何が見える?





 平日の朝からフラフラしているのは目立つ。
 将臣と景時は、かなり早めに家を出た。
「将臣君、飛行機ってさ〜、空飛ぶんだよね」
「・・・まあ、そういう事になるな。別に景時に羽が生えるわけじゃないし、
そう怖がるなって」
 景時が怖がっているのだろうかと将臣がふざけた。
「い、いや〜。オレに羽が生えないのはわかるけど。空だよ?空」
「ん〜?それが?」
 早朝の電車はまだ人も少ない。
 二人の妙な会話も、そう聞かれる心配もなかった。
「電車だってさ〜、馬より早くて。なんかこの景色が流れる感覚が慣れな
いのにさ。これより早いんだよね?」
 興味の方かと将臣も気づいた。
「速さとかはわかんないけど。雲の上を飛ぶのは確かだぜ?」
「え〜?!く、雲の上?それは・・・・・・」
 景時の目が見開かれる。
「そ。だから。下で雨降ってても、飛んだら晴れてるし。お前、窓際決定な」
 将臣が笑う。
「うん。よろしくね」
 景時は照れながらも、しっかり窓際を頼んだ。

 早々と登場手続きを済ませ、自分たちのゲートで待つだけの将臣と景時。
 景時は、飛行機の離発着が見える窓にへばりついていた。
(ほんと、子供みたいだな)
 小さい時から父に連れられていた将臣にすれば、飛行機は移動手段で
しかない。景時のように感動したのは、幼い頃だけだった。
(ま、周囲からは田舎者くらいにしか見えないだろ)
 景時を放っておき、椅子に座り搭乗アナウンスが流れるのを待つ将臣。
 そのうちに搭乗アナウンスが流れた。
 朝一番の便な事もあり、人はまばら。
 スーツ姿のビジネスマンかと思えば、観光旅行らしき団体もあった。

「景時、行くぞ」
 景時の肩を叩くと、搭乗口を親指で指す将臣。
「チケット持ってるな?あの機械に入れると、ここだけ返してくれるから」
「う、うん」
 将臣の後ろについて行き、無事に飛行機までたどり着いた。

「あのさ・・・狭い・・・よね?」
 今回、ビジネスクラスにはしなかった。
 普通はそうそう高い席に乗れるものではないからだ。
「こんなもんなんだよ。今日は空いてるから、後で椅子を思いっきり倒せば?
離陸するまでは駄目なんだ」
 一通り説明すると、将臣はヘッドホンをして眠る態勢を整える。
 景時は小さな窓から、忙しく働く整備の人々を眺めていた。

 いよいよ離陸となり、飛行機が動き出す。
 想像以上の音に、景時が隣を見ればもう将臣は眠っていた。
(変な姿勢で寝てるよね・・・首痛くない?しかも、煩いよね、飛行機って)
 そんな時、アナウンスがあり素直にスクリーンを見る。
 離陸の映像が前方のスクリーンで見られるのだ。
 いよいよ飛行機が飛び立つ。景時はスクリーンを凝視した。

(う〜〜〜〜、引っ張られるぅ)
 陸を離れたであろう感覚の後も続く圧迫感。
 小窓から外を見れば、建物がどんどん小さくなってゆく。
(わわわ!俺ってどこから来たのかな)
 道路が、海が離れていく。時々視界を遮る白いものは雲らしい。
 海の上を移動する船の軌跡まで見える景色に感動するのも束の間、す
ぐに何も見えなくなってしまった。
(あ〜あ。でも。白くてふわふわなのは雲なんだよね〜〜〜)
 手を伸ばしても、飛び跳ねても届かなかった雲の上の世界。
(やっぱり、ちゃんの世界は面白いね。今度はちゃんと乗りたい
なぁ。いや、行き先が先にないとね)
 将臣を起こさないように、一人頭の中で空想を広げていた。

