鷹の爪 ≪景時side≫ 「景時君は何がいい?」 「あっ、あの!オレ・・・・・・」 「まあ、まあ。そうだな・・・コーヒーのドリップがあるね。これにしよう」 ホテルに備え付けのお茶のセットの前に立つのはちゃんのお父さん。 いくらなんでも、お父さんにお茶をいれていただくわけには! 「お父さんはコーヒーがいいですか?オレがしますよ?最近覚えたばかりですけど」 ま、これは事実。 向こうの世界にはないもんね、こんな便利モノ。 「・・・お互い言ってても仕方ないからね。お任せしようかな?」 「はい!」 ぜひ任せちゃって下さい。 この前なんて、ちゃんに褒められたばかりですから! 「景時君は器用だね。美味いよ、コーヒー」 よしっ!いい感じ? 「実は・・・ちゃんにも褒められました。コーヒーがどうより、機械をいじりたい だけってのがホントのところなんですけど。便利ですよね〜」 そう、そう。機械は全部試す事にしてますから! 「よかったよ。・・・こちらで不自由はないかい?」 「え?・・・・・・ああ。無いです。逆に便利すぎて驚きますね。向こうでどれだけちゃん に不自由をさせていたかとか・・・・・・」 そうだよな〜。手で洗濯だったし。 何から何まで手作業だったよ。 「も景時君と同じで。何もかも初めてなのは楽しかっただろうさ。そうだ。携帯だけど、 年末年始は通じないから、当てにはならないんだ。何かあったら・・・無いとは思うけれど 景時君にお任せだ」 お父さんが両手を広げてそんな事を仰った。 ええっ?!どういう・・・・・・。 「ああ。そんなに心配しなくてもいいよ。ただね、向こうさんが何をするかはわからないから。 人はつけてあるけれど、もしもの話だよ。それに・・・・・・いや。これは後にしよう」 言いかけて止めないで下さいぃぃぃぃ。 「オレ、本気だしてイイって意味ですよね?」 ちゃんに何かとか。そういう事されると、本気出しちゃいますよ? お父さんにはオレの本性バレてると思うから言っちゃいますケド。 「はっはっは!やっぱり景時君は面白いなぁ。・・・・・・私も最初は自分と似ていると思って いたんだけれど。少し違うね。君は私より思い切りがいいし、頭もいい」 「お父さんには敵いません。けれど・・・この幸せはオレが掴んだものだから。離さない努力は 惜しみません」 初めてなんだ。自分で掴んだ、たった一つだから。 こんなに思い込んだら、ちゃんには負担かも知れないけれど。 なんとなくコーヒーに映る自分の顔を見ていた。 「私もね、家族を手に入れた時にそう思ったよ。もちろん、今は景時君も家族の一員だ。そうだな、 景時君は、人に教えるのは得意かい?」 「へ?教えるって・・・・・・」 何を?どう?武術は期待しないで欲しいな〜。 「君の学んだ事を。しいていうなら、機械を組み立てたり、モノを作る事もいいね」 「・・分解したままで、戻せない事もアリなら。よく陰陽寮で見せてましたから」 「そう。それはよかった。そろそろ着付けも終わるかな?」 そのまま話は中断され、最後の肝心な部分は聞き出せないまま。 また後で話す機会があるといいけど。 誰に何を教えさせようとしているのかな〜〜〜。 オレの知識って、どこに役立ちそうなんだろ。 それが仕事とか?分解しっぱなしの仕事って何だ? |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ
あとがき:何だろうね!景時君は何にでも興味を持ちそうvvv (2006.01.14サイト掲載)