夏椿 ≪望美side≫ 最近、気になる花がある。 お庭の奥の白い花。 あれ、何だろ? 夏っていうと、朝顔ってきもするけど。 すぐにしわしわくるくるってしぼんじゃうもんね。 お寝坊すると、みられないんだ。 別に夕顔だっていいじゃんとか言われそう。 夕顔はさ、少しだけ小さいし。 色もそんなにないし。 綺麗なんだけど・・・・・・。 どうしてかな〜。 ヒマワリとか、朝顔とか、太陽の光とセットな花が好き。 夕顔はさ、太陽沈んじゃう頃の花だから。 お庭に打ち水するのが楽しかったりして。 たま〜に怒られるけど。 つい外でしばらく過ごしちゃうんだよね。 朔が怖いんだ〜、そういう時は。 「暑さで倒れたらどうするのっ!」 何だか、水遊びしていた時に走ってきた景時さんとダブって。 やっぱり兄弟だね〜とか思って、つい笑ったら。 そりゃ、もう。 腰に手を当てて、お叱りモード突入だった。 しかも、先に部屋へ上がってからだよ? こういう時に景時さん帰って来てくれないかな〜って。 朔には悪いけど、お小言聞き流ししてたら! 景時さん、デキルわ〜。 すっごいいいタイミングだよっ! ・・・そんなの一瞬だった。 ダブルでお説教になったよ。 足が痺れてきたぁ・・・・・・・。 もう、無理っ!!! そのまま横に倒れたら、二人ともすごい顔してた。 景時さんに抱き起こされて揺すられるし。 足が痺れてるのに。 朔は立ち上がって使用人に弁慶さんを呼ぶように叫んでるし。 弁慶さんが来る前に痺れは直っちゃうよ。 あの・・・正座で足が痺れただけなんですけど? 二人とも、とっても冷静じゃなかった。 足はビリビリだし。 朔が泣きそうになってるし。 根性見せないと! 「あ、足が痺れただけなの・・・・・・」 必死に声を絞り出したら、揃って口をポカンと開けてたわ。 人の話は聞くものよ? 「ね、それより。お庭のあの白い花・・・奥のあの木ってなあに?」 知りたいの。白い花の名前。 「へ?夏椿・・・だよ。気に入ったの?」 「真っ白な花だな〜って思っただけ」 ちゃっかり景時さんの膝枕。うれしいな。 「あの花はね、お釈迦様が亡くなった場所に植えられたらしいんだよね。 だから、家でもあそこにね。別名は、“沙羅”っていうんだ」 そうなんだ。そんな謂れがあるんだ。 「女の子だったら、“沙羅”とかどうですか?可愛いよ。うん、音もいい感じ」 「えっ?!あっ・・・・・・。うん、いいね!沙羅ちゃんか・・・・・・」 景時さんが頭を撫でてくれた。 このままお昼寝しちゃおかな? 真っ白な花の名前の女の子。可愛いよ、きっと。 |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!
あとがき:名前も決めないとな〜と、思いつきで。 (2005.8.1サイト掲載)