犠牲者は? ≪望美side≫ 久しぶりに九郎さんと弁慶さんが立ち寄ってくれた。 「わぁ〜、今おやつとお茶を用意するから。少し休んで行って下さい!」 引き止めちゃった。だって、お話する人欲しかったし。 「・・・具合はどうだ?」 九郎さんたら、口は悪いけれど心配性だよね。 「すっごくいいですよ?あのね、景時さんが歌を歌ってくれたりとか。楽しいの」 九郎さんの目は点になっていた。あれ? 「さん。体調には気をつけて下さいね。大切な身体なんですから」 弁慶さんも、さすが薬師さんだよね。 「えっと・・・寒くないようにぃって。衣をまきまきして抱っこしてくれたり。夏はね、夜とか暑いの 知ってて団扇で扇いでくれてたり。景時さんがとっても大切にしてくれてるんで大丈夫です!」 弁慶さんの頬が、少し引きつった?あれれ?笑いたいの我慢な感じだよ? 次は、ヒノエくんが来てくれた。 「姫君の為に、お菓子を手に入れてきたんだ。どうだい?」 嬉しいなぁ。そうなの、甘いものは貴重品なのよね。 「ありがとぉ〜。贈り物って嬉しいよね。そういえば景時さんもね、毎日お花をくれたりとか。 夏なんて蛍とかをお庭に放して一緒に眺めたりとか!もう、嬉しくって。蝸牛は逃げられちゃった んだけど、こう銀の道が残ってて。それも嬉しかったなぁ〜」 ヒノエくんは、お茶だけ飲んで帰っちゃった。あれれ? 続いてリズ先生。 「神子・・・息災か?」 相変わらず言葉が少ないです、リズ先生。でもね、顔がにっこりしてるの。 「はい!景時さんが毎日お腹にこうして・・・・・・話しかけてくれるんですよ。優しい女の子が 産まれたらいいなぁ〜って思うんですよ。でも、ちゃんと剣とか護身術は習わせたいなって 思ってるんです」 「そうか・・・・・・。神子は・・・大切に守られているのだな」 言いたい事だけ言って消えちゃった。 先生に将来この子の稽古を頼もうとしたのがバレた?嫌だったのかなぁ〜? 今日は来客が多いな〜。嬉しいぞぅ。 逃げた将臣くんを探しに敦盛くんが来た。 「神子・・・・・・将臣殿は・・・今日はここへ・・・・・・」 「来てないですよ。でも、おやつ時には来るんですよね。ここでお茶をしながら待ちませんか?」 しっかり話し相手に誘う。 「・・・では、失礼して。少し待たせてもらう。その・・・・・・神子は最近、出かけたりは・・・・・・」 「あ〜、そういえば。あまり遠出はしてないかな。でも、景時さんとデートしてますよ?近所のお祭り とか、市の日とか。出かけなくても、景時さんに物語読んでもらったり。宮中の行事の由来とか教えて もらったり。景時さん、すっごく色々な事に詳しいの。この前も重陽の節句のお話とか」 敦盛さんの目が輝きだした。 「では、わからないことがあれば景時殿に伺えますね」 何でも聞いちゃって〜って意味で、大きく頷いた。私が頷くのも変なんだけど。 ちょうど将臣くんが来て、敦盛くんに叱られて。 おやつを食べないまま二人で内裏へ戻って行った。 ほんと、子供なんだから。将臣くんは。 で、頼んでいたレシピを譲くんが持ってきてくれた。 「先輩。これなら京でも作れそうですよ」 「わぁ〜。ありがとう、譲くん。私って、何から出来てるのとかまではわかんなくて。でも頑張って 作りたいんだ。美味しいって言われると、やる気がでちゃうよね!」 譲くんが笑う。 「・・・向こうの世界じゃ、料理なんてしなかったじゃないですか」 「する必要性がなかったんだよ。女の子のお料理のきっかけなんて、好きな人のお弁当とかからに 決まってるじゃない。彼氏もいないのに、するわけないよ〜。今は・・・大好きな旦那様がいるからね!」 なんとなく譲くんの肩が落ちたような? 何よ、大丈夫。ちゃんと食べられるもの作ってるってば。 景時さんも美味しいって大絶賛だよ?心配しなくてもいいのにぃ。 将臣くんたら、懲りずにまた抜け出してきた。 