夢うつつ  ≪望美side≫





 とても懐かしい感じ。
 夢見た時に似てる・・・でも、景時さんの声は間違えない。
 いつも何かと言えば格好イイと言われていた。・・・けど。



「源太景季。それが君の名前だよ。・・・・・・君の母上はとても素敵な人なんだ」



 景時さんが隣で眠っている源太くんに名前を教えてあげていて。
 そして、私について・・・とっても照れちゃうんだけど素敵と言ってくれた。

 まだまだ夢の中でとても動けなかった。
 起きたいのに目蓋は動いてくれなくて。
 景時さんの手を額に感じる。



「ありがとう、ちゃん。夢路で会おうね?沙羅もよく寝てるから安心して」



 そっか。沙羅ちゃんはちゃんと眠ってくれたんだ。
 今日だけは寝愚図をしなかったのかな?
 景時さんのお隣なのかな?
 腕もちっとも動いてくれないから確認できなくて。
 やっぱり眠くて、そのまま記憶が途絶えた。







「あ〜〜〜。ま・・・は?」
「う〜ん?ちゃんは疲れてるから起こさないの。沙羅はご飯食べなきゃだぞ」
「兄上!ここではやはり無理がありますわ。向こうへ・・・・・・」


 沙羅ちゃんに景時さんに朔の声だ。
 近い・・・よね?


「そうは言っても、沙羅が心配してるんだからさ。いいじゃないの。な?
沙羅はもうお姉さんなんだから、ちゃんと静かに食べられるよな〜〜〜」
「あい!」
「兄上!一日で突然大人になる訳がないでしょう?ここでは煩いですから」


 うぷぷ。
 やっぱり面白い。
 どうして面白くなるんだろう?いつもいるのは景時さんだから、景時さんが原因?
 何気に朔もいい味出してるのよね。



「ふぎゃ!ふぎゃ!」
 源太くんの泣き声だ。かわいい〜。



「あらら。これは沙羅の時もしちゃったね。起こしちゃった」
「兄上!」
「きゃふふ!きゃ〜〜〜!!!」



 源太くんが起きちゃったんだぁ・・・そっか。もう朝だものね。
 お腹空いたのかな?おしめかな?
 どうしてか今回は身体が動いてくれなくて。



「景時。朔。あなたたちは揃いも揃って邪魔ね。・・・源太くん。お祖母様よ〜〜〜」




 よかった。お母様が来てくれたんだ。
 それにしたって、何だか変よ?私ってば。



「・・・ちゃん、起きないね?」
「そう・・・ね」
 



 そうなの。頭の中ではスッキリ、ハッキリ起きてるのにぃ。
 あ・・・・・・ダメだ。また眠くなって・・・・・・。
 はい?!



「兄上!何をなさってるの!!!」
「だってさ〜〜〜、このまま起きなかったらどうしよぉ〜〜とか思わないの?」
 


 私は・・・私の身体はどうなっちゃってるんでしょうか?
 揺れてるんですが・・・その前に、何か触れましたね?
 その・・・唇の辺りに。



ちゃ〜ん?えっと・・・具合が悪い?起きないなぁ・・・・・・どうしよ〜〜」
 景時さんが困ってる。
 違う!
 泣きそうになってる!!!
 起きなきゃ、起きなきゃ、起きなきゃなの!!!
 神様、助けて!起きたいの!



「景時さんっ!!!」
「・・・・・・ちゃん?よかったよ〜〜〜。このままだったらどうしよ〜って」
 ぎゅうぎゅうに抱き締められていて苦しいんだけど。
 これは耐えなくちゃよね?


 パカーンッ!───


「兄上。兄上がを苦しくしてるんです」
 起き抜けに朔のツッコミ見るとは思わなかったわ。
 お母様なんて、さも当然というように笑ってるし。
 景時さんは涙目だし。
 沙羅ちゃんは・・・・・・


「きゃふふ!きゃ〜〜〜」


 がくり。大喜びだわ・・・ダメよ、沙羅ちゃん。
 父上を笑っちゃ。



ちゃん?どこか痛い?苦しい?」
「う〜ん・・・お部屋の温度が気持ちよくて起きられなかったんですよね。眠くて」
「よかった〜〜〜。ごめんね?起こしちゃって。ちょっとだけ心配でさ。さ、寝て、寝て!」
 ちょっとどころの心配ぶりじゃなかったのに、今度はちょっとのフリをする貴方が可笑しくて。
 寝かされちゃったのに、ついつい手を伸ばしてその頬に触れてみた。

