白き雪 ≪景時side≫ 粉雪に変わった窓の外を二人で眺める。 二人がけのソファーが、窓の方を向いてるのが気が利いてる。 だよなぁ・・・・・・ここは暖かいけど。 外は寒いから、ちゃんはパジャマで正解だね。 明日の事を考えると、少しばかり気合を入れようと思いながらも。 何気に今日会った彼・・・純頼君とかね。 “自信あります、俺”な人には、少々弱かったりもする。 なんとなくだけど、他もそうかな〜なんてさ。 ただ、この勝負は負けられないけどね。 オレがこの世界へ来たという意味を考えれば当然! 「明日、雪積もっちゃったら大変かも〜〜〜。またパパ運転の車かな」 「う〜ん。車はいいけど・・・・・・どこにあるんだろうね?その藤原さんの家」 そうそう。肝心な場所を知らない事に気づいた。 こんなに色々話をしているのに、場所を知らないというお粗末な話。 「どこだろうね?それに、どうして京都の記憶は無いのかな〜。普通、いくら小さく ても、少しは何か印象に残っていそうなものだよね?」 確かに。オレだって父上の記憶があるんだから。 恐らく、三歳くらいのものもないわけではない。 ただ、母上から話を聞かされていて知っていると思い込んでいるとも考えられる。 「小さい頃の記憶ってさ、余程嬉しいか・・・その逆かな・・・残るのって」 確実に自信がある記憶は、父上に武芸を習って出来なくて泣いた時のもの。 「ん〜〜〜。菫おばあちゃんの記憶とかはあるんだよ?鎌倉での事は」 「鎌倉の記憶はあって、京都の記憶はないんだ。でもさ、京都が旅先で特別といえ ば特別だからじゃない?わずか数日でしょ、居たとしてもさ」 オレも言ってて変だよな〜とは思ってるんだ。 特別の方が残るもんだよ、普通はさ。 「そうかな〜?そうだよね!」 何かが引っかかる。 ちゃんの幼い頃の記憶。 やはり、明日は用心するべきだと思う。 「景時さん、もう寝よ〜。今日は朝も早かったし、たくさん移動して疲れたぁ」 目蓋が重そうな時が、また一段と可愛いんだよね。 寝ていても可愛いんだけど。いや、それ言ったら全部。 「それでは、姫君をお運びいたしましょう」 今日はパジャマだから、“オヤスミナサイ”の日だ。そういう約束。 その・・・ちゃんがいいよ〜って日はふわふわって決めたんだよね。 ベッドにちゃんを降ろすと、コロコロと転がった! 「ちゃん?!」 落ちっ・・・落ちないでよかった〜。普通に寝せたよなぁ? 「ど〜っちだ?景時さん、当ててみて?」 いきなり何?!何を当てるの??? 呆然と立ち尽くすオレは、かなり間抜けな顔をしていたのだろう。 ちゃんが、とにかく楽しそうに笑う。 「もぉ〜、ヒントあげますね」 ヒント?何かを言い当てないといけない・・・・・・あ!それはもしかして!!! ちゃんの優しさに甘えた日。 味方は大勢いるんだしね!頑張るからね。 |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ
あとがき:記憶の出所って、気になりますよね? (2005.9.17サイト掲載)