麺は麺でも  ≪望美side≫





 お料理はね、してみたら楽しかった。
 だから、得意になったかな〜って思ってるんだ。
 景時さんが『美味しいっ』て言ってくれるから。
 また頑張っちゃう。あの笑顔に弱いんだよね〜。

 でね、ずぅ〜っと食べたいものがあったの。
 一度知っちゃうと、食べられないのツライ。
 味って覚えちゃうもんなんだなって思った。
 そして、覚えたものは忘れないんだって───



?!何してるのっ!」

 何って・・・小麦粉捏ねてるの。
 朔が血相を変えて走ってきた。

「駄目よ、力仕事をしては」

 あ〜〜〜。だって、食べたいんだもん。どぉ〜しても。
 無いから作るしかないんだもん。

「そんなに心配しなくても、こうして押してるだけだし・・・平気だよ?」

 実際、重いものを持ったりしてるんじゃないんだよね。
 粉をぎゅぎゅって押してるダケ。

「うどんなら・・・私が打つから」
「これ・・・うどんじゃないよ」
「えっ?!」

 そんなに驚かなくても・・・・・・。
 それに、これうどんに見えたんだ・・・・・・。
 そっちの方がショック。

「・・・・・・麺・・・よね?」
「麺・・・だよ」

 しまったなぁ〜。見た目が“きしめん”だよね。
 フェットチーネ・・・っていうのも言い訳がましい・・・よね。
 細麺が好きなんだけど、上手く切れなかったんだよ〜。
 そう、私の食べたいもの。
 それは、パスタなの。

「・・・ふぅ。私でも出来そうなものかしら?とにかく。は無理しないで」
 えっ?!でも、これは・・・・・・・・・・・・。

「ダメ!私が作ったのを皆に食べて欲しいのっ。今日の夕餉なの」
 朔が麺を作っちゃいそうだったから、お断りしちゃった。
「・・・他に出来そうな事があれば、手伝うわ」
「うん!じゃあね、サラダとぉ、スープも作るから。そっちをお願いしてもイイ?」
 えっへん!本日のディナーは、の秋のきのこスペシャルなんだ。
 お品書きとか書いちゃおうかな〜〜、レストランみたいに。

「きのこ・・・ばかりね?」
 朔が篭に山盛りのきのこを眺めてる。
「えっとね、これはね練習だから。ポタージュスープに小さく切ったのを入れるの」
「わかったわ」

 どうして今から準備しているかというと!
 今日はね、景時さんがおやつを食べに帰って来そうだから。
 意外に甘いものが好きみたいで、食べてる時に“ニコッ”って可愛いのv
 だから・・・・・・夕餉の準備は早めにしないと。
 パスタもお試しにお昼に食べてみようと思ってるし。

「お昼にちょっぴりお試しに作るから、食べてみて?きのこのクリームパスタ」
 朔が笑ってる〜。いいでしょ、味見くらいしてくれたって。
「黒龍と白龍もよね?」
「もちろん!・・・・・・白龍は何でも美味しいっていうから参考にならないんだよね」
 自分の神子だから気を遣ってるのかな〜。
 白龍はいつもニコニコと美味しいしか言ってくれないんだよね。
 白龍の場合、食べ物とそれ以外っていう認識しかなさそうで怖い。

「黒龍もさ・・・たまには感想言ってくれてもいいのにぃ・・・・・・」
 食べてはくれるし、残さないでくれるけど。
 あの顔は、味をわかっていない感じなんだよね〜〜。
 妙と思ってる顔だよ、アレ。
 朔が作る食事にだけは、いい反応するよね。複雑・・・・・・。

「二人とも、もの珍しいのよ」
「・・・それはそうだよね。神様なのに、おやつ食べたり。私も珍しいと思ってるよ」
 普通にしていれば、普通の子供な二人なんだよね〜。
 京を守護する龍神様だなんて、誰もわからないよ。
 
