消えないように  ≪景時side≫





 消えないで───

 真っ白なコートを着ているちゃんが消えないよう、急いで捕まえた。



 ・・・・・・池だな。
 実際この広さで神泉苑といわれても信じられない。
 あの広大な湿地が、この大きさ?と思った。
 ちゃんの口が開きっぱなしで可愛いなぁ〜、もう!
 そんなに驚いちゃったのか〜〜〜。

 『白龍がはみでちゃう』

 う〜ん。相変わらず君はオレを笑わせるのが上手い。
 君が悲しまないよう、急いで問題を解決すべく頭を使う。
 
 繋がっているのは鎌倉の有川家の桜だから大丈夫───

 眉間の皺が解れたのを確認!
 多少の強引さはご愛嬌。
 笑ってくれるなら、いくらでも、何でも言えるよな〜。


 そんなオレでも、さり気なく傷つく事があるにはある。
 九郎と舞姫の・・・恋物語ね・・・・・・あっそう。へ〜〜〜。

 ・・・・・・ガクリ。

 ここと向こうの世界は別って、解ってるつもりなんだ。
 だけど、こういうのはオレの心にチクリと痛みを呼び起こさせる。
 

 何かを歪めてココにいるのだろうか?
 オレの我侭で世界を歪めさせている?
 心が悲鳴を上げそうになるけれど、いつもちゃんがあっさりオレを解放する。


 オレに見せたくて舞ってくれたという言葉だけで、もう幸せ。
 お手軽だよな〜、オレ。

 ちゃんもたくさんヤキモチ妬いてくれていたみたいで。
 オレの方が何倍も妬いていたであろう事実を話すと笑ってくれた。
 
 これからもこういう事があるかもしれないけど。
 いつだって二人なら乗り越えられそうだよな〜。
 やっぱりオレはこの世界にいてもイイと思える。
 


 真っ白な君が、真っ白な道を歩く。
 空に吸い込まれそうだ───

 気持ちがざわめいて、急いでそのカラダを抱き締める。
 心ごと、君のすべてを捕まえる───



 これからも、二人でいようね。






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ

 あとがき:氷輪も行きましたよ、神泉苑。景時くんの心弱い部分と強さが好きだぁ!     (2005.12.23サイト掲載)




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