秋の足音  ≪望美side≫





 景時さんを送り出した後、お洗濯をして。
 のんびり干し終わると、お庭で音がするのが気になった。

「ん〜?何か・・・伐ってる?」

 お花なら手で折れるから。
 チョキンっていうか、パキッっていうか。
 あの音は木っポイな〜って。
 音のするほうへ歩いていったら、萩が咲き始めていた。

「わ〜〜。萩ですね?」
 お庭で作業している人たちに話しかけてみる。

「!神子様、こんなところへいらしては・・・・・・」
 あ・・・驚かせちゃったみたい。
「萩・・・伐っちゃうんですか?まだ咲ききっていないのに」
 どうみてもこれから咲こうとしているのに、チョキチョキ伐っちゃってる。
「萩は勝手にどんどん増えちまうんですよ。あまり多くても、他の庭木との
相性もありますし」
 そ〜なんだ。もりもり増えちゃったら庭中が萩になっちゃうし。
 むかし、コスモスも増えちゃうとか聞いた気がする。菫おばあちゃんに。
「少し分けてもらってもいいですか?お部屋に飾りたいな〜って」
 もったいないよね〜、伐った分は薪にしちゃうんだよね?
 こちらの生活ってエコなんだよね。無駄なものが無いっていうか。
「後ほど選んでお部屋にお持ちいたします」
 わいv 可愛いもんね、萩。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
 皆いい人ばかりなんだよね〜。


 今日はもう少しお庭を散歩しちゃおうかなっ。
 気分もいいし、天気も良かったから。
 またフラフラお庭を歩き始めると、またも変なことしてる人たちを発見!


「それって・・・何してるんですか?」
「うわあっ?!み、神子様?!」
 ごめんなさい。また驚かせちゃったみたい。
「えっと・・・お仕事中だったのに。邪魔しちゃいましたね」
「い、いえ!そんな・・・・・・」
 何かを巻き巻きしてるのね?
 隣にしゃがんでみる。
「こ、これは・・・その・・・菊花酒用の菊を摘んでおりまして・・・・・・」
「菊でお酒が作れるんですか?!」
 ワインも葡萄だし。そういう事?
「い、いえ!焼酎に浸したり・・・・・・長生きの願掛けや厄払いに飲むんですよ。
菊は薬にもなりますから」
 ふ〜ん。そういえば、食用菊とかあったよね。
「菊ってお酒に溶ける?」
「それは無理ですよ。重陽にでもご覧下さい」
 んんっ?!今、不思議な事言ってたよ?
「“ちょーよー”って何ですか?」
「五節句のひとつです。宮中では観菊の宴もされますし・・・・・・。昔っから、
朝一番の菊の露を飲むと無病長寿の言い伝えがありますし・・・・・・」
 あ、そっか。お邪魔しちゃってる?
 普通に皆知ってることなのかな?
 こっちの世界の常識が無いんだよね〜、私ってば。
「えっと・・・景時さんも知ってるかな?」
「・・・はっはっは!景時様の方が詳しいでしょう。あの方は、大陸伝来の書物も
読まれてますし。正しい由来をご存知だと思いますよ」
 そっか。そういうの好きそうだもんね!
「帰ってきたら聞いてみますね」
「それがいいですよ」
 


 景時さん、早く帰ってこないかな〜って。
 萩も生けちゃったし。
 白龍に紙飛行機を折ってあげたら、黒龍と庭へ飛び出して行っちゃったし。
 そ〜だ。髪型でも変えてみよう!驚くかな?

 せっせと髪を編んでみる。二つにして〜、三つ編みして〜、ぐるぐるって。
 可愛いよね。チャイナ風だよ?
 着物でこの頭は無理があるかなぁ?

。そろそろおやつを作りましょうか?」
「朔〜、みてみて!どうかな?」
 その間は何?イマイチってこと?
・・・兄上が壊れるかもしれないわ・・・・・・」
「ええっ?!そんなに似合わない?頑張ったのにぃ」
「・・・そういう意味じゃないのよ」
 じゃ、どういう意味?わかんないよ。
「変って事?」
「そのままでいればわかるわよ」
 ヒントくらいくれなきゃわかんないよ。でも、おやつが先だよね。
「いいや。おやつ作ろ?なんだか今日は皆が来てくれる気がするんだ」
 たくさん作って待ってよう!お庭で楽しく食べたいもん。



「たっだいま〜!今日は皆も一緒だよ〜」
 景時さんの声だ!
「おかえりなさ〜い!あれ?皆いない・・・・・・」
 玄関には景時さんだけが立っていた。
「え?庭へまわってもらったけど・・・・・・・・・・・・ちゃんっ!!!」
「きゃっ!」
 いつもみたいに顔を拭いてちゅってしようとしてたのにぃ。
 何もしないうちに上がってきてぎゅぎゅってされちゃったぞぅ?
「駄目だから!すっごく可愛いけどそれは駄目。部屋!部屋へ行こう」
 あらら〜って、抱っこされちゃった。
「あのぅ・・・駄目って何が?」
 景時さんが珍しく眉間に皺を寄せてる。
「・・・・・・髪型。項が丸見えだよ、それ」
 項って・・・・・・首だよね。
「はあ?!」
 髪も邪魔じゃないし、可愛いって言ったじゃない。
「朝からじゃないよね?他には見せてない?」
 怒ってるのかな?
「したのはおやつ作る前で・・・・・・知ってるのは朔と、譲くんと、お台所の
人たち・・・・・・かな?」
 うん、そう。他の人には会ってない。
「・・・譲くんも・・・見たの?」
「見る?別にわざわざ項だけは見ないと思うけど・・・・・・」
 下ろしてもらって、ようやく足がついた〜と思ったら。
「駄目っ!」
「うにゃっ」
 項によぉ〜く ちゅうされてしまった。
「景時さん?!」
 すっごくすっきりした顔してるよ〜?
「・・・髪、下ろさないと見えちゃうね?」
「見えちゃう?」
 景時さんが、しぃ〜っとでも言うように唇に指を当ててる。
 それがヒントだとすると・・・・・・ええっ?!
「何てことするんですかっ!」
 せっかく結んだのに、せっせと解いた。キスマークつけたって事でしょう?

「じゃ、おやつを食べよう!」
「もぉ〜。景時さんに見てもらいたくて頑張ったのにぃ」
 誤魔化されないんだから!
「オレだけじゃないのは・・・・・・“嫌っ!”」
「・・・・・・今のって」
 私の真似!?真似ですかっ?自分でしておいて照れるの反則だよぅ。
「・・・・・・ちょっと無理があったかな」
「んふふ。可愛いかったよ?」
 ま、いっか!景時さんだから。
 背伸びして、そぉ〜っとキスしてたら───
 
 白龍と黒龍が部屋に!!!
「神子、おやつの時間だよ」
、朔が呼んでいる・・・・・・失礼した。白龍、行くぞ」
 黒龍ってば大人だね・・・・・・。
 ありがと、白龍を連れて行ってくれて。
 


 あれ?何か忘れているような・・・・・・・・・・・・






Copyright © 2005- 〜Heavenly Blue〜 氷輪  All rights reserved.


≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:白と黒は、こうだといいなぁ〜と思っているのです。勝手に設定♪     (2005.9.9サイト掲載)




夢小説メニューページへもどる