 羽田から千歳は二時間かからないフライト時間である。
 適度に睡眠をとった将臣もお目覚め。
 着陸はわりとすんなり揺れずにされた。
「んじゃ、軽く札幌まで出て、ラーメン食べて帰るか。土産は帰りに空港で
買えばいいだろ」
 他の者たちに比べると、かなりの軽装の二人。まず、手荷物がない。
 さっさと到着ゲートを潜り抜け、電車への乗り換えをする。
 目指すは札幌。朝の通勤ラッシュに重なる時間だが、東京や横浜に比べ
ればさほどでもなかった。
 軽くカフェで朝食を済ませると、付近を散歩する。
 北海道大学のキャンパスを冷やかしてみたり、道庁、時計台を見学する。
 見た目は受験生とその付き添いと言った所の二人。
 お昼になるまで付近をフラフラと散策して回った。
 




 その頃の横浜のとあるオフィスビルでは、いつも通り出社した行成の元
へ訪問者が。の父・雅幸である。
「昨日はどうも」
「・・・・・・おはようございます。何かありましたか?」
 朝から爽やかな笑顔を見せる雅幸に、内心ビクビクの行成。
「いやぁ、景時くんにね。意地悪したら駄目だってに釘さされちゃって
ね。退屈だなぁ〜って。会社サボって来たんだよ」
 予感的中。白羽の矢は、行成に立てられた。
「・・・そうですか。それは、それは大変でしたね」
 行成に勧められる前に椅子に座っている雅幸。
 行成の秘書もなれたもので、行成が言うより早くお茶を持って来た。
「しかもね、の一番は私だと思っていたんだが。の手料理は、まだ
食べさせてもらった事がないんだよ。どう思う?」
「どうって言われましても・・・・・・」
 返答に困る上に、延々と愚痴を聞かされていた。
 家族の前でも見栄を張る男、雅幸。ひとり娘の早い巣立ちに、心は大嵐。
ちゃんに、頼めばいいじゃないですか。食べたいって」
 タイプの人間には、直球に限る。
「嫌だね」
 短い即答に、行成の方が苦笑い。
「昔、お菓子を作ってくれた事があるじゃないですか」
「あれはお菓子。私が言っているのは、料理。食事だよ、食事。景時君には
楽しそうにお弁当を作っていた!」
 ようやく合点がいった行成。
 向こうの世界で既に景時に食事を作っていた事に加えて、こちらへ戻って
来た早々、景時にだけ弁当を作った事実が気に入らないらしい。
(気持ちがわからなくもないですけどね・・・・・・)
 当分は雅幸の相手をしなくてはならないと、行成は覚悟を決めた。





「ラーメンって、おいしいね〜」
 横浜での出来事を景時が知るわけもなく、のんきにラーメンを食べていた。
「だろ?でもさ、この味はここで食べなきゃわかんないんだな〜」
 少し早めの昼を食べる二人。夕方までには帰らないといけない。
「お土産ってさ、何がいいのかな?ちゃんのお家とかさ」
「お!いきなりの気配りかよ。別になくても良さそうだけどな〜。点数は稼い
どいた方がいいのは確かだな」
 昨日の様子では、景時の事を受け入れた風だがの前での話である。
 将臣も雅幸の態度を100%信じたわけではなかった。
「点数って・・・そんな・・・でも、そっか。オレってば、ちゃん攫っちゃう男
なわけなんだよね」
「まあ・・・嫁にもうらってのは、そういう事だろ?たださ、近くに住むんだから。
そう深く考えなくても・・・いや。将来は京都・・・か?」
 紫子が京都の別荘を手に入れたら、と景時のモノになる。
「いや。ちゃんと両親が離れるのはよくないと思う。ずっと我慢してたの
知ってるんだ。ご両親にしてみたら、いつも通りだろうけど。ちゃんはさ、
一年半も離れていたんだよ?」
「・・・そっか。景時の気持ちが伝わるといいな」
 黙々とラーメンを食べ終えた。

