくなる。
「こんな所に居たんだ〜、探したよ」
 が白龍を抱き上げる。
「うん!景時に遊んでもらった!」
「よかったね、白龍。景時さんも、おやつ食べませんか?」
 がきらきらの笑顔で言う。
「え?オレの分もあるの?」
「はい!今日は、私が作ったんですよ〜。パンケーキなの!」
「ふ〜ん、楽しみだね」
 の後をついて歩く景時。
ちゃんの手料理・・・だよなぁ・・・・・・)
 鼻の下も伸びきり、少々油断していた景時。
「今日は何して遊んだの?」
 が白龍に話しかける。
「あのね、神子がお嫁・・・・・・」
 素早く景時が白龍をの腕から奪い、口を塞ぐ。
「いや〜、色々おしゃべりしたんだよな!白龍」
 片腕で抱きかかえると、白龍の口から手を離す。
(いきなりソコだけを話すなよ〜〜〜)
 景時の背中は、もう汗だくだ。
「ぷはぁ〜〜〜」
 白龍が大きく息を吐く。景時の事情など、知る由も無い。
「白龍?」
「神子がお嫁さんになっても見守る!!!」
 元気に白龍が宣言した。
「そ、そ、そんな話したの〜?」
 が両頬に手をあて、照れる。
「うん!景時も見守るんだよね?」
 白龍に話をふられ、またもや背中を汗が伝う景時。
「や、いや〜。そ、そうできれば、いいなぁ〜。なんちゃって!」
 そんな返事をした覚えはないが、一応話を合わせておく。
「そうなんですか?」
 が景時をじっと見上げる。
「え?いや、そのぅ・・・・・・迷惑とか?」
 頭を掻きながら、ようやく言葉を紡ぐ景時。
「・・・・・・そうじゃないですよ」
 は良い方に考えていいのか、単に妹分なのか判断しかねた。
「早くおやつ食べないと冷めちゃいます!」
 話はなんとなく途絶えたまま、再び歩き始める。

「景時。ちゃんと隣にいるって言わないと、伝わらないよ?」
 白龍が景時の耳に囁いた。
 ぎょっとして白龍の顔を見つめる景時。
(・・・・・・全部わかっちゃってるわけね)
「それが言えれば苦労はないんだよね〜〜〜」
 白龍と額をあわせる景時。
「大丈夫。私が居る。神子を大切にしてくれる?」
 またもすごい味方を得る景時。
「オレの精一杯で大切にします」
「うん!」

「二人とも〜、内緒話?」
 数歩先を歩いていたが振り返り、二人を見る。
「内緒じゃないよ〜、ちゃんを守るって話だから。ね?」
「うん!神子を守るよ!」
「そっか!」
 三人の笑い声が庭に響く、おやつ時の出来事。





Copyright © 2005- 〜Heavenly Blue〜 氷輪  All rights reserved.


≪遙かなるお題配布所≫からお題拝借。お題元はコチラからどうぞ。

 あとがき:龍神様まで味方vすごいよ、かげかげ(笑)     (2005.3.2サイト掲載)




夢小説メニューページへもどる