無くてはならないもの  ≪望美side≫





 いつも景時さんといたのになぁ。
 今日は帰らなきゃ。
 帰る?どこへって自分の家なんだけど。
 景時さんの髪触ってるの好きなんだけどなぁ。
 家の前から玄関の前まで。
 すっごくその数歩の距離が寂しかった。

 パパとママに、ただいまって言って。
 急いで二階の自分の部屋の窓を開けた。
 もう景時さん、見えなかった。
 外、暗いし・・・・・・

 急いでメール。
「もう、家に着いた?寒くない?」

 景時さんって、覚えるの早いんだよね〜。
 帰りは電車の乗り換えとか覚えてたし。
 メールも簡単だよね。
 そんな事思っていたら、返事が来た。

「まだだよ。振り返りながら帰ったから。左手が寒い」
 わわわ!
 今度は双眼鏡でも用意しておこうかな?
 そうしたら、私だって景時さんが帰るのみられたのにぃ。

「急いで窓開けたけど、景時さん見えなかったから。私も右手が寒いよ」
 なんとなく将臣くんの家の方向を見る。
 景時さんと歩くとすっごい短い距離なのにな。
 なんだか遠いよぅ。

 また携帯が鳴った。
「オレも。ちゃん見えなかった。もう部屋に着いたよ」

 景時さんが外を歩いていないなら。
 さっさと窓を閉めて。
 ベッドに寄りかかって座って、また返信する。

「明日九時に行くからね!図書館行こうね」
 コートを脱ぐと、すぐに返事が来た。

「待ってる。おやすみ」
 そうだった。今日は隣に景時さんが居ない。
 ひとりで寝られるかな・・・・・・
 冬じゃなければ・・・・・・こんなに寂しくならなかったのかな。

「おやすみなさい。夢で会いに来てね!返事は夢でね」
 寂しがってるってバレちゃったら。
 一晩中でも外に立ってそうだもん。
 それに、メール止められなくなっちゃう。
 
 夢で会おうね。
 やっぱり、離れてるのは嫌だよ。
 明日・・・・・・やっぱり景時さんと暮らしたいって言わなきゃ。

 携帯の設定を変えた。
 景時さんから電話やメールが来たら、すぐにわかるように。 





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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ

 あとがき:体温は・・・傍にいないと伝わらないものですよ、うん。     (2005.5.15サイト掲載)




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