できた嫁 ≪景時side≫ ちゃんが心配で、仕事中に我が家へ寄る。 なんといっても、女の人は得意じゃないでしょ?雷って。 ちゃんも、そうかな〜って。 「ちゃんは?ちゃん?!」 帰宅したわけじゃないから、馬鹿みたいにちゃんの名前を呼びながら 家中を歩き回る。 見つけたのは、庭に面した簀子で。 外をぼんやり見つめていた。 だよなぁ〜。心配だし、怖いよね〜。 うん、うん。寄り道正解! 「ちゃん。そんな端近にいたら危ないよ?」 ちゃっかりちゃんを挟んで座る。 「おかえりなさ〜い。景時さんがずぶ濡れになったらどうしよ〜って」 ・・・まずい。帰ってきたわけじゃないんだけど。 そんなに嬉しそうにされると、言い出し難いかも。 「・・・景時さん?」 「そ、その・・・実は、まだ仕事の途中で・・・・・・」 早く謝らなければと思うのに、続きがどうにも言えなかった。 そんなオレを、ちゃんは振り返ってふんわり包んでくれた。 「あのね?雷なら怖くないですよ?ほら、私ってば怨霊の封印出来ちゃうし」 そっか。そうだよね〜。 ちゃんは菅公様くらいパパパッて封印出来ちゃうか〜。 強くて格好いいもんな〜。 「外を見ていたのは、景時さんが大丈夫かな〜って。だから、お仕事中に無理して 家に寄らなくてもへ〜きですよ?しっかりお家守るから安心してね」 ・・・・・・しっかりさんだ。なんてしっかり者のできた嫁さんなんだろう。 母上、ちゃん最高でしょ?でかしたな〜、オレ。 「ごめんね〜?火事とかあると町中がちょっとね。だから見回りの途中なん・・・・・・」 その時、一際大きな音がした。 「きゃっ」 幸せ満喫。不謹慎といわれようと、オレの手はしっかりちゃんを抱き締める。 雷は平気でも、この音ばかりは驚くよね。 「部屋へ入ろう?降ってきたし」 立ち上がろうとすると、服を掴まれた。 「あのね・・・景時さんがいた方が安心で嬉しいんだけど。お仕事だから我慢する だけだからね?ほんとに平気なわけじゃないから・・・・・・」 ・・・・・・可愛すぎるって。 オレ、このままだと九郎を恨むしかないよ。 仕事放棄してやろうかとまで思う。 「うん。雷様がおさまったら帰ってくるから・・・・・・」 言葉よりも、いいかな〜って。 ちゃんに口づけた。 「えっと・・・・・・その・・・お見送りするね・・・・・・」 「うん」 でもまだ見送られたくないんだよなぁ。 ちゃんを連れて、手近な部屋へ入る。 「もう少しだけこうしてたいなぁ」 オレの手って正直。どうなんだろ、オレの心より正直って。 ちゃんを抱き締めて離しやしない。 「だめだよ、景時さん。お仕事行かなきゃ・・・・・・」 あ、ヒドイ。オレ、行きたくなぁ〜い。 「やだ。まだ行かない」 「もぉ。後少しだけですよ?部下の人たち、待たせてるんでしょ?」 「・・・・・・はい」 ほんとうにしっかりさんだ。 オレの部下の心配までしてくれるなんて。 いよいよ、部下たちまで恨めしくなった。 勝手に仕事してくれないかな〜。 オレなんているだけだし。 ・・・・・・いや。多少は仕事してる・・・と信じたい。 もともと雷様が悪いんだよ、仕事増やしてくれるから。 オレの手だけが、余分な事を考えられないだけ正直なまま─── このまま二人でいたいなぁ。 あ・・・・・・たぶん、今回は女の子だろうから・・・三人かな。 |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!
あとがき:景時だけが子供の人数の予想がついてるのでした(笑) (2005.8.13サイト掲載)