大晦  ≪望美side≫





「おおつごもり?おおみそかじゃないの?」
「ん〜?晦日は三十日と同じ。一年の最後の月隠れだから大晦」
 ・・・・・・そうなんだ。そっか。まだ太陽暦採用してないから。
 またも新発見だわ〜〜〜。同じ字なのに読み方がチガウなんて。
 景時さんのいうのが本来の意味なんだろうな。

「用意するものは・・・・・・」
「ああ。母上と朔がしてるし、いいでしょ。ちゃんはオレとここ」
 ここって・・・景時さんに抱っこされてるし。
「私もお家の事、覚えたいです」
「いいよ、何もないし。掃除して神様にありがと〜、来年もよろしくだけだし。ね?」
 その掃除がぁ!嫁失格だよ、これじゃ。
「で、でもね?お家の決まりとか色々覚えないと・・・・・・」


「兄上、。申し訳ないですけれど、お隣の部屋へ移動して下さいな。今度は
こちらのお部屋を掃除しますからね」
「御意〜ってね!悪いね、今年は手伝えなくて」
 あらら?景時さんもオサボリ?
「大丈夫ですわ。譲殿の方が、兄上よりすべて!とても!上手ですの。将臣殿も
背が高いし、本当に皆様がいらっしゃるので助かりますわ〜」
 さ、朔。そんなに高らかに笑って言わなくても・・・・・・。
 景時さん、落ち込んじゃう・・・わないよ?!

「だぁ〜よねぇ〜。だから!オレとちゃんはあっちでぬくぬくしてるからね〜」
「あ、あの!」
「いいの、いいの。行こうね〜〜〜」



 本日、二十八日。庭では餅つき。家では掃除。
 私は邪魔者・・・・・・。ううぅ。役立たずの嫁。



ちゃん、どうしたの〜?寒い?火鉢を・・・・・・」
「私だけ何にもしてません。新年の準備・・・・・・」
「な〜んだ。ちゃんは新年より大切な準備してるんだから。いいの、いいの。ね?」
 お腹を撫でられちゃった。そっか・・・お母さんの準備?
 ちょっと意地悪しちゃおうかな。

「じゃあ、景時さんは?何もしなくていいの?」
「オレ?オレは家族を守る大役ですよ〜、ほら。こんな感じで」
 ぎゅぎゅってされた。家族!二人分だ〜。
「えへへ。じゃあ・・・お餅つきを見ませんか?簀子で・・・・・・」
「寒いよ!そんなの。ダメ」
 だってぇ・・・・・・。いいなぁ、つきたてお餅。
 そんなのテレビでしか観た事ないのにぃ。

「あ、あのですね。私ってば、つきたてのお餅を食べてみたいなぁ〜なんて・・・・・・」
「そう?じゃ、少しもらってこようか?」
 いやーーーーん。観たいの、観たいの!お餅つきぃ。

「じゃなくってですね?そのぅ・・・私のいた世界ではね、お餅は四角く真空パックで・・・・・・
えっと、袋に一個ずつ入って売られていて。作ってるの観た事ないんです。だから・・・・・・」
 景時さんが顎にてを当てて考え中。もう一押しでイケルかな?

「みんなでワイワイしてるの・・・楽しそうですよね?・・・・・・ね?」
 自分でも、どうしてこんなに必死に言ってるのかとも思うけど。
 ライブで餅つきだよ?ぺったん観られるチャンスだよ?

「よし。ぐるぐる抱っこでいいならいいよ。それが嫌ならダメ」

 ・・・・・・景時さん。お外ではそういうの恥かしいって言ってるのにぃ。
 意地悪して返されたよぉ。わかってて言ってるでしょ〜〜〜〜。


 今度は私が考え中・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「観たいです。ぐるぐるOKです」
「よし!じゃあいいよ」



 皆の前で、ぐるぐる抱っこでお餅つき見学。
 思いっきり景時さんの頬擦りもついて。
 将臣くんは私たちを無視して杵でお餅つき。
 お手伝いの人も、見ないようにしてくれてるのがあからさまにわかって。

「はい!あ〜ん、きな粉つけたからね?」

 景時さんにお餅まで食べさせてもらって。
 お餅の味、わかんなかった。
 沙羅ちゃん・・・パパってね、かなりの心配症だからね。
 歩かせてもらえなさそうとか想像したら可笑しかった。






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:景時くん、過保護の巻。本人自覚ナシ(笑)     (2005.12.30サイト掲載)




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