砂時計  ≪望美side≫





 どこか抜けてるのよね、私ってば。
 そうなのよ、デジカメよ。
 あんまりこういうの持ってると、撮るのが目的になっちゃって。
 肝心の思い出が置き去りっぽくて嫌だなって思った事もあるんだけど。
 修学旅行の時とかね。
 皆が携帯でパシャパシャしまくってて。
 自分の目で見なくていいのかなぁ〜とか・・・ね。

 でも、でも、で・も!
 景時さんの写真欲しいぃ〜〜!!!
 すっごく欲しい。今すぐ欲しい。ぜ〜ったい欲しい!
 パパにデジカメ買ってもらう事にしたの。

「これって、軽いけどズームここまでなんですよね?」
「はい。どうしても軽いものですとレンズが・・・・・・」

 あんなゴツゴツな一眼までは欲しくないんだよね。
 こう、バッグにポポイって入れられるくらいがいいの。
 でも、綺麗に撮れるのが欲しいぃぃぃ。
 ネバルわ。ここで妥協はいけないのよ。うん。

「ご希望の機種とかメーカーは・・・・・・」
「無いんです」

 あぁ、私のお馬鹿さん。
 どうしてパソコンに気づかなかったんだろう。
 景時さんにパソコンは必要よ。
 デジカメだけじゃ、後々困るじゃない。
 私のは・・・・・・あのノートでいいや。
 メールとネットしかしないし。
 じゃなくて、カメラ!

「う〜ん。可愛い色のもあるしぃ・・・・・・」

 でもシルバーがいいな。なんとなく。
 景時さんに似合うよ。そっか!

「二個買えばいいんだよ」
「二つも欲しいの?」
 
 ママったら。私は簡単なのしか使えないけどさ。
 景時さんは何でも出来ちゃうんだから!

「うん。景時さんと私じゃ腕前が違いすぎだもん」
「そうねぇ。じゃママと一緒で、シャッター押すだけで精一杯よね」

 むむぅ。口惜しいけどその通りよ、ママ。

「えっと、景時さ・・・・・・」

 パパと話して笑ってる!
 その顔、撮りたかったなぁ・・・・・・。
 寝てるトコとか。
 きゃ〜〜〜!

「景時さん呼んで来るから、ママはここに居てね」



 一緒に選びましょう?
 だって・・・二人で決めたいよ。



「ね?選ぼ!」
「う〜ん。オレは・・・まだいいかな。うん。ちゃんが選んだのを借りるくらいで」

 え〜〜〜〜〜!こういうの好きだと思ったんだけどな。

「・・・・・・いいの?」
「う〜ん。帰ってからでいいかな。カタログみながらとかね」

 そっか!だよね。二人で撮りっこばかりしててもね!

「じゃ、一緒に使お?とりあえずコレがね、軽くていい感じなの」
「へ〜〜〜、たくさんちゃんを撮らないとね!」

 は?

「・・・景時さんを撮るんだよ?」
「は?」

 お互い、妙な間が空いてしまった・・・・・・。
 しかも私たちって、京都の景色を無視?
 どちらからともなく笑い出しちゃった。


「でもさ!オレ、ちゃん欲しいし」
「私も景時さん欲しいもん」

 パパとママに笑われた。

「二人とも、“写真”って言葉を足さないと、誤解されないかい?」
「え?」

 景時さんと声がそろったぞ〜。うふふv
 ん?ちょっと待って。言葉が足りないって・・・・・・。

「パパのおバカっ!私、コレがいいから買って。あっちで待ってるもん」

 あまりの恥かしさに、景時さんの腕を引っ張ってお店の向かいのカフェを目指す。
 カメラの説明してくれた店員さんに聞かれてたよ〜。信じられない!
 もう、もう、もう!
 パパなんて知らないっ。

ちゃん!ほら、お母さんも・・・・・・・」
「あ。・・・ママも早く!お茶しようよ〜〜〜」
 


 ごめんね、ママ。
 ママとパパは別の席にね。
 ここって二人掛けが多いし。
 だって、これからカメラ持って。
 二人の想い出増やすんだもん!
 一緒の時間を増やしにいくの。
 これからも、ずっと───






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ

 あとがき:砂時計の砂の様に時間が見えるならばv すっごい高い山になるでしょう、この二人(笑)     (2005.11.8サイト掲載)




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