密着取材 ≪望美side≫ 「じゃ、髪は少しだけ結い上げる?」 「うん。くるってするだけでいいよ。そんなにきっちりじゃなくて」 よかった。ママがいるから、何でもしてもらえちゃう。 向こうでは朔がいたし。 全部覚えられなくても、何とかなっちゃうんだ。 「簪くらいする?」 「可愛いお花のがイイ。すっごい可愛い格好するの」 「はい、はい」 もぉ!笑ってるけど、私は必死なんだから。 景時さんの隣で、私の存在を主張しないといけないんだよ? 朝ご飯の時のお姉さまたちみたいな人から、景時さんを守るのよっ! ・・・・・・景時さんの彼女にみられない私に問題があるのよね。 「どうしたの?」 「あのね、やっぱり景時さんの・・・そのぅ・・・彼女に見えないのかなって」 「あら。いいじゃない、そんなの」 「よくないよっ!」 この気持ち、わかってよぉ。 イライラするし、嫌な子になっちゃう。 「・・・景時さんが余所見しているわけじゃないでしょう?」 「それはそうだけど」 「問題ないじゃない」 あれ?そうかも? 「はい、出来た。後は自分で出来るところまで着物を着なさいね」 「う、うん。あの・・・ママ?」 着物も着なきゃなんだけど。 「その・・・さっきの・・・・・・」 ママが振り返る。早いな〜、さすがママ。もうそこまで着てるなんて! 「さっき?ああ。だって、景時さんが他の女の子を見て、でれっとしてるのではない でしょう?勝手に向こうが見てるのなら、それは誰にもどうにもできないわよ?」 うわわ!そうだよね。そうだ〜。 「ありがと、ママ!そうだよね、格好いいもん。どうしても目がいっちゃうよね」 納得、納得。 大目に見てあげる。広い心で接しなきゃ。 見たいよね、目の保養だよ。景時さんは。 「ママもね、よくそう思ったの。でもね〜、パパって周囲に無関心で。ママだけ やきもきしてるの、意味ないなって気づいたのよね〜〜〜」 「パパが?・・・・・・そりゃあ、よそのお父さんより格好イイとは思うけど」 そうなの。ちょっとオジサンなのは年齢の問題だから仕方ないけど。 ハゲてないし。服もそれなりに気にしてる。 ママもね、可愛いと思う。オバサンって年だけど、なんだか可愛い。 「でしょ!パパって、格好いいのよ、だけど愛想が無いの。それがいいんだけど」 ・・・まさかママのお惚気を聞くとは思わなかったよ。 若い頃の話だよね? 「それって、ママの若い頃の話?」 「若い時もだけど。そう、そう。がいない時にパパと食事に行ったのよ。そこでも。 パパって目立つのよね〜。所作の所為かしら?」 いない時って、クリスマス後だよね。 ホントに私がいなくて清々してたりとか?! 「仲良しさんだよね、パパとママ。私がいなくて嬉しい?」 「あら。何拗ねてるの?それはそれ、これはこれ。帯はどうしたいの?」 うわわ!早いよぅ。 「待って、待って!後少しだから。あのね、リボンみたいに可愛いのにしてね」 「はい、はい。作りをこっちでしている間に着替えてね」 「は〜い」 今度、ママの恋愛話に密着してみよう。 面白そうだよ?パパとママ、両方の話を聞いてみたいな。 ・・・パパは口を割りそうにないけど。 手強そうだぞぅ。 |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ
あとがき:その昔、氷輪も母に聞きました。「なんだかいたのよ」って(は?)・・・父は「なんだかいた」扱いって知っているのかな〜(苦笑) (2006.01.14サイト掲載)