「何?お腹空いた?今ね、丁度沙羅もご飯しててね?」
「違いますよ。何だか幸せで、どうしようって思っただけです。沙羅ちゃん?」
 名前を呼ぶと、四足で枕元へ沙羅が近づいてきて。
 いつもと違うのだけはわかっているみたい。
 私の髪を引いたり悪戯をしないから。

「沙羅ちゃん。二、三日だけパパといい子にしていて?そうしたら起きられるから」
 返事もしないで私の隣に潜り込んでしまって。
「いいよ。今日だけね?沙羅ちゃんもお寝坊していいから」
「はいっ!オレも!」


  パカーンッ!───


 でた。朔の二回目のツッコミ。
 やっちゃいましたね〜、景時さん。
 今日はこのあと、お正座付かしら?


「兄上。兄上はさっさとご飯を食べて仕事に行って下さい」
「え〜〜〜〜っ」
「え〜〜、じゃございません。仕事です」
「きゃ〜〜〜!!!」



「こら。沙羅ちゃんは喜んでいないで。ご飯、全部食べたの?」
「にゅぅ・・・・・・」
 ずりずりと潜る辺り、食べていないのね〜?

さん。源太を抱いてあげて?」
「あ、はい。すみません、お母様」
 まだまだ小さな源太くん。
 お父さんが景時さんだから、きっと大きく育つよね〜〜〜。
 どんな風に育ってくれるんだろう?


「大人しくていい子ね?賢そうよ」
「はい!あの・・・景時さんに似てるっポイですか?」
 誰にといって、お母様に尋ねるのが一番よね。
「まだわからないけれど・・・景時とは違うわね〜。こんなに賢そうではなかったわ」
「ひどっ!母上まで」
「あら、まだいたの?早く仕事に行きなさい。どうも貴方がいると騒々しいのよ」
 すっかり項垂れてしまった景時さんが益々可笑しくて。

「景時さん。一度お仕事に行って、今日はお休みしてよさそうなら帰って来て?
まだね、こうして起きているの大変だから」
「・・・そうだよね!わかった。行ってくる!!!」
 飛び出す・・・というのが適切な表現。
 風のように部屋を去っていった景時さん。



「・・・わかりやすい子ね」
「兄上は本当に落ち着きがなくて」
 溜息をつくタイミングがぴったりで。
 お母様と朔はやっぱり親子なんだな〜って眺めていたら。

「ま〜。んま、たべゆ」
「そっか、沙羅ちゃんは、ご飯の途中だったっけ」
 何があってもご飯という我が娘にも感心し。
 考えたら、この喧騒の中で眠っている源太くんもすごいわね?
 あ、私もだっけ。さっきまで寝てたし。



「親子って、親子なのねぇ・・・・・・」
「突然どうしたの?も朝餉にする?」
 朔が私を気遣ってくれて。

「そ〜します。もしかして、お腹空いて動けなかったのかもしれないし」
ったら。沙羅ちゃんのご飯も取り替えるわね。冷めてしまってるし」
「ありがと、朔」
 沙羅は源太くんをわかってるのかな?


「沙羅ちゃん。源太くんだよ?沙羅の・・・弟!お腹ぽんしてたでしょ?」
 のそのそと衾から首を出してきて。
 私のお腹を確認して。
 ようやく源太くんに視線を向けた。

「た?」
「そう。源太くん。沙羅の弟だよ?仲良くだよ」
 沙羅なりに真剣に考えているみたい。
 考えてはいるんだけど、温かいご飯が届くとしっかり食べてるし。



「素敵って・・・聞き違いだったかも・・・・・・」
「え?何か言った?」
「何でもないよ」



 ね?こんなに自分と似ている二人を見ていたら、景時さんが私を素敵って。
 あれって幻聴なんだろうな〜と。
 と、いうわけで。
 私もしっかり朝ご飯を食べました。










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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:我が子をみて溜息の望美ちゃんでした。嬉しいんですよ?似ていて。     (2007.12.24サイト掲載)




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