心の在処





 ギシッ・・・ミシリ・・・ギギッ・・・・・・
 オレの心が悲鳴をあげる。
 聞こえてるけどね。
 聞こえないフリには、もう慣れたもんだよ。

 朔の元から黒龍が消えて。
 朔に何もしてやれなかった時も。
 ギシッ・・・・・・ミシッ・・・・・・
 
 誰の役にも立たないオレ。
 本当に助けたい人の役には立つことが出来ない。
 黒龍が消えてしまったから。
 黒龍の暗殺命令は抹消された。
 そんなこと、朔は知らないだろうね。
 オレ、そういう仕事してます。

 ギシッ・・・ギギギッ・・・・・・
 母上からの文が届く時も。
 オレの心が悲鳴をあげる。
 元気だって。
 いい人はできたかい?だって。
 文は母上の生存をオレに伝えるもの。
 届くのは嬉しいよ、そりゃ。
 でもね、返事に困る。
 オレも朔も元気だよって。
 よく書くよね、オレも。
 いいかげん、サラサラと文が書ける自分にも
 嫌気がさしてるんだよね。
 また音を立てるんだ・・・

 あの音・・・いつか止まる?
 オレの鼓動が止まれば、止む?

 いつだったかな。
 政子様に、和議を裏切って挙兵せよって。
 頼朝様の命令だって。
 あの時も音がしたんだ。
 ギシッ・・・・・・ミシッ・・・・・・
 もう少しで割れると思ったのに。
 
 ちゃんが、オレを繋ぎとめた。
 君と居る時だけは、この音は止むよ・・・・・・
 オレの鼓動を止めるのは、君かもしれないね───





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≪景時×神子に30のお題≫からお題拝借。お題元はコチラからどうぞ。

 あとがき:痛いとき、音が聞こえる気がする・・・・・・。嬉しい時も音が聞こえる気がするから同じ。     (2005.2サイト掲載)




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