お約束  ≪望美side≫





 お家じゃないんだから、もう少し考えればよかった。
 つい、皆が持っているから私も!なんて。
 “おけら火”の扱いに困っちゃったんだけど・・・・・・。

 景時さんって、魔法使いみたい。
 これで新年最初のお茶が飲めちゃうなんて。
 しかも、とっておきのお水で!
 無病息災だよね。

 こだわってるのには、理由があって。
 こっちで景時さんに何かあったら嫌だから。
 出来るだけ、縁起のイイコトはしておきたかったり。
 “お約束”って言われちゃうだろうけど、まずは気持ちからって。
 そう思ってるから。



 さすが古いお家で高級料亭さんだよね〜。
 時代劇みたい。こういうのでお湯を沸かせるなんて。
 お部屋はエアコンで暖かいから、気分のためにだよね?
 実用的じゃないもん。
 でも、見ていて飽きない。
 炭が段々黒から灰色になっていくし。

 ・・・景時さんのお家に居た時もあったなぁ、火鉢。
 これじゃ寒くって、寒くって。
 寒そうにしてると、景時さんが隣にいてくれたよね。
 景時さんも、懐かしいかな?



 菊池さんと仲良しさんでお話してる!
 まだお湯は沸かないから、邪魔しないでおこ〜っと。
 よかった、景時さんにお友達が出来て。
 別に・・・将臣くんと譲くんがどうって意味じゃないけど。
 同じくらいの年って、違うものだと思うから。
 景時さんに学校の事を話ても、悪いよねって思うし。

 ・・・コドモだ、私。

 なんとなく、ガックリくるなぁ。
 今から考えると、向こうの世界って女の人が少なくなかった?
 もしかして、こっちで綺麗なお姉さんをたくさん見ちゃったら・・・・・・。

 気が変わっちゃう?!
 ど、どうなの?
 

「・・・・・・あっはっはっは!」


 えっ?景時さんの声じゃない・・・・・・菊池さん?


「なっ・・・どうか・・・した?」
「な〜んでもない。そろそろお茶が飲めそうな感じ?」
 景時さん、にこりん顔だ〜。楽しい話だったのかな?
 ・・・ここでさり気なくお茶が出せたら、いい奥さんなのにぃ。

「うん、たぶん。温くは無いと思うんだけど・・・・・・これ、熱いかな?」
 これは・・・アチチな気がする。きっと熱い。布巾はどこ?

「ん?そうだね。任せといて。オレが持つから、ちゃんはそっちをお願い」
 優しいよぉ。景時さん、大好き!
 頑張るから、待っててね!
 お茶は上手に淹れられるんだ。ママが煩かったから。
 ・・・そっか。ママって、着物やお茶に煩かったんだ。



 上手に淹れられたかな?
 景時さんも、私のお茶好きだよね?
 縁側があるお家が欲しいな〜。
 おじいちゃん、おばあちゃんになっても、二人で日向ぼっこでお茶したいな。






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ

 あとがき:氷輪の時はホテルの入り口にバケツがあって。そこでおけら火を没収されました(笑)     (2006.02.20サイト掲載)




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