小さな手 ≪望美side≫ 皆に沙羅ちゃんをお披露目! 「ね?沙羅ちゃん。覚えたかな〜?」 じぃ〜って九郎さんを凝視しているぅ。 「九郎さん!沙羅ちゃんと握手してみる?」 「お、俺がかっ?!そ、それは・・・・・・」 うわ〜〜〜、わかりやすい。 めちゃくちゃ緊張してるでしょ? さり気なく沙羅ちゃんの手をとって、九郎さんに向かって振ってみる。 「沙羅ちゃん。このお兄ちゃんが西国の大将さんだよ〜。パパより偉い人」 そうそう。景時さんの上司なのよね。 あんまり見えないけど。 実質は弁慶さんが上司みたいなものだし。 ここでは言えないけど、表の上司と裏の上司って感じかな! 九郎さんたら、指でつついて・・・・・・。 「あのぅ・・・沙羅ちゃんと握手ですよ?つつくんじゃなくて、握手」 「そっ、そんな小さな手と握手が出来るかっ」 おどおどしているうちに、沙羅ちゃんに指を掴まれちゃってる! 「・・・う、動けん・・・・・・」 「へ〜きですよ。そんなに力ないし」 「そ、そうか」 うん。掴まってるだけだよ。 「九郎さん。お母さんの気持ち、わかった?可愛いでしょ、赤ちゃんって」 神護寺でお腹に触らせてあげたけど、目で見るのもイイでしょ? 「そうだな・・・・・・母上もそう思ってくれいたんだろう・・・・・・」 珍しく景時さんが割り込んでこなかった。 九郎さんの寂しい気持ちを知ってるんだろうな〜。 景時さんって、九郎さんのいいお兄ちゃんもしてるよね。 カッコイイんだからっ!優しいしっ。 いい旦那様だよね〜〜〜。 「!俺もいい?」 「どうぞ〜、ヒノエくん」 「イイオンナは早めに予約しないとな!」 予約って・・・さっき景時さん見て退いてたじゃない。 おっかしいんだ〜。ヒノエくんくらいだよ、めげないの。 「なぁ?沙羅ちゃんの唇を一番にいただいたのって?」 「えっ・・・・・・唇?」 「ええっ?!そうなの?!」 私より景時さんが驚いちゃってるし。 「・・・ヒノエくんはどこからそんな事思いついちゃうの?私のわけないでしょ」 景時さんまで胸を撫で下ろしてる。 う〜ん。沙羅ちゃん、お嫁に行くのは大変かもね? 「それじゃ俺が・・・・・・」 「待ったーーーーーーーっ!!!」 危うく沙羅ちゃんのファーストキスをヒノエくんに奪われるトコだった。 だったんだけど・・・・・・。 「どうして景時さんがしてるのぉ〜〜〜?!」 「だって、つい・・・・・・」 「ついじゃありませーーーーんっ!!!」 笑い転げる将臣くんと弁慶さん。 相変わらず無表情な先生。 目を見開いたままの敦盛さんに、膝をついて項垂れてる譲くん。 九郎さんは目の前で見たもんだから、固まってるし。 ヒノエくんは・・・・・・ 「おい、おい。勘弁してくれよ、おっさん!自分の娘に口づけてどうするんだよ」 渋い顔で景時さんを睨んでるぅ! 「なっ、だっ・・・守ったんだ。そう!オレは沙羅を守っただけ!」 この件に関しては、私としても“守った”と考えていいのか、悪いのかわかんないよ。 ここにいた関係者全員に口封じしなきゃ。 大人になった沙羅ちゃんに知られたら!!! ・・・・・・あれ・・・・・・朔? 「兄上っ!馬鹿なことばかり!!!」 飛んだ・・・飛んだよ、朔の扇が! ほんと、いい腕前なんだわ〜。 見事に景時さんの頭部に命中してるし。 ちょっとしたドタバタを見ていて、一番の危険人物を忘れていたわ。 無邪気って、時には怖いものなのよ。 「神子の愛し子ならば、私にとってもとても大切だよ?」 白龍がしっかり沙羅ちゃんの頬にキスしてました。 唇じゃないのがセーフなんだけど。 そうなのよねぇ・・・白龍に教えるのって難しいわ。 私だって頬を舐められちゃった経験あるし。 悪いと思っていないっていうか、恥ずかしいって思わないっていうか。 こっちが焦っちゃうんだよね〜。 「白龍!ひどいよぉぉぉぉぉぉ」 景時さんが床に突っ伏しちゃった! 「まあ、まあ。景時。君が一番なんだからいいじゃないですか」 弁慶さん、少しヘン?なんとなくだけど。 「だよな〜〜〜。父親のクセに姫君の他にまで一番の権利を主張するのはズルイよな〜」 ヒノエくん? 「・・・先輩。俺、諦めてませんから!!!」 あらら?譲くんが走って出て行っちゃったよ? 「神子。沙羅殿に気に入られればいいのだな?」 はあ・・・そういう事といえば、そうなんだけど。敦盛さん? 「・・・・・・身体を大切にしなさい。私はしばらく修行に出る」 先生?!消えちゃった・・・・・・。 「あのぅ・・・皆、なあに?この空気・・・・・・」 え〜っと?沙羅ちゃんのお披露目でしたよね? お婿さん選考会じゃないよ? 「。ごめんなさいね、騒がせてしまって」 「騒がしくはないんだけど・・・・・・」 このあからさまにガックリ来ている空気は何? 沙羅ちゃん、こっちの世界だと一才だけど、ゼロ歳児ですよ?! 「なぁ〜んだかモテモテだね?沙羅ちゃん!」 うふふ。沙羅ちゃんたら、のんきに欠伸してるし。 「そうね。皆様、本気で沙羅ちゃんをお嫁に欲しいご様子ね?実際、ヒノエ殿や敦盛殿なら 年齢も無理ではないのよね」 「朔ぅ〜?別に、年齢は問題じゃないよ」 なるようになるかな? 私はいいけど、景時さんがね・・・・・・ちょっと大変かな? まだまだ遠い日の事だろうけどね! 沙羅ちゃんのこの手が誰かに必要とされる日まで、まだまだ先ですよ?お父さん! 愚図る景時さんを慰めながらの就寝となった日。 景時さんが沙羅ちゃんの一番なんだから、何がそんなに不満なのかなぁ? 謎だよね。 現実問題、沙羅ちゃんのお婿さんが八葉の仲間の誰かだと、私が義理の母なのよね。 それって微妙な気がするな〜。 景時さんは気づいてるのかな?その辺りの事に。 とりあえず。今日も親子で仲良く寝ましょうね! |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!
あとがき:よくある出来事ってことで(笑)細かい事は気にしないのが一番なのですけれど、気になるらしい。 (2006.04.29サイト掲載)