幼な妻  ≪望美side≫





 うわ・・・このヒト可愛い。
 ほんとに可愛い。だって・・・・・・。

「こ、これでいいかな?ちゃん!」
 必死にお野菜を刻んでる。今までどうしてたのかな?
 こんなに素直に尋ねられるってスゴイ!
「はい!いい感じです。次は・・・これ」
 私もお料理好きじゃなかったけど。
 花梨さんもダメそうだなぁ。
 譲くんがいたらよかったな。
 私じゃまだ人に教える程じゃないんだよね。

「花梨さんは、翡翠さんと一緒にこちらへ戻ってきたんですか?」
 手を動かしつつおしゃべり。知りたいもんねっ!

「うん・・・そう。お持ち帰り。あの人、来るってあっさり言ってくれたし」
「ええっ?!あっさり?いきなり告白&テイクアウトですか?」
 それは・・・花梨さんらしい。
 ハキハキしてて、気持ちいい。しかも、優しいの。お姉さんみたい。

「え〜っとね、最後に神泉苑で封印したでしょ?そうしたら、応龍がどうするって。
どうも、こうも、帰りたいに決まってるじゃない?だから、帰るって言ったの。でもさ、
好きな人も諦めたくなくて。来てって言ったら、いいよって。翡翠さんって、何も考えて
ない人だよね〜〜〜。もう少し悩むとかないのかな?」
 ・・・・・・それは、花梨さんの意思が固かったからに他ならないのでは?
 翡翠さんの意思を曲げさせる程のお方なのですね、花梨さん!

「かっこいい!翡翠さんも離れたくないって言ってくれたって事ですよね?」
 だよ〜。大告白に大告白返しじゃない!うひゃ〜〜〜。照れるぅ。

「う、うん。お子様扱いばっかしてたくせに。そういう時だけ大人扱いしてさ。
ズルイんだ。でも、いいの。一緒にいたかったから。人間持ち帰りしちゃった!」
「ですよね〜!私も景時さんと居たいんです。だから・・・・・・」
 負けないぞ〜。離れないんだから!

「そうなんだよね〜。私の時は、星の一族さんってば親切だったの。よく戻られた、
お帰り〜みたいに。ちゃんには違うって話だけ盗み聞きしちゃってね。さんと
翡翠さんが電話で話してるのをなんだけど。ムカついたから、年末恒例の昼食会で
がつんっと言ってやろうと思っていたのに。翡翠さんが出ないって。でね?ここに
来ちゃったの。だから。行くに行けなくて。大変だったね?あ、私達のホントの家は
他にもあるの。ここって翡翠さんの隠れ家なんだよ。だから、何を話してもOK!」
 涙でそう。わかってくれる人がいるって。
 ・・・隠れ家?!あらら?ま、たくさんお家があるってことね。

「・・・ありがとうございます。私、向こうに親友置いてきちゃって。景時さんの妹
なんですけど・・・だから・・・相談とか・・・・・・」
「そっか!好きな人と女友達は別だよね。もう私と友達だし、何でも話して?」
「そんな!花梨さんは・・・お姉さんみたいだなって・・・・・・」
 花梨さんにぎゅってされちゃった。
 そうだ・・・朔に初めて会った時、手を繋いでもらったなぁ。体温って安心する。

「どんとコイ!翡翠さんに邪魔されなければ、がっつりテーブルくらい壊してきたのに。
残念〜〜〜!暴れ損なっちゃった」
「か、花梨さん!お腹に赤ちゃんいるのに、そんな事しちゃダメですっ!!!」
 とんでもない!ダメだよ、そんなの。私のため何かあったら!

「う、うん。・・・ちゃんの方がお姉さんみたいだね?」
「そんな事ないです!ところで・・・翡翠さんに姫とかなんとか呼ばれるの、気になるん
ですけど・・・・・・」
 花梨さんに聞くのも・・・でも、気になるしぃ。

「あ、気にしなくていいよ。私は慣れたけど。女性は花や色に譬える事にしてるらしくって。
真名っていうの?本名は家族以外には呼ばせない時代の人だから。考え様によっては、
真面目なんだよね。本名呼べないんだから!」
 ・・・花梨さんったら。楽しそうに笑っちゃって!解り合ってる感じが羨ましいっ。
 でも、そっか。見た目より真面目な人なのかも。
 だよね〜、こっちの世界へ来ちゃうくらいだもん。

「あ〜んな態度だけど。翡翠さんって、一目で見抜いて決めちゃうの。例えば・・・私の
八葉も、ちゃんとしてくれるのか不安だったんだけどね。最初からするつもりだったらしいの。
ただ、先に返事をしちゃうと他の八葉が協力してくれなさそうだったから渋ったんだって。
ほんっと、ヒネヒネなの。ちゃんにも大協力してくれるよ、きっと。この家に招待するって
そういう意味だもん」
 やっぱりよくわかってるんだ。いいな〜。

「だといいな。景時さんって、隠れて頑張りすぎちゃうから。誰か止めてくれる人が居ないと。
お兄さんみたいな人が!パパだと、景時さんで遊んでいるとしか思えないんですよね〜〜〜」
 これは事実。パパは頼りになるけれど。年が離れすぎなのよ。
 もっと近くて頼れる存在が居た方がいいと思うの。先輩みたいな。

「あ〜、どうかな?翡翠さんはあんなだけど、景時さんは対等に見てるよ。その・・・
失礼に聞こえたらごめんね?部下の人には、最初から部下の人に対する態度しかしないもの。
確実に自分より下っていう態度。景時さんには違うから。逆に鍛えられちゃいそう!」
「ほんとですか?景時さんって、すぐに自分を低く、低く評価して心配なんです・・・・・・」
 そうなの。どうして自分の実力を低くしか考えられないのかなって。
 最近はあまり卑下しなくなったからいいんだけど。

「そ?全身からちゃん大好きオーラが出ていて、面白い人だよね。わかりやすいし、若いよね。
私のちょっと上くらい?翡翠さんはね、ちゃんから見たらオジさんだね」
「おじさんなんて、そんな事ないです〜!めちゃ格好いいじゃないですか!伏見で見た時、お二人の
感じが羨ましいなぁ〜って。ぴったりですよ?」
 そ〜なの。なんだろ〜。あれよ、翡翠さんの目が花梨さんには優しかった!
 ・・・・・・ちょっと待って。
「・・・大好きオーラ?!」
 聞き逃しちゃうトコだった。景時さんから?
「うん。普通に出てるよ?しかも、モロバレ。あれはスゴイ。正直な人なんだな〜って思ったの」
「そ、そうですか?景時さんたら、綺麗なお姉さんからいっつも視線を受けて・・・・・・」
 驚きすぎて、食器を落としそうになっちゃった!危ない、危ない。
「あ〜、そうなんだ。でも、ヤキモチ妬いても無駄だよ。ちゃんしか見てないもん。本人、
ちっともその他の視線は気づいて無いのに無理。ちゃんが気づいてあげなきゃ」
 わ・・・私ったら。景時さんばかり責めてたかも・・・・・・。
「花梨さんって、スゴイ。すっごくスッキリしちゃいました」
「そう?見たまんま言ってるだけだけど。それで?ちゃんの八葉さんや親友のお話聞きたいな」
「はい!花梨さんも」



 わ〜!龍神の神子って、たくさんいるんだ!
 花梨さんは、どんな神子だったんだろう?花梨さんの八葉さんにも会ってみたいな〜。






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ

 あとがき:花梨ちゃんは大雑把なイメージあるんですよ〜。髪型のせい?     (2006.02.28サイト掲載)




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