秋寒  ≪望美side≫





 そうだよね。
 そろそろ・・・・・・学校だったらコート着てた───



 今日も洗濯日和ぃ〜な秋空。
 夏だと空の青と。
 雲があれば白の境目がくっきりしてるんだけど。
 秋の空はちょっとチガウ。

 はっきりとしているところは同じだけど。
 空が・・・高く感じる。
 背伸びしながら手を伸ばしてみる。


「うぅ〜ん!あはは。気持ちいい〜」

 お洗濯の続きしなきゃ。
 と、いっても。屈むのはよくないとかって。
 最近は干すのくらいしかさせてもらえない。
 段々と行動が制限されつつあるんだよね・・・・・・。
 私のいたトコロだと、駅前とかで普通にショッピングしてたけどな。
 妊婦さん、結構見かけたよね〜〜〜。
 私にだけ過保護っポイぞ?

 

「沙羅ちゃん。深呼吸したら、楽しいかもね?」
 澄んだ空気を肺いっぱいに吸い込む。
 ゆっくりと吐き出して。
 何回か繰り返したけど、反応ナシ。


「沙羅ちゃんは、パパじゃないと反応しないのかな〜?」
 洗濯物も干し終わったし。
 今日は何しようかな?
 軽くお腹を撫でながら空を眺めた。





「・・・・・・くしゅんっ!」
ちゃん?!風病かな?大変だ〜、温かくしなきゃ!!!」
 くしゃみしただけなのに、景時さんに抱えられてた。
 あれ?


「景時さん?お仕事は???それに、どこから来たの?」
「えっ?仕事は・・・中止。どこからって、庭から。この時間なら、洗濯物を
干してるかなって。間に合ったら一緒にって思って・・・・・・じゃなくて!」
 部屋に下ろされると、バサバサと褥を敷き始めてるし。


「あの・・・くしゃみしただけですよ?」
「うん。でもね、大切な体なんだから、大事をとった方がいいよ!」
 うひゃっ。そ、そんなぁ〜。
 せっかくいいお天気なのに、寝かされちゃったよ?
「よしっ!後は・・・朔に温かい白湯を用意してもらってくるね!」
「あぁ〜〜、その、そんなに大事をとらなくても・・・・・・」
 私の声なんて、聞いてないし。
 走って行っちゃったよぅ。
 お天気いいのに・・・・・・お仕事ないなら、一緒にお散歩行きたいのにぃ。



 すぐに朔と景時さんが戻って来た。
 間違いなくヤバイ。この展開は・・・・・・。
、ごめんなさいね。これからは洗濯物を干すのもしなくていいわ」
「そ〜だよ、朔。ちゃんは大事な体なんだから!」
 朔に手渡された白湯の椀は温かかった。
 うん。嬉しいんだけど・・・私抜きで話進んでるし・・・・・・・・・。

「そうよね、これからは寒いし、起きなくてもいいんじゃないかしら」
「だぁ〜よね〜!あ・・・でもさ、『いってらっしゃい』してもらえないのサビシイな」
 朔が床を叩いた。
「何言ってるんです!それくらい、兄上も我慢して下さい!」
「・・・はい。だよね、我慢だよね」
 あぁ・・・景時さんがしょげてる。わかりやすい。
「それに、今日はどうして家にいらっしゃるんです?仕事くらいして下さい」
「あっ!トゲがあるな〜。くらいって・・・・・・違うよ。ちょっと中止なんだってば」
「仕事が中止なんて無いでしょう!!!」
 また朔が床を叩いた。
 うぅ〜ん。景時さんのフォローしたいけど、仕事が中止は確かに変よ。
 聞きたいから、このままで見てよ〜っと。
「いやね?今日は帝の行幸があるからって話だったんだ。でもさ、占いが良くないらしくて
取止めになっちゃって。でさ、警備中止。ついでに急ぎの仕事もなかったから・・・・・・」
「そのまま帰ってらしたの?ちゃんと九郎殿の許可を頂いたのでしょうね?」
「い、いや・・・今から。そ!今から文を書こうかと・・・・・・」
 なぁ〜んだ。じゃ、将臣くんたちも暇そうだよね。
 今日は遊びに来てくれるかな?
「兄上!物事には順番という物が!!!」
「はいぃぃぃっ!はい。今すぐ書きます。もう、すぐにでも!!!」
 景時さんが姿勢を正してて面白い。
 何だか、先生と生徒みたいだよね、この二人。
 しかも、コントに近いテンポの良さが、私に間に入るタイミングをくれないのよ。


 その時、部屋の戸がいい感じで勢いよく開いた。
「景時!朔!そう煩くては、さんが休めないでしょう!」
 あはは!お母様だ。さすが。
 この二人の間に入れるなんて!
「ごめんなさい!」
「すいませんっ!」
 二人が小さくなっちゃった。

「大丈夫ですよ、お母様。くしゃみしただけなんです。多分、深呼吸したから。
急に胸を冷やしちゃっただけです」
「そう。それなら・・・・・・。小袖を少し厚手のものにして。別に普段通りにしていいのよ?
ただ、水仕事は冷えるといけないからあまりしなくてもいいですよ」
 お母様の手、温かい。そっか。私の手が冷たいんだ。
「はい!じゃ、お散歩とかはいいですよね」
「ええ。景時。二人で紅葉でも観に行ってらっしゃいな」
 わ。そっか。もうそんな季節だ。
「はいっ!行きます、行ってきますっ!」
 やった!よかったね、沙羅ちゃん。
 パパとお散歩だよ?


「わ〜い。お散歩だ。朔も行こう?皆で行こうよ。白龍も黒龍も連れて」
「えっ・・・そ、そうね。そうしましょうか・・・・・・」
 うふふ。朔が気にしてる。いいのに。
「景時さん。文を書くんですよね?私もおにぎり作るから、少し待ってて下さいね!」
 お昼はおにぎり。
 おにぎりって、作って少し経つと美味しさ倍増なんだよね〜。謎だわ。
「う、うん。そうだね。文より馬でさくっと行ってくる!すぐに戻るからね」
「はい。気をつけて」
 よ〜いしょっと。よかった。寝てるなんて退屈スギだもの。
 褥から起き上がれば、お母様が笑ってた。
 私の退屈、見抜かれちゃいました?いつもありがとう、お母様。





 紅葉、青い空に映えて綺麗だといいな───






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:梶原兄弟の遣り取りがとても好きですv     (2005.11.2サイト掲載)




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