 メインストリートを歩くが、これといって土産も思い浮かばない。
 そのまま空港まで戻る事にした。
「何がいいかな〜〜〜」
 迷っている景時に、将臣がアドバイス。
「食べ物だ、食べ物。これでいいんじゃないか?」
 指差す先にあるモノは───蟹。
「蟹?これ・・・・・・」
「クールにしてもらえばいいだろ?家はこれ。にはアイスでもお菓子
でもいいんじゃね?家はいらないぜ?しいていうなら、母さんにアレかな」
 そこにあるモノは───豆大福。
「お茶点ててくれるぜ、きっと」
 よくわからないまま、思いつくものを片っ端から購入する景時。
 将臣は定番のクッキーの小箱を大量に買った。
「じゃ、そろそろ帰るか。行くぞ」
 荷物を預け、空身で再び飛行機へ乗り家を目指した。





「景時さん、今頃どこにいるのかな」
 学校の掃除当番も終わり、ある事を思い出し駅前に走る
「ストラップの材料買わなきゃ〜、間に合うかなっ」
 景時とお揃いのストラップを作る予定。しかも、デザインは昨夜考えた。
「天然石を先に探さなきゃ!」
 ついでに、父と母にも作る予定。こちらは組紐で和風に。
 急いで買い物を済ませると、有川家の家人たちのプレゼントを用意していない
事実に気づく。
「きゃ〜!私ったら。大変だぁ」
 申し訳ないが、今年は手抜きさせていただく事に決定。
 再び今来た道を戻り、クラフトショップへ飛び込んだ。




「はぁ〜。空の旅は、あっという間だったなぁ〜」
 景時は興奮冷め遣らぬ様子。
「・・・・・・明日はさ、新幹線で京都行ってみるか。面影くらいはあるしな」
「京都?なんか紫子さんも言ってたね」
 “京都”では、いまひとつピンとこないが楽しみではある。
「明日も今日と同じくらい?」
 景時にとっては、なんら問題はない起床時間。
「まあ・・・な。なんかな〜、こっち戻ると早起きが苦痛だな」
 将臣が笑った。



 玄関を開ければ、盛子が二人を出迎える。
「お帰りなさいませ」
「あ、これ。皆で適当に食べて」
 将臣が大きな袋のひとつを差し出す。有名クッキーの小箱が沢山入っていた。
「あら、あら。これはお気遣いいただいて・・・・・・将臣坊ちゃまからだと皆に伝え
ますね」
 盛子が笑いながらお茶の用意をすべく下がっていった。
「・・・・・・何?」
 景時が将臣に訊ねた。
「ああ。家には結構手伝いに来てくれてる人がいるんだよ。だから、お土産」
 幼い時から父と母のする事を見てきたせいか、毎回ではないが時々はこうして
土産を買ってくる将臣。
「・・・将臣君って、気配りがさり気ないよね」
 感心する景時。
(俺に言わせりゃ、アンタの方がそうなんだけどな)
「着替えてから盛子さんのお茶飲もうぜ。飛行機は足が疲れてなぁ〜〜〜」
「そうだね。オレも」
 二人はそれぞれの部屋へ向かった。



 一度家へ帰り、荷物を放り投げて普段着に着替える
「早く、早く!」
 かけ声をかけながらバタバタと用意をすると、ものの十分で再び家を飛び出す。
 目指すは有川家。景時が待っているかと思うと、時間が勿体無い。

