ネタも尽きる  ≪景時side≫





 アレだよね。夏の花って言ってもさ。
 そろそろネタも尽きてくる。
 それに、オレ自身が「綺麗だな〜」って思えない花はあげたくない。
 変なこだわりなんだけどさ。
 これは花?みたいのは却下。

 ちゃんは、どんな花でも喜んでくれるけど。
 庭の夏椿をいたく気に入っていた。
 話を聞くと理由は無いらしい。
 本来は、向日葵とかが好きなんだって。
 それなのに、夏椿だけは気になったのかぁ・・・・・・。
 うん、女の子かもね!
 
 それはよしとして。
 花ばかりじゃ芸がないと、突然思い立った。
 そ、たった今。
 仕事の帰りに川面を見ていて。
 流れる水は実に涼しそうだ。
 暗くなったら・・・・・・アレが見られるはず。

 
 考えようによっちゃ、気障中のキザ。
 オレがしそうじゃない事の筆頭。


 暑くて退屈な夜に。
 君に贈り物を。
 毎度花火も芸が無いしさ。
 それに、ちょいとご近所迷惑だしね。
 音が出ない改良は考えられたとしても。
 光が無いんじゃ、意味がないしね〜。
 

 
 そんな理由で、オレは今、川岸にいたりする。
 程よく草の裏に目的のモノを見つけては、籠に入れる。
 物語の場面のように、たくさんなら格好良いんだろうけど。
 そこまでしちゃうとオレっぽくない。
 いいんだ、この籠くらいで。
 実際、一人じゃこれが精一杯。
 頼めば手伝ってくれるだろうけどね。
 これだけは、自分の力だけでしたかったり。
 そう、ちゃんへの贈り物だけは!
 薄絹で蓋をすると、また次の場所で探す。

 オレがしたいと思っていることは・・・・・・
 源氏物語の玉鬘の、あの場面。

 気障だよね〜、室内に蛍放して。
 御簾の外の公達に姫君の姿を見せようってんだから。
 ・・・・・・オレなら見せたくないけどね。
 たださ、蛍の明りは、見ていて飽きないし。
 部屋じゃ蛍も可哀想だから、庭で二人で見たいな〜とか。
 
 こんな夜道に身重の君を連れ出すのも、ちょっと怖いしね。
 万が一、川に落ちちゃったりとか。
 考えただけで怖すぎるっ。

 そうだな。とても明るい月夜になら。
 少しだけ小川の近所を散歩してもいいかな。
 とりあえずは、今夜のために。
 オレはせっせと作業を続ける。


 ちゃんの笑顔がみたいためだけに───






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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:蛍が贈り物v虫除けの薬なんて無いだろうし。かゆかゆで頑張ったハズ(笑)     (2005.8.6サイト掲載)




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