必然の出会い ≪景時side≫ まさか先代の地の白虎に出会えるなんて! オレと同じ異世界人。 見た目はとにかく麗しい。 男性に麗しいってどうなんだとも思うが。 自信にあふれる態度は羨ましい限り。 お父さんが曲者って言っていたの、わかるな〜〜〜。 「君も・・・浮気防止?」 携帯の番号を交換する時に、およそ不似合いなストラップをお互い 着けていたりする。 「いいえ!オレのはお守りです。ちゃんお手製の・・・希望です」 浮気防止って・・・その見た目じゃ仕方ないかな〜。 奥さんも心配だよね、この旦那様じゃ。 もってモテ〜なんだろうな。 「浮気などしないのに、信用がなくてねぇ?」 「あ、あは!ま、その・・・オレも心配な気持ちはわかりますよ。何だか不安 なんですよね」 ・・・その前に。奥さん、ダイブ若くない? 「ああ。花梨と私はかなり年が離れているかな。私が三十代で知り合った ものだからね。君もそう変わらなさそうだけど」 うっ。確かに。顔に出ちゃってたかな。あはは・・・・・・。 「え〜っと。こっちで数えるとオレは二十八ですね。多少気になってはいたん ですよ。・・・昼食会の時には、ずらりと若者に並ばれちゃってて」 ちゃんと同世代の若者たち。向こうが考える彼女の結婚相手候補者たち。 「ふん。若造など相手にするだけ無駄だね。後は君の決心の程をお聞きしたい ところなんだが・・・・・・」 値踏みされてるよな〜。この視線、お父さんと同じ。 射抜くような、嘘を許さない鋭さ。 「オレは、ちゃんといるためにこの選択をしたんです。他はありません」 そう。他は無いのだ。一番を掴まなければ、今までのオレの繰り返しになる。 ちゃんがいる世界なら、オレの知らない場所でも構わない。 問題はちゃんがいるか、いないかだけなのだから。 「・・・いい目だ。気に入ったよ。私もね、妻に何事も起きないための配慮は 欠かさない人間でね。遊びや気まぐれでこちらの世界へ来たわけじゃない。それは 私より先に来た八葉にもいえるけれどね」 先にって事は・・・・・・。 「もう一人の方ともお知り合いなんですか?」 「知り合い・・・なのか、先祖なのか。ご先祖様ににしては若いがね」 何、何?楽しい事?先祖って先祖だよな? 「・・・橘に縁の方でね。恐らく私の先祖・・・なのだろう。会えばわかるよ。花梨や あちらの奥方様に言わせると、私は似ているらしいね」 う〜ん。オレに言わせれば、お父さんも、行成さんも、翡翠さんも同じです。 そういえば、向こうにもいたね。弁慶も大分類では同じ方向だよなぁ。 「おや?何だろうね、その顔は。君も同類だと思うけれど・・・・・・君だって、 君の薄紅の姫君を守るためなら何でもしそうだけど?」 「はぁ・・・・・・。出来るだけ正攻法で行きたいんです。ちゃんを見ていると 体当たりも悪くないのかなって」 変な事いいました〜?わ、笑っていいです。 いいって意味で手を“どうぞ”と出してみた。 「・・・はっはっは!体当たりは花梨だけで十分だ。これ以上増えては困るよ。私の 白菊は猪並でね。君まで猪じゃ、止める人間が足りない」 「は、はぁ・・・・・・」 花梨ちゃん・・・って呼んでいいのかな?奥さん、どんな暴れん坊なんだ? 「そんな顔をしなくとも、君達の事には憤っていたから。程よく暴れて下さるだろう。 私が止めるから、その時は見ていればいいよ?」 「見てろって・・・・・・花梨・・・ちゃん・・・ですよね?」 「そうだね。あれは見たら驚いて動けないだろう。何しろ、塀を乗り越えて抜け出す 龍神の神子様だからね。手を焼いたよ。抜け出して何をするのかと思えば、鬼に会って いたりして。酷い神子様もいたものだ」 う〜ん。花梨ちゃん、そんなにお転婆さんなんだ。 ちゃんは塀越えはしなかったな。・・・よく抜け出しはしたケド。 「ちゃんの剣術はすごいですよ。オレなんて敵いません。・・・他で負けないから 剣術はいいんですけどね」 ちゃんの嫌いな“オレなんて”でも、こういう使い方ならOKだよね。 「ほう?剣術がダメなら陰陽術かい?」 「いいえ。発明が趣味で。こちらの世界でいう銃を作ったんです。だから。欠点は 補えばいいかなと、そう思うんです」 そうなんだ。補う、そして。チカラは正しく使うんだよね!ちゃん。 「それでか・・・・・・作るのが好きならばいいね。では、教える事に関しては問題 なさそうだね」 「は?」 お父さんも言ってたよな?教えるって・・・・・・。 「ああ。すぐにわかるよ。そう気にしたものでもないさ」 何か引っかかるな〜。ま!なるように、なるって。 |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ
あとがき:引っかかるね!なんだろう(笑) (2006.02.28サイト掲載)