予感  ≪望美side≫





 変・・・だった。なんとなく。
 どこが?って言われると、顔に抜けた睫毛がついてた!くらいの。
 何となく変なんだけどな〜、痛いんじゃないからいいやって。
 いつもの様に景時さんを送り出して。
 今日はお洗濯物を干す手伝いをしてたら、景時さんが居た。
 休むの忘れちゃったなんて!

 ・・・景時さんだなぁ、嘘ばっかり。
 休んでくれたんだよね?
 最近、お休み無いの?って聞いたから。
 嬉しいな〜。二人で何しよう・・・・・・うっ?



「・・・・・・お腹・・・痛い・・・かも?」
 痛い?変?痛い・・・かな?痛い・・・・・・。
ちゃん!支えるから、少しだけ我慢して歩いて?」
「う、うん。・・・歩けます・・・よ?」
 歩ける。歩けるんだけど・・・変。

「わかった!気持ち悪いんだ!」
 痛いんじゃなくて、気分が悪かったんだ〜。なぁ〜んだ。
「ええっ?!気分が悪いの?え〜っと・・・・・・」
 困らせちゃったかな?でも・・・変なの。
 

 年明けから産屋が準備されていて。
 わざわざ出産用のお部屋っていうのが不思議だったんだけど。
 出産は穢れらしいし。そうだよね〜。
 いつものお部屋じゃ景時さんが落ち着かないよね。
 いる場所無くなっちゃうし。離れててよかった。


「ふぅ。よいしょっと。・・・・・・あれ?痛くなくなった?」
「そう?!それならよかった!え〜っと、誰か呼んで来るね?」
「やだ!景時さん、いて」
 イヤだもん。一人は嫌なのっ。

「え〜〜っと・・・じゃあ・・・どんな姿勢が楽?」
 景時さんの“ちょっと困ったなのポーズ”が可愛い!
 嬉しいな。わがまま聞いてくれるんだ。

「抱っこ」
 寝てるのより、抱っこがいいなぁ。

「抱っこね、抱っこ・・・・・・」
 わ〜い!起こしてもらっちゃった。
 抱っこはね、背中が楽であったか〜なんだ。


「どうかな?苦しくない?」
「はい。でも・・・やっぱり変。なんでしょうね?産まれたいのかな?」
 軽くお腹を叩くと、いい音。

「うわわ!駄目だよ、そんな。大切に、大切に・・・・・・」
 景時さんが撫でてくれた。気持ちイイ。落ち着くぅ。



「・・・気持ち悪い・・・かもっ・・・うぷっ」
 何かこみ上げるんだわ〜。変なものは食べてないよね?
「ええっ?!やっぱり誰か・・・・・・」
「嫌です。嫌なのぉぉぉ!」
「ごっ、ごめんっ!」
 叫ぶ事もないのに、叫んじゃった。景時さんが真っ青だよ〜。

「ご、ごめんなさい。その・・・一人は・・・怖いの・・・・・・」
「そう・・・だよね。うん。居るしか出来なくて、オレって・・・・・・」
「違うの。景時さんと一緒なのが一番安心なの」



 二人で産屋に居ると、お母様と朔がみつけてくれた。
 よかった。いつでも産んでヨシ!って事ね。
「景時は出ていなさい」
「そ、そんなぁ〜〜〜。オレ・・・・・・」
 景時さんの困り顔って、可愛いの。
 見る余裕が無いのが残念。だって、痛いよぅ!
「・・・ぅっ・・・・・・あの・・・手・・・・・・」
 立会い出産なんて、この時代にはありえないよね。
 手を繋いでって言おうと思ったけど止めた。
 景時さんが叱られたら、可哀想だもん。
 痛いけど・・・頑張るからね。





「朔。几帳を立てて、景時から見えないように。景時は手だけ出しなさいな」


 ガタガタ音がする・・・そっか。几帳が増えたのかな・・・・・・。
 繰り返される痛みの中で、頭がじぃ〜んとしてきた。
 また痛い波が来るんだよね。

「はぁ〜〜〜〜〜」
ちゃん、苦しいの?大丈夫?」

 手にひんやりとした感触。景時さんの手だ・・・・・・。

「・・・景時・・・さん?あの・・・ここにいたら・・・・・・」
「うん。母上がね、ここならいいってさ。顔が見えなくて残念だけど、手だけね」
 几帳の下から伸ばされた手をしっかりと握り返す。




 景時さんと私の赤ちゃんだよ。
 もうすぐ・・・パパとママになる───






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:これは経験ないもので。友人談からちょろりと。     (2006.02.28サイト掲載)




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