「こんにちは〜。あれ?こんばんはかな?」
 玄関を開ければ、盛子が待っていた。
「そろそろ、こんばんはかもしれませんね。リビングへどうぞ」
「ありがとうございます!」
 出されたスリッパを履くと、そのままリビングへ直行する。
 将臣と景時がのんびりお茶を飲んでいた。
「景時さん、お帰りなさいっ」
 景時に飛びつく
「ん〜ただいま。ちゃんもお帰りなさいだね」
「そっか。ただいま〜」
 そのまま景時の隣に座った。
「・・・・・・俺は無視?」
「あれ?そうだね。将臣くんも、景時さんを案内してくれてありがと。明日もよろし
くね」
「はい、はい。お任せ下さいってな」
 労いの言葉らしきをもらいながらも、ついでの感が拭えず苦笑いの将臣。
「今日はどこへ行ったの〜?」
「北海道の札幌〜。お土産はとりあえずはコレ。後は明日お家に届くよ。蟹とか」
 景時に出された袋を開ける
「わわわ!また沢山お菓子買ったね〜。明日家に蟹が届くならさ、蟹しゃぶ〜と
かしようか。景時さんが家においでよ。私とママで作るから」
「・・・いいの?」
「来て、来て〜。頑張っちゃうから!」
 が腕を取り、顔を摺り寄せた。

「ただいま。ちゃん、いらっしゃい」
 紫子が早々と帰宅。
「こんばんは、おば様。お邪魔してます」
 が挨拶をすると、将臣の隣に紫子が座る。
 景時が袋の中を探し、豆大福の包みを紫子へ差し出す。
「色々お気遣いいただいてすいません。これ、お好きだと将臣君に聞いたので」
「あら、丁度いいわ。夕飯の後にお茶を点てましょうか」
 紫子が提案すると、が手を叩く。
「わ〜、おば様のお茶、久しぶり。楽しみ!景時さん、苦いけど美味しいんだよ」
「苦い・・・の?」
 苦いといえば薬。景時はまた頭の中で味を想像するしかなかった。



 その後は、譲、行成の順番で帰宅しのんびり夕飯となった。
 今年のクリスマスも有川家でする事になり、さり気なく各自の欲しいモノを
探りにかかる。
「そうか、じゃ家も決まるし。いよいよ二人で暮らすんだね」
「はい!しばらくは行ったり来たりするかもですけど。ね?景時さん」
 引越しとなれば、新しい物が欲しいはず。
「最近は、どんなものが流行ってるのかしら」
「なんだろ〜?あんまり流行のものって、わかんなくて」
 案外流行のものに無関心な。しかし、可愛いモノ好きなのは確か。
「そういえばさ、この前学校で何を言いかけてたんだ?駅前のとか何とか」
「駅前〜?あ、ケーキだよ。いつもさ、大きなまあるいケーキだったじゃない?だか
ら、偶にはブッシュド・ノエルみたいなの可愛いかなって」
 将臣、ケーキに確定。一抜けである。
「先輩!最近好きなキャラクターって何ですか?」
「えっとぉ・・・・・・あれれ?あんまりないかも」
 この時点で三人が再度トライとなる。
 
 その一方で、将臣がこっそり訊ねる。
「景時はさ、の欲しいモノ探らなくていいわけ?」
「あ・・・うん。今のオレがほんとうにあげられるものってないしさ」
「・・・そっか。明日は適当に一緒に買い物しようぜ。毎年、の家族も来ての夕
食会なんだ。詳しくは新幹線で説明するから」
「ありがと」
 二人は、代わる代わるに話し掛ける三人を見守っていた。



 夕食の後に、お茶をいただく事になる。しっかりと茶室もある。
 景時にとって正座は苦にならない。
「あら〜、景時君姿勢がいいのね。将臣だけね、正座出来ないのは」
「いいじゃん。今時しないぜ?こんなの」
 すれば出来なくもないが、わざわざ痛い姿勢をとる事はしない将臣。
 お茶が回され、景時の番となった。
「景時さん、どう?」
 景時の初濃茶である。
「・・・・・・薬の味と似てる。熱さましの」
「だよな〜。ウマイかと聞かれると微妙な味だよな」
 将臣は豆大福を頬張ると、素早く立ち上がり茶室を後にした。
「逃げたわね、将臣。ほんとにあの子は、もう!」
 堅苦しいのが嫌いな将臣は、稽古事は長続きしなかった。
 かと思えば、譲は長続きで現在に至る。 
 将臣以外はお茶の時間を楽しんだ。



