二人の距離 お行儀よくはないが、足でドアを開けて寝室へを抱いたままで入る景時。 ベッドというものの高さは、床に比べると楽である。 静かにを下ろして、胸のリボンに手を掛けようとした瞬間─── 「あっ!!!ちょっと待ってて」 起き上がったは、景時の腕をすり抜けて部屋を出て行ってしまった。 「お預けぇ〜〜〜?!」 景時の伸ばした手は、むなしく宙を舞う。 が、景時も忘れ物を思い出す。 (そうだ!アレがないと・・・・・・) 景時も自分の部屋へと一目散に走った。 景時が寝室へ戻ると、がベッドの上に正座している。 なにやら箱を握り締めていた。 「ちゃん、どうしたの〜〜?」 景時もベッドに座ると、少しだけ深くマットが沈んだ。 「あ、あの・・・さっきはごめんなさい。でも、コレね・・・・・・買ったの。だから・・・・・・」 手渡された小さな缶は二つ。 「へ?これって・・・・・・」 缶の説明書きを読むうちに、顔が緩む景時。 「ちゃん、これ買ってきたの?」 俯いているはベビードールの裾を握り締めた姿勢で、真っ赤になって頷いた。 「だ、だって・・・・・・ママに言われなくても、今日って決めてたんだもん・・・・・・それに、これも」 が景時に差し出した箱は、景時にも見覚えのある避妊具の箱。将臣からのプレゼントだ。 「え〜っと・・・・・・」 景時の言葉が途切れたため、はさらに俯く。 (き、嫌われちゃった?恥かしい事しちゃった?) 泣きそうになっているを、ふわりと景時の腕が包む。 「・・・ありがと。同じ気持ちだってわかって。すっごい嬉しいよ?実はさ、オレもなんだよね」 景時の言葉に反応してが顔を上げた。 「オレもね、買ったんだよね。どれがいいかわからないから、つい・・・・・・」 持ってきた袋を逆さにする景時。大量の避妊具の箱が、ベッドの上で小さな山を築き上げた。 目を見開いたが、ただじっと山を見つめている。 「ちゃ〜ん?おぉ〜〜い?」 の目の前に手を翳す景時。 「なっ・・・かっ、景時さん、こんなにたくさんどうするんですかっ!」 が景時の腕の中で暴れる。 「え〜?もちろん使うんだよ。今日はさ、どれがいいかな〜?」 素早くを膝に抱きかかえなおすと、ひと箱手にとっての目の前に見せる。 「なんかね、香りつき〜とか、味つき〜とかあるみたいなんだよね。ちゃんはどれがいい?」 わかっていて聞いた訳ではない景時。知識だけはある。 「知らないっ!」 目を閉じて景時に背を預ける。 「え〜。じゃ、折角だからちゃんが買ってきてくれたのを・・・・・・」 景時が缶を手に取ろうとすると、に邪魔をされた。 「れれ?ダメ?」 「だ、ダメじゃないけど・・・・・・今日は特別だから・・・・・・これ・・・・・・」 見た目はピンクでお菓子の箱風。内容は薔薇の香りつきの箱をが手に取った。 (景時さんが買ってくれたものがいいもん) 恥かしくても選ばないと、景時が買ってくれたという気持ちが無駄になると勇気を振り絞る。 「うん、いいね。可愛い感じだし。開けてみよ〜〜〜」 の心遣いに気づかないフリをして、景時がおどけた調子で外箱を開ける。 中の形状に大差はない。一見薬が入っていそうなほぼ正方形の包みが一ダースばかり。 「じゃ、ここに置いてっと。残りはまた今度ね」 袋に残りの箱をまとめて入れる景時。 しかし、が買ってきた缶だけは今回使用予定のブツたちと一緒にサイドテーブルに置かれた。 「これはしまわないの?」 「うん。オレのお守りにする〜。だってさ、ちゃんが買ってきてくれたんだよ?」 景時がに頬擦りする。 「で、でも・・・・・・使用期限あるし・・・・・・」 「そうなんだ〜。じゃ、後で使って缶はオレが貰おうっと。いいよね?」 小さくが頷いた。 「それでは。続きしてもい〜かな?もうね、ずーっと・・・・・・」 の手が、景時の手を掴んで胸のリボンを持たせた。 「あのね・・・ここなの。私もね・・・・・・」 「仲良し、しよっか」 軽くにキスをすると、一気にリボンを引いた。久しぶりに触れるの身体。 「すべすべ〜、ちゃんだ・・・・・・」 を寝かせると、胸元へ唇を這わせる。 「えへへ。お手入れしたんだよ?今日はね、頑張ったの」 景時の髪を梳きながら、景時の耳に、顔に触れる。 「いつも綺麗だよ?でも・・・・・・今日は特別だね」 キスをしてはお互いの身体に触れ合う二人。 「うん。特別なの・・・・・・こっちの世界で初めてだもんね」 「そっか・・・・・・そんなになるんだ」 の唇を啄ばむ景時。 「んふふ。だって、二人っきりってなかったもん。お出かけは別で。・・・・・・でね、今までって皆が二人に してくれてたんだなぁ〜って思ったんだぁ・・・・・・」 「はは・・・・・・そっか。それは・・・・・・」 朔の気遣いだろうとはわかるが、に告げなくともいい事だ。 「感謝しないとね・・・・・・」 の顔に、唇に、胸にと、身体中にキスをする。 (全部・・・オレのちゃんなんだよね・・・・・・) 確認するように、丁寧に触れていく。 するりとの下着を脱がせると、あっけなくベッドの下へ滑り落ちた。 「・・・ちゃん」 「んっ・・・・・・」 名前を呼ばれると、素直にが脚を動かす。 景時が花弁へ指を伸ばせば、潤った蜜口から蜜が零れ落ちた。 「あんっ・・・・・・」 小さく跳ねる。いつもとは少々勝手が違う景時は、逸る気持ちを抑えて準備する。 「ちゃん・・・いい?」 「・・・っあ・・・・・・」 指で触れられながら確認され、返事にならない。景時が徐々に膝を進めた。 「ふぁ・・・っ・・・・・・んっ・・・・・・あっっ」 「ちゃん・・・好きだよ・・・・・・」 啄ばむだけのキスをする。 「好き・・・・・・私もだよ・・・・・・」 伸ばされたの手と手を重ねる。 静かに熱を共有して溶け合った夜。 体温を分け合い、少しだけ遠くなっていた距離が近づいた。 「あのね・・・あの・・・これからも、好きってちゃんと言葉にしましょうね?」 「そうだね・・・約束する・・・・・・」 景時の返事を聞くと、そのままは眠りについた。 「いつも、一番近くにいたいんだ・・・・・・いいよね?」 の頭をそっと腕にのせて景時も眠りにつく。 久しぶりの穏やかな眠りが訪れたその日は、もうクリスマスになっていた。 |
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表の≪景時×神子に30のお題≫の続きの続き風です。
あとがき: 大量のアレは・・・・・・問題ナシって事で! (2005.7.13サイト掲載)