とんとん拍子 ≪景時side≫ 入籍・・・っていうと、堅苦しいけど。 ようは、正式にちゃんとオレが夫婦なんですって証なわけで。 この世界の、この時代には必要な事らしい。 周囲にお披露目して、両親が認めたらオシマイってもんではないらしく。 まあ、その方がハッキリしていて嬉しいけどね。 ちゃんが拘っていた問題も解決だし。 こちらでは、旦那様ひとりに奥さん一人という決まりらしくって。 いわゆる“一夫一婦制”となれば、読んで字の如し。 この制度、何気にオレにとって嬉しい制度だよな〜。 ちゃんはオレだけの・・・って事でしょ? いい事だ。 そのためには─── 「こ〜れ〜〜・・・・・・なんとかしないとね〜。まずは確認!」 本日届いた荷物たち。 軽く両手を合わせて、オレが施した封印を確認する。 誰にも開けられた形跡はない。数もヨシ! 「大体は考えながら積んだつもりなんだけど・・・・・・」 目当ての箱は二十番台。 番号をふっておいたからね。 「これだ〜。でもさぁ、残りの本ももらいたいし。まだまだ欲しいモノあるん だよなぁ・・・・・・この部屋もオレ用にしてもらうようかな?」 最初の割り振りで、オレの部屋は生活用、書斎用、発明用と三つももらっていた。 けどね〜。ちゃんは彼女の勉強部屋だけ。 部屋はあまっているんだけど、オレばかり使うのもどういったもんかな? 元来、頭と手を別々に動かすことは得意な方で。 しっかり手は作業を続けている。 最初に読みたかった、予想通りの本が手に入る。 「どこからこういうの見つけちゃうんでしょうかね〜〜〜」 いわゆる陰陽道に関する書物なのだが、限りなく原本に近い。 そう真剣に読んだ風はなく、お父さんは術式には興味がなかったとみえる。 でも、一応あるってところがお父さんポイ。 限りなく完全に近づけるという、普段のお父さんそのものだ。 「な〜んか、懐かしいね。これ・・・・・・」 最初の修行で読んだものだ。 読むのは好きだったが、いざ術を発動となると何が足りないのか失敗ばかりしていた。 今考えると、オレは五行というものを真に理解していなかった。 在りしもの、すべてに繋がる─── ちゃんは、本にあるような知識といわれる語彙でそれを簡潔に述べる術を持たない。 けれど、本能で確実に捉えている。 誰の声でもない─── 大気に眠るその声に心を同化させる。 そして、その声は内なる自分への問いかけ。 「そう。誰よりも陰陽術を使えるのはちゃん自身なんだ。術式なんて無くてもね」 ちゃんの内なる声にすべてが同化するのだろう。 だから龍神はちゃんを選んだ。 「な〜んだかなぁ。白龍にヤキモチってのも・・・・・・」 龍神なのに子供の姿というのが何気に反則なんだよなぁ。 ちゃんが小さい方が好きといったら、忠実にそのままというのが笑える。 白龍もさ、純な部分だけが際立って残っている。 そんな白龍だから、ちゃんを探せたんだね。 あの二人はとても似ているよ。大切な事を知っている。 「ちゃんの隣で読書しよ〜っと。その前に、コーヒーを淹れよう!!!」 紅茶はね、ちゃんの紅茶が断然美味しい。 オレも一度は言われた通りにポットを温めて、砂時計で時間を見てから注いだけど。 何かが違うんだよなぁ。 コーヒーは褒められたから自信を持って淹れられる! 機械のおかげだとしてもね。 リビングを通り過ぎれば、もう辞書を片手に宿題と格闘中の彼の人の姿が目に入る。 勉強部屋があるのにここにいるって事は、オレが隣で読書してもいいんだよね。 午後の事を考えると、本を読んでも頭に入らなさそうだけどね。 |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ
あとがき:景時くんは用意周到なタイプかと。苦労症かな(笑)隣にいても平気な関係っていいですよね! (2006.08.02サイト掲載)