「それじゃ、お邪魔しました」
 が玄関で挨拶をする。
「オレ、家まで送ってきます」
 二人を行成と紫子が見送った。
「明日は、来てもらえないんだねぇ。・・・今日は雅幸さんにいじめられたよ」
「あら。雅幸さんだって、わかってるわよ。お料理の本を大至急取り寄せなきゃ」
 紫子は、行成をおいてのプレゼントの手配をすべく部屋へ戻って行った。
「・・・・・・冷たいねぇ。当分私がいじめられるわけか」
 溜息を残し、行成も部屋へ戻った。



「こんなにお土産どうして?」
ちゃんが好きなお菓子、ちゃんとわからなくて。迷ってたら将臣くんが全部
買えっていうし」
 と手を繋いだ反対の手には、紙袋に入ったお菓子の山。
「こんなに沢山買わなくていいんだよ?嬉しいけど、一人で食べたら太っちゃうか
ら、明日学校で友達と食べるね」
「そうだよね〜。明日はさ、京都へ行くみたいなんだ。何がいい?先に聞いてお
けばよかったんだよね」
 景時が訊ねると、が首を傾げた。
「景時さんが無事に帰ってきてくれれば、それでいいのに。でも、京都なら・・・・・・
景時さんと二人で行きたいな」
「な、何?!いいよ!オレもね、今日ちゃんと一緒にどこか行きたいな〜って
思ってたんだ!」
 勢いつけて返事をする景時。
「えへへ。京都ならね、皆にいいもの買えそうなんだよね。そりゃ東京にもあるかも
しれないんだけどさ。朔にね、扇とか。いつ向こうへ行けるようになってもいいように
買いたいなって。二人のお家が決まったら、そういうものを箱に沢山つめて、準備
しておきたいなって」
ちゃん・・・・・・」
 家まであと数歩。景時はしっかりとを抱きしめた。

「お家までいいんだよね」
「うん。外じゃなくて上がって。パパとママに明日の話しよ?」
 が景時の手を引いて玄関の扉を開いた。
「ただいま〜。景時さんに送ってもらったよ〜。お土産もあるの〜」
 玄関へ花奈が現れた。
「こんばんは。わざわざすいません。お茶でもどうぞ」
「い、いえ!帰りますから・・・・・・」
 は靴を脱いで玄関に上がると、景時の手を引く。
「やだ!上がって。景時さんがね、北海道で蟹送ってくれたんだって。明日届くから
明日の夕ご飯、招待したいんだ〜」
「蟹!それは楽しみね」
「でしょ〜!だから、ね?少しでいいから」
 景時はやんわりとの手を離させた。
「駄目だよ。明日も学校だよね?今日は少し遅くなっちゃったし。だから、ね?」
「・・・・・・うん。じゃ、明日ちゃんと来て?電話するから」
 が景時の手を取って、指切りをする。
「うん。それじゃ、失礼します」
「玄関まで送る!」
 がまた靴を履いて、玄関の外まで景時を送り出す。
「・・・おやすみ」
「景時さん、屈んで!」
 言われた通りに少しだけ前屈みになると、にキスされた。
「おやすみなさい。また明日ね」
「ありがと。寒いから中へ入って。心配で帰れないから」
 道路で景時が立ってを見つめる。
「うぅ〜、わかった。部屋に着いたらメールしてね」
「うん。返事はいいよ。メール止められなくなっちゃうから」
 扉の向こうへ消えるを見送ってから、有川家への道を歩き始める景時。
「やっぱり帰りは寒いんだよね・・・・・・」
 と繋いでいた方の手のひらを見つめる。
 


 もう少し。もう少しの我慢───
(ただいまは君に言いたいな)
 有川家の玄関を開ける。そこにはの姿はなかった。






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ

 あとがき:まずは軽く飛行機から。羽田から千歳って近いですよね。日帰り実際にした事あります♪     (2005.6.4サイト掲載)




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