～Heavenly Blue～景時夢『若水』（望美編）

若水　　≪望美ｓｉｄｅ≫

「よいしょっと。今朝は・・・お仕事！」
　最近お腹が重くって。
　何をするにも掛け声がでちゃうの。
　だから───

「おはよ～、ちゃん」
「わわっ！ごめんなさい。起こしちゃいましたね？まだ、寝てていいですよ？」
　またやっちゃった！
　たまに早起きすると景時さんを起こしちゃうの。
　やっぱり別に寝た方がいいかな？
　最近は早起きしないから、うっかりしちゃった。

「ん～？起きてるよ？ちゃんといたいから寝たふりしてるだけ～」
　しっかり起き上がって、座ってる。
　しかも、“ふり”ってなぁに？フリって・・・・・・。
　そうだ！

「明けましておめでとうございます！今年も・・・・・・」
「よろしくっ！ずーっとよろしく！さて、沙羅ちゃんにも挨拶」
　景時さんにお腹を撫で撫でされると気持ちいいんだよね～。
　う～ん。ほんとにいいパパさんになりそう。

「ところで・・・お仕事って何？いいんだよ、ちゃんはのんびりしてて。家は他に
女手あるしさ。もう産み月なんだから」
　景時さんに上着をかけてもらっちゃった！じゃなくてっ。
「きょっ、今日だけはお仕事あるの。その・・・若水を・・・・・・」
　そうなの。新年最初のお仕事。これだけは譲れないの。
「あ～～～、そんな話しそうなのは母上かな？ちゃんは重いものはダメだって。じゃあ。
一緒にしようか。ほら、若水を供えるのは主の役目だから」
「で、でも・・・・・・」
　それじゃ私のお仕事は？
「いいの、いいの。梶原家はオレがいちおうは主なんだから。支度してからじゃないとね」
　
　屈む姿勢が出来ない私のために、ここのところ枕元に支度が整えられてるの。
　朔がね、いつも準備してくれていて。
　それに、着替えも手伝ってくれるんだけど・・・・・・。

「はい、お待たせ。手伝うからね～」
「ええっ？！」
　景時さんに手伝われちゃうの？それって、それって！
「ん～？どうしたの？ダメだよ、無理しちゃ。あ、オレじゃ嫌？朔を呼んでくる？」
　思いっきり首を横に振りました。だって、朔の手を煩わせちゃ意味ないし。
　でも、景時さんの手を煩わせても意味ないのよぅ！

「あ、帯ね～。流石に上手くないだろうけどさ。結ぶだけなら出来なくもないよ？はい、袖はこっち」
　あれれ～っという間に、着替えてました。景時さん、器用だ・・・・・・。
「ありがとうございました」
　もう、なんていうか。妻失格だよ。
　夫の着替えを手伝わずして、自分が着替えさせてもらってるなんて！
　新年からこんなんでいいの？！ダメだよ、私。
「嫌だな～、そんな他人行儀なの。いいの、いいの。オレってばもうすぐ父親だしぃ～」
　景時さんに手を引かれるままに、井戸端へ着いちゃった。

「さて～。初めての水でも汲みますか！ちゃんはここに手を添えるだけね」
　あ～～～。それって・・・何もしてません。見てるだけと変わんないよぅ。
　鼻歌交じりでご機嫌に水汲みをしている景時さん。
　すっごい可愛い！
　けど、私が何もしていない！！！どうなの？！

「・・・いしょっ。飲んじゃおうかな？初若水」
　景時さんが飲んじゃった！
「はい、ちゃんも～～～」
　うわわ。景時さんの手から？！え～っと？飲むしかないよね？
　・・・・・・水だわ、水。ただし、今年初めての井戸の水。
　これぞ若水なのよ！私が飲んでいいの？！

「残りは朝ごはんに使って。後は神様に供えますか！台所だね」
　私の未来が見えたわ～。旦那様に大切にされまくるダメ奥さん決定よ。
　ぐうたら主婦、一直線。
　景時さんに手を引かれて歩くだけ。

「ず～っとさ、こう・・・二人でっていうか・・・こういうの・・・いいよね」

　あらら？景時さん、耳が真っ赤だよ？
「はい！えっとね、私も。景時さんと一緒がいいです」
　そ～なの。大切にされまくっちゃってて、ダメダメ奥さんだけど。
　こういうのもアリ？
「・・・ありがと。大切にするから。その・・・・・・」
「景時さん！あのね？大切にしてもらってるの嬉しいです。私もね、いい奥さんで、お母さんになれるよう
頑張りますね？」
　うん。これでヨシ！これでいいのよ、景時さんと私は。
「その・・・うん。ちゃんは最高の奥さんだよ？お母さんの件はさ、オレもお父さん初めてだから。
何でも言ってね？」
　はうっ！景時さんって・・・可愛すぎだわっ。
　死にそうよ。もうダメ。無理。その照れた顔は誰にもみせたくなーーーい！

「ちゃん？」
　そぉ～だ。いいこと思いついちゃった。

「スキッ！」

　軽くジャンプして景時さんの頬にＫｉｓｓ！
　今年初のキスだよ？
　今日からは、何でも今年“初”だもんね！毎日、楽しいよ。

≪景時×神子に３０のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が？！

　あとがき：正しくは宮中の儀式かららしいです。新年、最初のお水ということなので、こんな感じでv　　　　　(2006.02.02サイト掲載)

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