 その後も、朔とおしゃべりしながらお昼用のお試しパスタを作った。
 そうだなぁ〜、お昼をクリームソースにして。
 夕ご飯の時はトマトがいいかな?スープもつけるから。





「・・・どう?」
「うん!美味しいよ、神子」
 ・・・・・・白龍。口の周りが大変よ。
 こっそり黒龍を見れば、やっぱり変な顔してるぅ〜。
「朔はどう?」
 そんなに考えちゃうような味?私も食べてみよ。

「・・・・・・美味しいっ!」
 これだぁ。パスタだよ、パスタぁぁぁぁ。食べたかったよぉぉぉ。

、これは・・・・・・」
 朔がうるうる目だよ〜。ダメ?かなり成功だと思ってるんだけど。
「・・・・・・食べ過ぎてしまうわ」
 そっち?!

「でもさ、きのこだし。毎日食べるわけじゃないから・・・・・・ね?濃い感じだけど、そんなに
体に悪いものは入ってないよ」
「私も覚えたいわ。、教えてくれる?」
「あはは!じゃ、今度作るときは一緒に麺から作ろ〜。私ね、景時さんに発明お願いしよう
かなって思ってるんだ」
 よかったぁ〜。朔もパスタ好きだって!何を入れてもいいから、便利なんだよね。
 まったりチーズがないのがイタイけど、仕方ないか。
 次はアラビアータとかもいいよね〜。

「・・・この“ぱすた”と兄上の発明は関係あるの?」
「あるの。私、捏ねてたでしょ?あれをこう伸ばして、切ってくれる機械・・・・・・道具があるの。
あれがあったら便利だよなぁ〜って」
 あらら?朔ったら。眉間に皺があるよ。

「大丈夫だよ。私はちゃんと知らないけど、譲くんに頼んで景時さんに説明してもらうし。
景時さんならパスタマシーン出来ちゃうよ!」
「・・・・・・は兄上の失敗をまだ知らないから」
 失敗〜?うぅ〜んと。あのお部屋だよね?ちょっと壁がヒビになっていた、あ・の。
 今は綺麗になっちゃってるしぃ。
「・・・そんなにすごいの?」
「・・・・・・そんなにすごい場合もあったわ」
 それは、どんな?朔は話したくなさそうだぁ。
 だって、ものすっごい大きな溜め息。
 なんとなくだけど・・・景時さん、どでかい失敗してるみたい。
 この件については、今後触れない方がいいかなっ。あは!

「神子!今日のおやつは?おやつは何?」
 すっかり食べ終わった白龍の口を拭ってあげる。
 なんだかなぁ〜。男の子だと、こんな感じになるのかな?気分だけはもうお母さんだよ。
「今日はおさつのお菓子だよ」
「ふ〜ん。楽しみ!」
 うふふ。すっかり黒龍と仲良しさんだね。二人で走って行っちゃった。

「ね、朔。黒龍・・・はさ、普通の子供じゃないから。白龍の時みたいに突然大きくなるのかな」
 朔が庭で遊んでいる黒龍を見た。
「・・・・・・そうね。陰陽の気は整いつつあるけれど」
「うん。九郎さんたち皆頑張ってるけどさ、戦の後の気の乱れは・・・そう簡単じゃないよね」
 でもぉ、伸びた気がするんだよね〜。黒龍の髪が!

・・・私は大丈夫だから。居なくなってしまった時の事を考えたら、今は・・・・・・」
「うん。朔・・・・・・私がいるよ。頼りないかもしれないけど・・・・・・私ね、黒龍の髪が伸びたんじゃ
ないかなって思うんだ。だから・・・・・・」
 朔をぎゅうって抱き締めた。



 初めてこの世界に来た時に会った、大切な人で大親友の朔。
 私ね、貴女の恋を応援してるの。
 だって、朔が言ってくれたんだよ?だから・・・・・・景時さんとこうしていられるんだし。
 二人で最高の幸せ掴もうね!
 





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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:朔ちゃんもね、幸せになって欲しいのです。はい。     (2005.10.6サイト掲載)




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