賑々しい  ≪景時side≫





 初詣とは───


 信じる、信じないは別として。
 一年の初めに、神様にご挨拶・・・と思っていたんだけど。
 どこを見ても、そんな感じはなさそうなんだよなぁ・・・・・・。


「・・・景時さん?少し食べる?」

 ちゃんは、ほ〜んと。チョコ好きだよね〜〜〜。
 オレも君がチョコレートを食べている時の顔が好きだったりする。
 ・・・チョコにヤキモチ妬いても無駄だしね。

「じゃ、少しもらおうかな?」

 差し出されたクレープをひとくち、パクリ。
 オレにとっては知らない味、全部甘め。
 食感も、どう表現すればいいものやら。
 朔が食べたら、何て言うかな。

 ん?ちゃんが見てる。

「どうしたの?」
「・・・変な味?無理そう?」

 あらら。心配かけちゃったね。

「違うよ〜。こんなに甘いものは、そうそう手に入らなかったから。
朔が食べたら、どんな顔するんだろうな〜って」

 約束したから。京を懐かしんでもいいよね?

「朔もきっと好き!だってね、二人でたくさんおしゃべりしたもん。
だから、朔が来たら二人で食べ歩きするの。パフェだって、トリプル
アイスだって、ケーキだって。デザートたくさん!」

 ・・・それは・・・甘そうだ。
 でも、二人って・・・・・・。

「オレは?」
「だって、景時さんは食べられないよ。甘いものばっかりだよ?それにぃ。
女の子は秘密がいっぱいなんだから、着いて来ちゃダメ!」


 こっちの世界で初の拒否を新年に受けてしまった!
 なんて事だ。
 新年早々、ここにいない妹に負けるのか?!
 参っちゃったな〜。たはは。

「景時。行かない方が正解。話を聞いてるだけで、この辺りがこう・・・
痒くなるぞ」

 将臣くんが胸の辺りを押さえている。
 なんとなく譲くんへ視線を移せば、眼鏡をかけ直されてしまった。


 あの・・・ちゃんは、どれくらい食べちゃうんでしょうね?
 

 隣でクレープを食べ終え、満足げな顔をしている存在。
 そんなに食べないよ?ちゃんは。
 ご飯だって、普通だし。
 熊や猪じゃないんだからさ。


 オレの視線に気づいたちゃんが笑う。
 うっ。可愛い。
 やっぱりそんなに食べないよね?


「あのね。女の子は甘いもの別腹なの。それに、甘いものって形が無いし」
「形が無いって・・・・・・」

 あるよ?あったよね?

「アイスも、チョコも溶けちゃうでしょ〜?だから、飲み物と変わらないよ?」





 この日、一番の衝撃の事実。
 女性にとっての甘いものは、無制限と知った。
 オレが違うと思っている事は秘密にしようと思う。






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ

 あとがき:別腹!間違いない(笑)     (2006.02.20サイト掲載)




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