成長待ち  ≪望美side≫





 沙羅ちゃん、可愛いなぁ。
 小さくて、ふにふに。
 昨夜見た時より、大きくなってるみたい!
 景時さんと私の!赤ちゃんなんだよね。

 産んじゃいました。
 最初は怖いな〜とか思ってたけど。
 産まれちゃえば嬉しさの方が大きい感じ。
 景時さんがいつもいてくれるのが、とっても頼れる。



「オレの子だ・・・・・・うわぁ・・・感動・・・・・・」
 あ・・・景時さんの顔、とけちゃいそう!
 抱っこされている沙羅ちゃんが、すっごく小さく見える。
 景時さんって、大きいんだなぁ。

 よかった。嬉しいって思ってくれて。
 これから、また心配病が再発しちゃうんだろうな。
 沙羅ちゃんがお嫁さんになるなんて、まだまだ先なのにね。

 そんなにじぃ〜っと見てたら、沙羅ちゃんに穴があいちゃうかも?
 それくらい沙羅ちゃんを抱っこしながら眺めてる。

 ・・・景時さん、面白い。
 沙羅ちゃんもパパが大好きなんだろうなぁ。
 もう少しで寝ちゃいそう!
 あと少し・・・そのままで・・・・・・眠るまでね?
 そ〜っと抱っこしててね!





 ご飯を食べたら、私も眠くなってきた。
 なんだろう・・・もうどんな姿勢で寝てもいいはずなのにな。
 まだ・・・沙羅ちゃんがいる気がする。
 
 ・・・チガウ。

 繋がってるんだ。
 体は別になっちゃったけど、繋がってる。
 隣に眠る沙羅ちゃんと。
 
 眠るまでついててくれるつもりなんだろうなぁ、景時さん。
 ごめんね?
 退屈だよね・・・・・・三日くらいはお休みもらえたのかな?
 最初だけ・・・最初だけ傍にいて欲しいな。
 全部が初めてなんだもん。
 そっか・・・産んでからも心配って残ってるなぁ。
 私ばかり頼ってちゃダメだよね。
 たくさん覚えなきゃ。





 起きたら景時さんがお母様と何かしてた。
「あの・・・・・・」

「あら。起きたの?のんびりしないと、体の調子が戻らないわよ?」
「そ〜、そ〜!元気なややこを産んでくれたんだしね!」

 景時さんたら!お母様も嬉しそうでよかった。
 だって・・・男の子じゃなかったから、ガッカリさんかなって思ってたから。
 起き上がって見たら、二人でおしめをたたんでた。
 使い易いように準備?

「女の子はお嫁さんになってしまうから心配ね〜、景時」

 はうぅぅ!お母様!それ、禁句ですっ!

「母上。その件ですが、沙羅は嫁にやりませんので」

 ・・・・・・は?!いつ、そんな事決めちゃったの?

「・・・景時が決めてもね?」
「婿をもらいますからご心配なく。オレは家族が減るのは嫌なんです」

 そんなに背筋をシャキーンッて伸ばして言わなくても・・・それにぃ。

「景時さん。もしも沙羅ちゃんがお嫁に行っても、家族ですよ?だから、そんな
先の事を今決めなくても大丈夫だし」

 そう、そう。どこにどうだろうと。家族だよ?
 この場合、コドモはどこへ行っても景時さんの家族。

「・・・あれ?」
「でしょ?もしもの話ですけどね?私と景時さんがお別れしたら別の家族だけど。
コドモはどう離れても家族のままですよ。だって、コドモは血縁だもの。別でも
繋がってるものが残るでしょ?」
「なんだ。そっか。・・・・・・ちょっと待って。オレとちゃんがどうして
別れるの?!」

 もしもって言ったよぅ。わかり易いようにたとえで言ったのにぃ。
 そんなに涙目にならないで。

「もぉ〜、景時さん。こっち、こっち。はい、ここ。変な心配ばかりしてるんだから。
た・と・え・ば!の話でしょ。だから、沙羅ちゃんに好きな人が出来たら、見送るの。
無理に婿取りとか考えない事。わかった?」

 お母様がいらっしゃるけど、景時さんを手招きして膝枕してみた。


「ほほほ。景時ったら、大きなコドモね。手がかかってさんも大変だわね?」
「い、いえ。その・・・例えかたが悪かったみたいなので・・・・・・」
 お母様、そんなに嬉しそうに言わなくても。
 景時さんは・・・また沙羅ちゃんを眺めてる。


「そんなに気になります?」
「うん・・・父上なんて嫌いとか言われて、嫁に行かれるかと思うと・・・・・・」


 なんとなくお母様と目があってしまった。
 しゃべるのなんて、いつかわかんないのにぃ。
 嫌いどころか、まだ言葉すらわかってないよ?
 困ったパパになりそう。

 
 大丈夫。
 沙羅ちゃんは産まれる前からパパが大好きだから。


 景時さんが沙羅ちゃんの隣でごろん。
 私も褥でごろん。
 沙羅ちゃんが真ん中。


「・・・母上。母上も・・・こんな風にオレの事、眺めました?」
 景時さんたら、話が脱線してる。

「馬鹿ね。今でも見てますよ。本当に体ばかり大きくなって・・・・・・」
 景時さんの頭を軽く撫でて、お母様が行ってしまった。



「・・・ふうん。そんなの・・・気づきませんでしたよ・・・・・・」
 指でちょこんって沙羅ちゃんに触ってるのが、ビクビクしてて可愛いんだ。
「気づかないフリでしょ?だって、あんなに家族を守りたがってたもの」
 鎌倉でとても心配していたじゃない。
 大切に思ってくれてる人だってわかってなきゃ、あんなに一生懸命になれないよ?

「あはは。ほ〜んと。ちゃんには嘘つけないな。・・・そうだね。本当は知っていた
のかもしれないね。だから・・・こんな小さな頃からオレを知っている母上を守りたかった
んだろうな。オレさ、邪魔者なのかな〜と思う反面、いつも母上に手招きされていたんだ。
事あるごとに父上に叱られるオレを、後で慰めてくれた手を忘れられない・・・・・・」

 うん。そういうのわかる。
 私も・・・ママの手、大好きだったもの。

「私もお母さんになれるかな?」
「もうなってるよ。オレまで面倒みてくれてる。まとめてヨロシク!」
 調子いいなぁ〜、もう!

「沙羅ちゃんと一緒に成長しなきゃなんですからね!」
「あはは!御意〜〜〜ってね」



 まっすぐ前を向いて。時々振り返って。
 進め、進めなんだからね!






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:毎日大きくなったと言い張るいとこを思い出し。そんなに成長したらガリバー旅行記だよ!     (2006.04.07サイト掲載)




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