安心第一 ≪景時side≫ 女の子が産まれた〜! オレと!ちゃんのややこ。 名前は決まっていたから、沙羅。 沙羅ちゃん! あまりの小ささに触れる事を躊躇うんだけど。 父親なんですよ、オレが。 「どうして景時がここにいるのかしら」 母上が冷たい視線をオレに向ける。 「あはは・・・おはようございます・・・・・・」 「おはようございます!あの・・・私が寒くて、それで・・・・・・」 ちゃんが庇ってくれたけど、それじゃ駄目だ。 「母上。オレが心配でここで昨夜から一緒に寝ました。清めてから ですし、温石の代わりとでも思っていただければ」 チラリと一瞬だけオレを見て、何も言わずに孫へと視線が移った。 オレの事、無視ですか?! 「さんがよければいいのよ〜〜〜。沙羅ちゃんはお目覚めなの?」 「はい!おしめじゃないみたいなんですけど・・・・・・」 母上が沙羅のお尻の辺りに手を当てた。 「ご飯かしら。最初はね、思いついたものを順番にしてご機嫌を伺う しかないのよ。そのうちわかるようになるから」 今度はさり気なくオレに向かって手で払う仕種をされた。 とことんオレを邪魔者扱いですね〜? 負けませんよ、この件に関しては。 オレの!家族なんだから。 「あ、あの・・・お母様。その・・・景時さんに居て欲しいな・・・って」 これには母上も驚いたらしい。 ・・・だろうな。 ちゃんはオレに優しい。 とくに優しい。 とても優しいのだ! 「景時ならいいんですよ?何か役に立つ訳でもないのですから」 あらら。あの・・・・・・。 口を挟めないな〜。確かにお役に立つかといえば微妙なとこだな〜。 「えっと・・・両親が居るだけでも違うかな〜って。景時さんはお休みの 時にしか沙羅ちゃんといられないですし」 そう、そう、そう! ずっとお休みもらいたいくらいだけど。 流石にそれじゃ職が無くなる。 程よくサボって我が家で寛がねばだよな。 「さんは優しいのね。おしめでは無いようよ?」 母上はオレだけを無視して部屋を出て行ってしまった。 「ふぅ〜・・・・・ごめんね?オレ、確かに役には立たないなぁ」 「そんな事ないですよ。私も沙羅ちゃんも嬉しいよ?・・・ご飯あげなきゃかな?」 ちゃんが真っ赤になってる。 ま、理由はなんとなくわかるんだけど・・・・ね。 「景時さんのえっち!」 妻と娘を眺めるのって、えっち?! そうかな〜。オレ以外が見たら、そっちが変だよな? 泣き出した沙羅を素早く抱えてあやすなんて。 ちゃんはもう母親になってる。 ・・・少し寂しい。 仲間ハズレにされたくないから、ここに居座る事にした。 そりゃあ・・・ちょっとは・・・見たいけど。 そんな邪な考えで見たいわけじゃなくて! ある朝、庭の花が咲いていたのを見つけた時の様な。 あんな気持ちで二人を眺めていた。 「景時さんも、抱っこしてみますか?」 うわわ?!オレが? 「・・・大丈夫かなぁ?」 ぐにぐにしていて軽すぎる。 これは・・・・・・どこを持つんだ? 「わ!駄目ですよ、首を・・・そう。あれです。呼吸しやすいのはどんなかな〜 とか、寝ている時に近い感じが楽だと思うんです」 ・・・スゴイ。すっかり母親してる。 言われるままに、手を添えて抱いてみる。 「オレの子だ・・・・・・うわぁ・・・感動・・・・・・」 重みと温かさが。 その存在の大切さと愛おしさをオレに教えてくれる。 どうして父上がオレを邪魔者と思っていたと考えたんだろうな。 武術が苦手なオレを追い出したのではなくて─── オレが一人でも生きられるように。 自分を守る術を身につけられるように。 いつかは大切な家族を守れるように・・・・・・か。 こんな小さい時を知っていたら、尚更だよな。 「すごいなぁ、沙羅に教わっちゃった」 「え?」 「ん。親になるって、こういう事なんだなってね」 沙羅が顔を動かしてる。 話、わかるのかな? 「私も新米ママさんだから頑張らなきゃ!そう、そう。皆に連絡しなきゃですね?」 そういえば、まだ仲間に知らせてなかったな。 「あ!!!オレ、知らせてくる。・・・いや、文にしよう。それがいい」 こんなに揺らしてもちゃんと話をしていても、沙羅ちゃん、泣かないねぇ? おや〜〜〜?辛抱強いのかな? 「そうですね・・・私も、今日はゴロゴロしたいしぃ・・・・・・」 「ちゃんは寝ていていいの!こんな大仕事したんだから」 産んだんだからね、沙羅ちゃんを。 「えへへ。景時さんと私の赤ちゃん・・・・・・」 ちゃんがすごく嬉しそうに笑ってる! オレもすっごく嬉しいんだけど、どうしたら伝わるかな〜。 「そろそろ交替しますよ。沙羅ちゃん、また寝ちゃったみたいだし」 確かに。口をもぐもぐしていただけで寝てしまった。 やっぱり、朝起きたのは煩かったのかな。 気をつけないとね〜。 ちゃんの隣で、スヤスヤと眠る我が子。 いいなぁ・・・こういうの。 じゃなかった! 「文書かなきゃだね〜、文。・・・書く前に知られてそうな感じだね?」 「そうかも。先生とかとくに」 そうなんだよな。知られてそうなんだよ。 とはいえ、ここは礼儀として文できっちりお知らせしなければ。 ついでに、九郎ならお休み長くしてくれるかもしれないし。 「、入るわね?」 朔の声だ。オレは無視なのね。いいけどさ〜。 「、朝餉食べられそう?」 「うん。少し食べたいかも・・・・・・」 そっか!まだだったね〜、食事。 「兄上もついでにどうぞ」 「あ、ありがとう」 オレの分の膳をついでに置いてくれてありがとう、朔。 ついでなんだね。ついで。オレはついでね。はい、はい。 お休み中の沙羅ちゃんを眺めながら、ちゃんと朝ご飯。 これは・・・楽しすぎでしょ! それにしても、動かないなぁ。 寝てる。とにかくよく寝る。 次はいつ起きるのかなぁ〜〜〜。 オレの事、わかるのかな? ちゃんが眠っている間に、仲間へ文を書いた。 『沙羅が元気に産まれました。女の子だからね!』 次はっと! ちゃんが目覚める前に沙羅の世話の仕方を母上に習っておこうっと! 何があっても大丈夫って思ってもらえるようにね。 |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!
あとがき:前向き景時くん。女の子が相当嬉しいんですよ〜、新米パパは。めろん、めろんvvv (2006.04.07サイト掲載)