誤解?  ≪景時side≫





 北海道で昼までに時間が余り、ふらりと寄ったカフェ。
 オレはついにアレについて将臣君に訊ねた。 

「将臣君、少し聞きたいことがあるんだけど」
「んあ?」
 将臣君は、朝ご飯を食べただけでは足りなかったらしい。
 トーストを注文して食べていた。
「あのさ・・・避妊具をね、買いたいんだよね」
「ぐはっ!」
 将臣君が咳き込んだ。
「だ、大丈夫?」
 オレは慌てて席を立ち、将臣君の背中をさすった。
「・・・・・・朝からそんな事、突然聞くなよ」
 将臣君にじっとり睨まれた。
 
 朝は駄目?夜ならいいの?

 恐らく、頭に浮かんだ疑問そのままの顔をしていたんだろう。
「言っとくが。時間の問題じゃないから。場所とかタイミングを気にしろ」
 そんな事言っても。
 オレなりに気を使ったんだけど。
 有川家でこんな話題したら、悪いかな〜って。

「丁度いい。近所じゃ買いづらいだろ。コレ食ったらドラッグストアに行くぞ」
 将臣君は、黙々とトーストの残りを食べ始めた。
 じゃ、オレも急がないとね。
 今日は“カフェ・ラテ”を頼んでみた。
 コーヒーも、ミルクが入っていれば割と平気みたいだった。



 ふらりと散歩すると、駅の地下街が開店していた。
 早速目的のアレを探す。
 どうやらこの棚一帯がそうらしい。
「将臣君。これ、どう違うの?」
「箱読め!箱を。俺は向こうへ行くから」
「そんな冷たい事言わないでさ〜」
 オレは将臣君のコートの袖を掴む。
 逃がさないよ。オレのこの世界での先生でしょ?
「・・・・・・どれでも同じだ」
「さっきと言ってる事違うよ〜?おすすめとかある?」
 そんな深い意味で聞いたんじゃないんだけど。
「どうすすめるんだよ、コレを」
「う〜ん。何、何・・・・・・」
 オレは右の端から順番に手にとっては箱を読む。
 左手は将臣くんのコートを離さない。
「・・・景時。この状態は周囲からあらぬ誤解を受けるだろうが」
 珍しく将臣君が照れている。

 ところで、あらぬってどんな誤解?

 これまた顔に出ていたと思われる。
 将臣君が変な顔をした。
「わからなければいい。・・・・・・面倒だ、気になるもの全部買っとけ」

 そっか。こういうものは素早く買うんだね!
 了解とばかりに籠に端から全部ひとつずつ取った。

 会計の時、おばさんにチラリと見られたけど。
 何か変?

 将臣君がさっさと行ってしまった。
 何が誤解で、何が変なんだろう?

 将臣君の後を追いかけて、ようやく追いつく。
 ぽそりと理由を教えてくれた。

 普通はこんなに沢山一度に買わない事。
 男同士で使うと思われただろう事。

 え?男同士って・・・将臣くんと?!
 まっさか〜〜〜。
 そんな事ないよね?

 それにしても。こっちにもあるんだね。
 別に普通に戦場とかじゃあったし。
 男同士がどうこういうつもりはないけどさ。

 オレはちゃんと幸せ家族計画を立てるから関係な〜〜し!
 箱を読むと、不可解なことばかり。
 香りとか味ってどうなの?意味あるのかな〜。
 うすぴたっ?ちゃんの言葉に似てるかも。
 これは・・・流石に将臣くんには聞けないから。
 ちゃんに聞くとしよう。
 で?いつ?
 場所とタイミングなんでしょ?こういう事を聞くのはさ。
 またもや難題が残った。
 この世界は難しい。
 





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表の≪景時×神子に30のお題≫の続きの続き風です。

 あとがき:大きな男二人が、山盛りのアレを購入。それはちょっと・・・誤解されてもね!




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