お披露目の日 ≪望美side≫ 朝起きて。 ご飯を食べて。 いつも通りなんだけど、涙が出た。 よくわかんない。 朔も・・・・・・泣いてた。 綺麗な衣を着せてもらって。 嬉しいんだけど涙が出た。 景時さんのお母さんに挨拶された。 私の方がよろしくお願いしますなのに。 今日から私も『お母さん』って呼んでいいですか?─── 今まで『景時さんのお母さん』とか『朔のお母さん』とか呼んでたの。 そう言ったら、お母さんも泣いちゃった。 なんかへんー。皆の涙腺がへん。 そんなしんみりした部屋に、景時さんが来た。 お迎えの牛車が来たって。 ・・・・・・この人誰? そう思った。景時さんって、こんな人だったっけ? びしっと直垂着ていて。 戸口で立ったまま。でも。それが格好いいv ぎゅってしたかったんだけど。 この人は私のって。 動けないし・・・・・・これ、今日一日着たままでいられるのかな? 景時さんが抱き上げてくれて。 一緒に牛車に乗って内裏へ行った。 こんな着物着てなければ、歩いた方が早そう。 でもいいの。 この時間に浸りたかったし。 お互い何も話さなかったけど。 黙って手を繋いで、寄り添ってた。 それで十分。 内裏は広くて。 お式は仁寿殿ってとこでするんだって。 大内裏の中でも内裏へ入れる人は限られていて。 ひろぉ〜くて綺麗。 それで、女房装束で動き回る女房さんたちがわんさか。 ・・・どうしてそんなに軽快に歩けるかなぁ? 美人さん多いよね〜。 町中は質素な感じなの、京って。 でも内裏だけは、源氏物語さながらの世界。 煌びやかっていうか。きらきら。 思わず隣の景時さんみちゃった。 疑ったわけじゃないけど、ああいう大人の女性がいいよね? ・・・すごい涼しい顔してた。 興味なし?赤くもならないの?あれれ〜? 質問してみた。 「女房さんたち、美人さんいっぱいですね?」って。 すごい答えが返ってきた。 「まあ、それなりに顔で選んでるだろうしね〜」 ・・・採用基準は『顔』なんですね?! むむぅ。そこか。やっぱり。 「ちゃんは・・・向こうに並んでいる公達とか気にならないの?」 逆に質問されちゃった。 「気にならないですよ?勝手に座ってるし・・・・・・」 景時さんが笑った。訊くから答えたのに!どうして笑うのよぅ!!! 「勝手にって・・・格好いいとかそういうのは?」 膝を抓ったら、また質問してきた。 「景時さんが一番格好いいですよ?別に他の人に興味ないし」 そう。景時さん以外どうでもいい。 畑のお野菜みたいなものでしょ?何だか並んでるだけっていうか。 景時さんが赤くなって、またぽそりと言ってくれた。 「オレもね・・・ちゃん以外興味ないからね」 きゃ〜〜〜v ここに誰も居なければ!この着物でなかったら! 間違いなく飛びついて、抱きとめてもらえたのにぃ。 頭の中はそれでいっぱい! 色々儀式らしきが進んでいたらしいんだけど。 もう抜け出すことしか考えてなかった。 そんなわけで。帝のお言葉にも。 「ありがとうございます」 頼朝さんの言葉にも。 「お久しぶりです」 それ以外何も話さなかった。 だって、あんまりしゃべると。 またうっかり発言しちゃいそうで。 「早く景時さんと二人にしてよぅ!!!」 心の声、叫んじゃいそうだったんだもん。 貴族の人とか、いちいち五月蝿くて。 やっと宴会までの控え室に戻れた時はぐったり。 そして・・・・・・そのまま脱出しちゃったv ありがとう、朔。協力してくれて。 ごめんね、譲くんと敦盛くん。身代わりさせちゃって。 景時さんと手を繋いで歩いていて。 こっちの方が私らしい。 小さなお家を借りたんだって。 ご飯も美味しいんだって。 新婚旅行だよ〜〜〜vvv |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風で
あとがき:いつもと同じだけと違う。そんな始まりの日をv (2005.4.2サイト掲載)