伝わりしモノ  ≪望美side≫





 六波羅蜜寺。あんまり知らないよ〜。
 景時さんの世界へ行くまで、『六波羅』って呼び名すら知らなかった。
 テストにでる鎌倉幕府のアレは別としてだけど。

「何かがチガウ〜〜〜」
「そりゃあ・・・何もなかったしね〜」
 二人とも、お口あ〜んぐりですよ。
 建てなおされてて立派でぴかぴかだし、お寺らしくない。

 立て札を読んだ景時さんが、とある一箇所を指差す。
「ココ。ちゃん好きかも」
「縁結び!ここもなの〜?」
「みたいだね。行ってみる?」
 行く。行きます。景時さんとの縁なら、何重にもぐるぐる結びだよ!
 せっせと縁結びをする。
 ぐるんぐるんにして、誰にも邪魔されないようにする〜。


 ウキウキで宝物庫も行ってみる。
「清盛公の像がある・・・・・・」
「え゛?あんなオジサンなの?ツルツルはげ?」
ちゃん・・・・・・それはヒドイ。子供の姿の方が仮初めなんだよ」
 コドモが羽根つけてた姿しかしらないもん。
 つるっつるだよ〜、頭。

「それに、出家されていたから剃髪なんだよ。ハゲって・・・・・・」
 あっ!涙目で笑うの我慢してる!

「い〜ですよ、我慢しなくて」
「じゃ、遠慮なく」
 うわわ!抱きつかれた。
 ・・・・・・でも、思いっきり背中に景時さんの笑い声を感じる。
 私の背中で笑ってるーーーー!

「・・・景時さん。これじゃ私が面白いみたいですよ?」
 ようやく笑い終わった景時さんがその長身を起こす。
 やっぱり大きいな〜。見上げちゃう。

「・・・半分正解で、半分間違いかな?ちゃんが面白いコト言うから」
 むむうぅぅぅ。半分?
「あと半分は?」
「いや〜、ハゲといえばハゲだよな〜って。半分は自分の想像?」
 わかった!ハゲはハゲでも、違う人のつるつる想像したんだ〜。

「・・・頼朝さんのつるつる・・・とか?」
「ヒミツ!次は三十三間堂だね。さ〜、行こうか!」
 ずるぅ〜い。誤魔化したでしょ?
 いいもんね〜だ。



 三十三間堂には、知り合いと同じ顔の観音様がいらっしゃる・・・らしい。
「ね、どこにいるかな〜?どうですか〜?」
「さぁ〜、こんなに多いと探すの大変っていいたいトコだけど。ちゃんは
いないね」
「ええっ?!」
 ・・・全部見たの?見たんですか?
「ああ。オレの特技、他にもあって。判別は得意」
 う〜ん。私も景時さんはいないな〜と思ってたトコ。で・も!

「見つけた!」
「えっ?どこに?」
「ココ」
 景時さんの腕を掴む。見つけたのは本当。
 この人を違う世界で見つけて連れて来ちゃいました!

「・・・見つかっちゃった!オレもココに見つけた」
 しっかり手を掴まれた。
 もしかして・・・変な二人組じゃございません?私たち。


「そろそろ戻らないと暗くなっちゃうね?」
「うん。お着物はね、景時さんが先だからね。私が着るの手伝う!」
「御意〜。じゃあ、戻ろうか」



 手を繋いで歩くだけが楽しい。寒いから変じゃないし。
 違う世界で出逢った二人だもん。
 強力な縁で結ばれてるよ、きっと。






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ

 あとがき:三十三間堂で買ったシルバーの龍がガラス球を抱えているキーホルダーがお気に入りだったりしますv     (2006.01.03サイト掲載)




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