団欒 ≪景時side≫ 雅幸さんと花奈さんの部屋はとにかく広かった。 部屋がたくさんあるんだろうな〜、扉の数からして。 しかも、いきなりリビングにきちんとしたテーブルがどどん!とあって。 あ〜、すごいよココ。 しかも、あれだ。 座ってるだけで料理が出てくる、並んでる。 その上、ちゃんの豆餅用にお皿とお茶まで準備してくれてる。 有川家の様だ。 座ってるだけでいいって感じ。 「すまないね、どうも外へ出たくなくて。知り合いに会ってもわからないだろうが」 そっか。藤原家の本家が京都にあるわけだから・・・・・・。 「あら。雪なのに待つのは大変だもの。今日はこの方が楽よね〜」 確かに。ちゃんが風邪なんてひいたら大変だ。 「最初は部屋でご飯って?って思ったけど。パパたちの部屋広いんだね〜。これ なら楽だし、綺麗だし、おいしそうだし。らっきぃだよ〜」 そうなんだよね。テーブルにキャンドルまで置かれていて。 この暖かさは気温だけじゃなくて。 「景時さん?」 「あ・・・何?」 ぼんやりしていたら、ちゃんに頬をつつかれてしまった。 「ご飯・・・嫌でした?」 「そんなことないよ。懐かしい味・・・なのかな・・・・・・」 そう。鎌倉と京を行き来していて思ったことは。 味付け云々の前に、使っている野菜が違うんだよね〜。 そういった意味でも、これは懐かしい味だったりする。 「そう、そう!私ね、景時さんの家で茄子見て驚いたの〜。まんまるでごろんって」 「そうね、は見た事がなかったかもね京野菜」 まさにその通り。そこなんですよ!人参も元々の味が違うんだからさ。 「最初はね、ニセモノかと思ったんだよ?切ってみたらちゃんと茄子で。食べても 茄子な味だったんだ。それもオドロキ」 「変な子ね〜、家でも時々買ってお料理を出したわよ?」 「お皿にある食べ物をそんなに意識して食べないよぅ」 「味もわからないの?作りがいが無いわねぇ」 いいなぁ〜、母と娘の会話って。ほんわかだ〜〜〜。 だよなぁ〜。母上と朔もそうだったなぁ・・・・・・。 「は景時君の家で料理を覚えたのかい?」 「だ、だって。そのぅ・・・朔がね、女の子らしくて羨ましかったの。それで、舞を教わった り、お料理を教わったり・・・・・・色々と・・・・・・」 「ふうん?・・・景時君には気づいてもらえなかったんだ?」 あらら。意味有り気な顔ですね、お父さんは。 オレ〜?オレに関係しちゃってるの? 「パパって意地悪だよ。景時さんの前でそういう話・・・・・・」 ちゃんが変だ。オレ・・・なの? 「それなのに豆餅はだけ二つなのね?食いしん坊さん」 「いっ、いいのっ!これはガイドブックみた時から食べたくって。あと、お豆腐料理のお店 にも行きたいし」 ご両親がこちらの人なのに、ちゃんはガイドブックをよく見てるよね。 「・・・ちゃん。お父さんもお母さんも京都の人なんだよね?」 「そぉ〜だよ・・・・・・。あっ!パパかママに聞けばよかったんだ!」 もうね、笑うしかない。いや、実際全員で笑ってしまった。 「か、景時さんって、どうしてそういう事にだけ敏感なの?さっきのみたいのは気づいてく れないのにぃ」 うん?またもこっちに来たぞ?さっきのって・・・・・・何? 「景時君。は君に女性として見て欲しくて頑張ったらしいよ?」 は?・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「オレいつもちゃんだけを見てたのに?怨霊封印も、一緒にいけない日は気になって 気になって。朔にその日の出来事を聞いていたのに?!」 あ・・・・・・言っちゃったよ・・・・・・・・・・・・。 これじゃまた“ストーカー”って言われかねないよ。 「似た者同士なのねぇ?も気づかなかったんでしょ?」 面目ないです・・・・・・。オレはちゃんの気持ちにだけ気づかなかったらしい。 裏を返せば、自分の気持ちだけで手一杯だったわけで・・・・・・。 「もったいない事したぁ!毎日じゃ悪いかなって。わざと景時さんに頼まなかったのにぃ! それに、それに。私だっていつも見てたよ?景時さんの髪が風でぴよぴよ〜って揺れるの 見るのとか大好きだったもん!」 あの・・・それってオレの髪が好きって事?待てよ・・・・・・。 「夕飯、ご馳走様でした!部屋に戻りますっ!」 ちゃんの手を引いて、自分たちの部屋へ戻る。 ちゃんがデザートを食べ終わっていて良かった。 「景時さん?突然どうしちゃったの?」 そうだよね〜。突然だったけど、オレ覚えてるから。 「お風呂に入ろう!広いんだったよね?」 「・・・・・・ええっ?!」 そんなに驚かなくても・・・・・・まあ、そりゃそうだ。 オレだけが得してるかもだしね〜。 「ちゃんに宝物見せてもらったのにね・・・・・・ニブイよね〜、オレって」 そう。彼女はすべて箱に入れて取っておいてくれた。 あの宝箱は、朔に預けてきたらしいけど。 宝物っていわれたモノたちを見せられて。 その記憶がオレにもあるんだから、変なんだよ。 それってさ〜、オレもその時を、モノを宝物って思っていたわけで・・・・・・。 「ちゃん風に言うと、もったいないなのかな。だから、オレの宝物を洗おうかと思って」 洗って嬉しい宝物ってところが、また、なんともオイシイわけだけど。 「たっ、あっ、洗うって」 あ〜、可愛いなぁ。うん、オレもね。ちょっとだけ照れるけどさ。 「ちゃんを洗って〜、ぎゅってして寝ようかな〜って。ホラ、宝物は盗られたら大変だから」 何といっても、明日は藤原本家へ行くんだし。 恋敵多数だと思うんだよね〜、案外。 純頼君とかもさ〜、同級生を強調してなかった? 「えっと・・・私も・・・景時さん・・・・・・洗う」 「き〜まりっ!お風呂準備しないとね」 調子よくスキップでバスルームを目指す。 ちゃんの大好きな泡になる粉まであるし。いいね、このホテルは。 ちゃんだけは、誰にも譲れない─── |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ
あとがき:一見ニブニブ同士だけど、大切な事はわかってる二人っポイのが好きですv (2005.9.2サイト掲載)