止まらない時間  ≪景時side≫





 あっという間に八時を過ぎていた。
 二日続けて泊まるのはマズイっていわれてた事を思い出し。
 ちゃんを家に送らなきゃと思う。
 でもね、ちゃんと家までは送れないのが・・・・・・ちょっとね。
 この感情は・・・悔しい?情けない?寂しい?
 とにくか複雑ではある。

 早く堂々とちゃんの家にお邪魔出来る間柄になりたいけど。
 焦りは禁物。
 なんといってもまだここへ来て二日。
 驚きの連続だし。
 やはり、知識と経験は別だと実感させられた。
 
 ちゃんがオレの携帯に番号とかを登録してくれた。
「あのね、メールの練習しよ?家に着いたらメールするね」
 うむむ。メールね、メール。
 オレとしては文字を書く方が楽だよな〜と思う。
 しかし、それでは書いたモノを届けないと相手に届かない。
 これは・・・・・・便利だ!
 どういう仕組みなのかな〜。

「電話の掛け方は練習しないの?」
 何となく訊いたら、ちゃんが。
「声聞いたら・・・会いたいからダメ」
 そうか〜、声が聞けちゃうのか!そりゃそうだ!
 しかも、「会いたいな〜」なんて時に聞いたらツライ。
 だけどさ〜〜〜。
「じゃ、声聞きたい時はいい?」
 我ながらヒドイ男だ。しかも女々しい。
 オレは声だけだって聞いていたい。
 毎日ずーっとちゃんの声が家のどこかで聞けたんだよ?

 ・・・・・・そうか・・・ひとり暮らしって、そういうことなんだ。
 ちゃんの姿が見られない。
 声が聞けない。
 何してるかわからない。
 
 一緒に暮らすのは駄目なんて格好いいこと言ったけど。
 オレの方が駄目かもしれない・・・・・・

 ちゃんが選んでくれたコートを着て。
 靴を履いて。これ便利だね、スニーカーっていうの?
 手を繋いでちゃんの家の前まで行く。

 家が小さいからって言ってたけど。
 大きさじゃないよ。
 君を育ててくれた両親が居る家。
 それだけで、オレにとってはとんでもなく大切な場所。
 いつか・・・ちゃんの部屋みたいなって言ったら。
 オレがお邪魔するまでに片付けるって。
 何が散らかっているのか?
 それすら見てみたかった。

 別れ際に、携帯で撮られた。
 あ!ズルイよ、ちゃん。
 オレだってちゃんの写真欲しい。
 オレの携帯にも、しっかりちゃんの姿を収めた。
 これで、明日まで頑張れる・・・かなぁ?

 ちゃんが玄関に入るのを確認して。
 来た道を戻る。
 さっきまでオレの左手は、とても温かかったのにな〜。
 写真は温度が伝わらない。

 携帯が鳴った。
 んん?メールだ。
 ちゃんぽい文。
 オレもメールを返す。
 これ、止められなくなりそうだ・・・・・・
 明日また会えるのにね。





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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ

 あとがき:景時さん、器用そうですよ。発明家(←は?)だし(笑)     (2005.5.15サイト掲載)




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