ほのかなる光  ≪望美side≫





 景時さん、どうしたのかな?
 今日は帰りが遅いなって、すっごく心配だった。
 夕立はこなかったから、びしょぬれ〜とか。
 そういう心配は無かったんだけど。
 いつも早かったのに、少し暗くなったくらいで寂しくなる。
 それなのに。

「ただいま〜、ちゃん」
 汗だくで、息を切らせて帰ってきた景時さん。
 なんだか、ちょっとだけイジワルしたい気持ち。

 心配してたんだよ?

「おかえりなさい」
 すっかり温くなっちゃった手拭を渡す。
 冷たいの絞って渡したかったのに。
 待ちぼうけしたんだから!

「ありがと〜。少し遅くなっちゃった。ごめんね?」
 うっ。そんな笑顔で謝らないで。
 すっごい悪い人になった気持ちが急に押し寄せてきた。
 
 そうなの。
 ケイタイなんてないから、文を書くしかないんだよね。
 でも、それも誰かに頼まなきゃで。
 こんなに暑いのに、悪いよね・・・・・・。

 景時さんをぎゅ〜ってした。
 わかんないけど、したかった。
「ど、ど、ど、どうしたの?!ちゃん!何かあった?」
 景時さんが慌ててる。
 
 ごめんなさい。なんか最近、ほんとに変なんだよ?
 わかんないの。
 ぐらぐらが自分でも疲れる。

「何でもないですよ?景時さんが帰ってきてくれてよかったなって」
 ちょっぴり誤魔化した。
 ほんとは早く帰ってきてって言いたかったけど。

「ごめんね。たくさん待たせちゃって。後で、庭で涼もうか?」
 恥かしいから黙って頷いた。
 どうして景時さんが謝るのかわかった気がする。
 こういう時、すっごい嫌な気持ちが治まるのは景時さんの魔法。



 お庭で二人で並んで夕涼み。
 お風呂も入って、風が気持ちいいなぁ〜って。
 そうしたら、景時さんが突然庭に下りた。
 よくみれば、何かある!

ちゃん、見ててね〜。家の中でとも思ったんだけど、閉じ込めたら可哀想だし」
 景時さんが薄絹をとると、ほのかな光が空へ向けて飛び立つ。
 
 のんびり、ふわふわと。光が昇ってゆく。

「蛍だ・・・・・・」
 たくさんの光が昇る様は、明りが少ない夜の闇によく映える。



 景時さんが隣に戻ってきた。
「思ったより少なかったなぁ〜。もっと頑張ればよかったよ」
 
 もしかして、これのために帰りが遅かったの?
 私を喜ばせようとして?
 こんなに暑いのに?

「蛍、綺麗でしたよ?ほら、まだお庭にいる」
 数匹がふわふわと庭を彷徨っている。
「うん・・・・・・少しだけね」

 あらら?落ち込んでるよ?
 暑いけど、いいや!

 ずりずりと景時さんの隣にぴったりと寄り添う。
 景時さんの身体がビクッてなった。
 えへへ。驚いてるv

ちゃん?暑いでしょ、だから・・・・・・」
 暑いからヤダ〜って、最近言い過ぎちゃったかな?
 景時さんが嫌なんじゃないんだけどな。

「えっとね、二人が嬉しいんですよ。あ、違った。何人だろ・・・・・・」
 私のおばかっ!どうしてこう、肝心なトコで決まらないのよぅ。
 ダメじゃない。でも、子供の数が不明だよ。
 そろそろ自己アピールして欲しいな。
 お腹を軽く叩いてみせた。

「そ、そう?じゃ・・・・・・」
 景時さんの手が、そろりと私の肩にまわされる。
 そして、パタパタと団扇で扇いでくれた。

「もう少しだけ、こうしててもイイ?」
 あんまり景時さんが可愛いから、手招きした。
 頬にちゅっ
 いいよって合図v

 お庭で蛍が迷走してる。んふふ〜v
 蛍にイチャイチャ見せつけちゃった♪






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:ちょっとだけイライラの望美ちゃん。不安もあるのかなと。優しい旦那様の景時くんをv     (2005.8.7サイト掲載)




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