「の所為で、敦盛にとっ捕まるし。逃げ場がないんだから偶には匿えよ」 どかどかと上がって階に座ってるぅ。将臣くんたら、またおさぼりだよ。 「・・・お仕事しない人を匿う場所はあ・り・ま・せ・ん!でも、おやつとお茶くらいはだすよ」 慣れないこちらの世界で頑張ってるのは認める。 そ〜なんだよね。将臣くんって頼れる兄貴だよ。 「へえ?そりゃどうも。・・・・・・景時はよくお前の相手してられるよなぁ〜〜」 何か失礼な言い方だよ? 「景時さんはね、私が毎日楽しいようにってとっても気配りさんなんだから!優しいの、将臣くんと 違って。・・・あ・・・・・・それが相手してるって事?」 何だか急に悲しくなってきた。 ダメだ・・・・・・このままじゃ泣いちゃう。でも走ったらダメだしぃ。ここで泣いたら迷惑だしぃ・・・・・・。 「ふえっ・・・・・・・・・・・・」 「?!」 将臣くん、驚いてるだろうな。私、泣かない子だったもん。でも、止まんない・・・・・・・・・・・・。 「ふえっ、っく・・・・・・っ・・・・・・」 「ちゃん!!!」 泣いてたから、景時さんが走ってきたの気づかなかった・・・・・・。 「どうしたの?何?悲しいこと?オレ?いや・・・・・・将臣くんもさ、そこにいるなら・・・じゃなくて」 苦しくないくらいにふんわり抱き締められた。 「よかった〜〜〜。急にちゃんの顔が見たくなって、仕事抜けてきたんだよね〜。愛のチカラってやつ? ・・・そうじゃなくて!!!どうしたの?どうしよ〜。でもさ、泣きたい時は泣いちゃった方が・・・・・・」 ひとりでしゃべってる景時さんが可笑しくて。涙なんて止まっちゃった。 「・・・・・・えっと・・・景時さんが無理して私の相手してくれてるのかなぁ〜って考えたら・・・・・・・・・・・・」 そうなの。日頃の行い考えたら、すっごい悪い奥さんな気がして。 迷惑かけてるのかなって思ったら、もう泣いてた。 「無理なんてしてないよ!だ、だって。勝手に。そう、勝手にオレがしてる事だし。むしろ、ちゃんに 迷惑なんじゃないかが心配!うわぁぁぁ!・・・・・・オレ、迷惑?騒々しい?」 は?はうぅぅぅっ!景時さんが小さくなっちゃった! 「そ、そんな事なくて。毎日嬉しくって。でも、それって景時さんが無理してて、大変かなって。そうじゃない ならいいの。いいんです!」 もう、大慌てで説明しちゃった。 「ふぅ〜〜〜。よかった。はい、ちゃんは深呼吸だよ〜。すって〜、はいて〜」 言われるままに深呼吸したら、すっかり落ち着いちゃった。 景時さんマジックだ! 「・・・えっと・・・こっちも・・・ね?」 あはは!お腹の中はどうかわかんないよ〜。景時さんたら、撫で撫でしてる。 「大丈夫ですよ。お母さんが深呼吸したら、子供もしてるんですよ、きっと」 「そうかぁ〜。でもさ、話しかけたら返事してくれるかな〜とか・・・ね!」 おでこにちゅうしてもらっちゃった。そっか〜、こういう感じなんだ。 景時さんが仕事に行く前にキスを強請る気持ちがわかったかも。 「えっと・・・・・・こっちにも・・・欲しいな・・・・・・・・・」 「あ〜っと・・・ここ庭なんだけど。いいの?」 うん。いいの。ちゃんとキスして欲しいの。 いつもは恥かしいけど、今はいいの。 たくさんキスして。 お客様いたなぁ〜って振り向いたら、もう将臣くんはいなかった。 ごめんね?居づらかったよね〜。 わざとじゃないもん・・・・・・。 また家に遊びに来てくれるよね? |
Copyright © 2005- 〜Heavenly Blue〜 氷輪 All rights reserved.
≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!
あとがき:答えは・・・将臣くんって事で。いつもすいませんね〜、将臣くん(笑) (2005.10.2サイト掲載)