初仕事 ≪望美side≫ 寝てる・・・・・・。 ずっと傍にいてくれたから。疲れたんだよね。 この時代の武士さんが、奥さんの出産に付き添ってるって。 変だよね? 普通は側室さんがたくさんいて。 子供もたくさんで。 跡継ぎ問題なんかで、ばばばーんっと事件が起きちゃって! ・・・テレビの観すぎだわ。 大奥じゃないのよ、大奥じゃ。 今のはなかった事にして。 手を握ってくれていた人なんて、いないと思うよ。 ここで一人で寝るのは嫌だなぁって。 でも、沙羅ちゃんいるし大丈夫かな・・・とか思っていたら。 景時さんが一緒にいてくれるって! お母様に、後で叱られちゃわないかなぁ? 平気って・・・無理してなぁい? 「オレが居ると温かくない?」 うん。温かいよ。 体温も嬉しいけれど、気持ちが何倍も温かい。 今日から景時さんはパパですよ! 「パパだね?」 私もママ。でも、私はお腹スッキリさんだから。 沙羅ちゃんが生まれた!って自覚はあるの。 景時さんはどうなのかな? 「パパかぁ・・・・・・」 だよね。沙羅ちゃんのお世話したりとか。 そういうのが始まらないと実感ないかも。 ここに寝てるだけだもんね、まだ。 起きたら泣くのかな?それとも笑う? 沙羅ちゃんの行動はまだ予想できません。 ちょっとだけ。 今日だけは景時さんに甘えたいなって思って。 沙羅ちゃん、ごめんね? 明日からは沙羅ちゃんのパパだから。 今だけママにパパを全部下さい。 だって、景時さん寝てるんだもん。 可愛いな〜。 安心しちゃったんだね。 私も隣で寝るんだ。 私も安心。 明日からは、何もかもが初めて─── 「パシンッ!」 ・・・いい音したよ?何? 「朔〜〜〜、酷いよ、扇で叩くなんて」 「兄上。どうしてここにいらっしゃるの?は体が弱っているの。悪い病 でも持ち込まれたら・・・・・・」 「清めたよ。清めてからここへ来たんだからさぁ。ほら、二人が起きちゃう」 二人?えっと・・・あ!私と沙羅ちゃん? 「兄上のお声が大きいのよ。それに、朝餉の前に部屋を温めないとと思って。 火鉢を見にきたら兄上が、ぐーすか寝ていらっしゃいますし?」 あはは!まだ時間は早いのかな・・・・・・ん。空気が冷たいから。 「ぐーすかって・・・そんなに煩くないでしょ。いいの!オレが居るとね、 温かいって言ってくれたの!」 う〜。うずうず。目を開けたいよぅ。二人、面白すぎ! 「・・・ふう。とにかく。兄上は出ていらして。食事も別」 「やだ。オレもここ。いつでもちゃんと一緒。仕事はしばらく休むって 九郎に許可もらったもんね〜〜〜」 あの・・・景時さん?子供になってますよ? それに、九郎さんにって・・・・・・。 「兄上は、皆様の迷惑をお考えになられているの?・・・まったく、もう」 「ご迷惑も何も、オレの大切な事なんて決まってるんだから、九郎だって いいよ〜ってなもんだよ。そりゃもう、九郎が頼朝様最優先なのと同じだって」 あ〜〜〜。そうね、九郎さんはブラコンだわ。 景時さんってば、しっかり見てるのね〜。 「兄上。皆様の件は後できっちり話し合うとして。ここではの負担になります から。ご自分の部屋で休んで下さい。産屋で寝る殿方など、聞いた事がありません」 「いいよ、無くても。オレが最初になるから。ここで妻と子を守るんだって!」 「ふぎゃあ!!!」 「ええっ?!泣いちゃったよ。泣き出したよ。どうするの?!朔!こういう時は!」 「私だって、存じません。こんなに小さなややこは初めてですもの・・・・・・」 あら、あら。沙羅ちゃん、お目覚めね? 景時さんも朔も慌てちゃって! 「おはよう、沙羅ちゃん。少し待っててね?」 小さいけど温かいの。 お腹が空いたのかな?おしめかな?それとも退屈? 抱き上げて、少しだけあやすと静かになったよ。イイコ、イイコ。 「ちゃん・・・その・・・起こしちゃって、ごめんね?」 「・・・ごめんなさい。ここで少し煩かったわね」 そうじゃないと思うけどな。 「起きる頃だったんだよ。でもね、私じゃお腹かおしめか判断つかないな〜。お母様、 もう起きていらっしゃる?どうしていいか、私もわからないの」 おしめの仕方も知らないし。抱っこしか出来ないもん。 「待ってて。今、呼んでくるわ!」 「ありがと、朔!」 困ったな〜。お尻は濡れていないっポイんだけど。 口が動いてるから・・・ご飯? ご飯って・・・ご飯!!! 沙羅ちゃんを見ていた視線を上げたら、目の前に景時さんが! いつのまに? 「小さいね・・・・・・」 「うん。でも・・・パパに似れば大きくなるかも」 まだどっちに似ているか判別できるほどの顔じゃないな〜。 大丈夫かな?ちゃんと人になる? 「女の子だから・・・いいよ。そんなに大きくならなくても」 「すらっと背が高いと素敵ですよ?」 「うん。無事に育つなら何でもイイ」 そっか。そうかも!・・・その前に。 「景時さん。その・・・沙羅ちゃんのご飯の時はね?お部屋の外にいて欲しいな〜なんて」 間違いない。沙羅ちゃんのご飯は、私の・・・なのよ。 景時さんの前でそれはちょっと・・・・・・。 「ええっ?!家族水入らずでいいよ!大丈夫!オレも沙羅の世話、する!」 「ちっ、違う・・・その・・・・・・」 あぅ・・・どう説明すれば!だって、出さなきゃ飲ませられないでしょう? 沙羅ちゃんの最初のご飯はご飯じゃなくて、乳なのよ。お乳!!! どう説明すればいいものやら。 「だってさ〜。沙羅ばっかりズルイ。居るくらいいいよね?」 「は?」 今のって・・・知ってて居るって事?! 沙羅ばっかりって、それがご飯なんだから。 「景時さんのえっち!」 「これだけは嫌だね〜。ちゃんはオレの奥さんだもん。沙羅にだけ独占させな〜い」 意味不明の理屈で丸め込まれちゃった。 今日から子供は二人です・・・・・・。 沙羅ちゃんのご飯が見たいって、ちょっと変なパパでコドモな景時さん。 大きい子供が増えましたv |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!
あとがき:望美ちゃんもようやく自由に動けますよ〜。沙羅ちゃんの誕生日いつにしようかな〜。 (2006.03.12サイト掲載)