支配者 ≪景時side≫ オレのすべては君に支配されているんだ─── 昔から嫌な予感程よく当たる。 藤原さん家の現当主様は、オレの事をよく思っていないらしい。 そんな事はわかりきっていたから。 それくらいじゃオレ、別に平気。 朝ご飯の時にちゃんの眉間に皺がよった時の方が慌てた。 何かしたっけ?とは思うものの、何も思い当たらないし。 ちゃんの好きなチョコがあれば!と思いついたのに、パンにチョコ入ってないし。 ダメ、ダメになりそうだったんだけど。 チョコなら何でも好きみたいだ。 機嫌がよくなって一安心。 クロワッサンがとっても好きっていうのもわかった。 ものすっごい笑顔で『好きっ!』て言ってたし。 ・・・・・・クロワッサンが憎かったとも! モノにあたっても仕方ないのになぁ。アホだ、オレ。 藤原さんの星の一族だけが集まってる中へ入るのは勇気がいったなぁ。 でも、お父さんなんて露骨に『不機嫌ですっ!』って態度で。 そういう事が出来るだけの実力があるって事だよね。うん。スゴイ。 ちゃんもいつも通りで。 何度も話が脱線するんだけど、オレが意見していい場所じゃなさそうだったしね。 黙っていたけどさ。 可愛かったのは、お行儀悪い事をしたと思い込んでるちゃん。 オレには話の流れが最初に読めた。 ちゃんを有川家に嫁入りさせるか、ご当主の長男の純頼君のとこへ嫁入りさせろって。 そういう話の流れだったんだけど。 末端の話を無視して、川の源泉に戻るような発言をしちゃって。 しかも、ずぅ〜っと手を繋いでいてくれた。 オレが守られていてどうするんだ?!って思うけど。 温かくて、なんだか安心して隣に座っていられた。 晴純さんに問いかけられた時もね。 オレ、本当に怒っていなかったんだ。あれくらいべつに・・・普通? だってさ、お父さんが、どんな事をしてでもちゃんと居られるようにしていいって。 先に言ってくれていたんだ。怖いもの、ないよ? だけど、ちゃんはオレの代わりに怒ってくれた─── 庇われるっていうのは、あんまりいい感じに聞こえないかもだけどさ。 こういうのは気持ちが温かくなる。 それより、この歪んだ五行の気を引き寄せてちゃんが力を使っては大変だと。 とっさに耳元へ囁いた。 『ちゃんの涙は、オレのためなんだよね?他には見せたくないな〜。全部オレのだよね?』 多少ふざけた口調だったけど、これはオレの真実。 ちゃんの涙だって誰にも渡さない。全部オレのものだよ? 問題は・・・だ。昨日からちゃんについてる神気。 だから五行の気の影響を受けやすい。 そして、困った事にこの街の気は安定していない。何かが道を塞いでいる。 建物の場所とか、木々が少ないのとか、有害物質が気を乱している。 こっそり君を守ろうと思う。オレに出来る事あるんだ。それが嬉しいよ。 穢れをそっと祓い、また手を繋ぐ。 オレ、まだまだ頑張れるからね! |
Copyright © 2005- 〜Heavenly Blue〜 氷輪 All rights reserved.
≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ
あとがき:景時くんにとっては、望美ちゃんに否定されない限りは頑張れるようですv (2005.9.21サイト掲載)