増えたかな ≪望美side≫ つまんない、つまんない。 つまんなーーーーい!!! 最近、お仕事が忙しいみたいで。 景時さんの帰りがちょっぴり遅くなった。 なんとなくだけど・・・・・・。 お腹がね?変わってきた感じなのにぃ。 疲れてるみたいだから。 あんまりおしゃべりしちゃ悪いかなって。大人しくしてた。 「ただいま〜、ちゃん!今から“七夕”しよう!」 笹の枝を手に、景時さんが帰宅。 たなばた・・・あっ!七夕さまだ。 「景時さん、どうして七夕知ってるの?・・・お帰りなさいが先だった」 おかえりなさいの挨拶をした。えへへ。 「ん〜?ここのところさ、オレ忙しかったでしょ?宮中で乞巧奠があったからなんだよね。 九郎がね、頼朝様の代理で出席するし、人手不足だから手伝ってたんだけど。そうしたら、 将臣君が教えてくれたんだ。だから馬をとばして、笹をね、こうバサリと伐って来たよ」 わさわさとゆれるそれは、パンダのご飯の笹。 わざわざ採りに行ってくれたの〜? 「じゃあ、短冊書かなきゃですね!」 「そ〜、そ〜、ソレ。願い事を書くんでしょ?笹はさ、南の部屋の階に立掛けようね。 ちょっと行ってくる」 景時さんが、またわさわさと笹を持って出て行っちゃった。 ところで・・・“きこうでん”って何? 邸の皆と、朔も短冊書くの誘わなきゃ!ついでに聞こうっと。 「乞巧奠は、女性がお裁縫やお稽古事の上達を祈願するお祭りみたいなものかしら」 そ、そうなんだ。こんなキタナイ字の短冊じゃまずいよね。 うっ、イタイ。 でも、上達をお願いするならいいかな・・・・・・あはは。 「朔は何て書いたの?」 朔の手元を覗く。 「もちろん、平和な世が続きますようにって。さて、夕餉の支度があるから」 「まかせといて!笹に付けておくね」 朔が行っちゃった。 さすが龍神の神子様だよ。 それに引き換え、私ったら・・・・・・。 文字だけじゃなくて、願い事まで・・・・・・あはは。ハズしてるよ。 いいもん。もう神子は引退したから。 「ちゃん、書けた〜?笹に結ぼうか」 簀子で景時さんが呼んでる!そうそう、景時さんは何て書いたのかな? 「景時さんのは?」 「もう結んだ」 ああっ!あんな高いところに。読めないよ。 しかも、皆早い!お邸の人、皆でって言ったら、みんな楽しく参加してくれて。 嬉しいなぁ〜〜〜。じゃなくて! 「景時さんは、なんて書いたの?」 「ん〜?何だろうね。・・・ちゃんは?」 意地悪。教えてくれないんだ。 朔と私の短冊を黙って手渡した。 「へ〜。朔はカタイねぇ、自分の願い事を書けばいいのに。どれどれ・・・・・・」 そんなによぉ〜く読まないでよぅ。恥ずかしいよ。 「いいね!よし。よぉ〜く織姫様に見てもらえるよう、高いところにつけよう」 あ〜、景時さんの短冊のお隣だぁ。 涼やかな風に、色とりどりの短冊が揺れて。きれいだね。 『家族で仲良く楽しく暮らせますように。 』 ぱたぱたと私の願いが揺れている。 実は!もうひとつあるんだな〜、願い事が。 「景時さん。私ね、もうひとつお願い事があるんです」 「え?もうひとつ短冊あるの?」 違う、違う。叶えてくれるのは、景時さんだよ。 「景時さんが叶えてくれるはずだから。今からお願いしてもいいですか?」 わわ、困ったぞぅって顔だ。可愛いv 頬を指で掻きながら、夕闇の空を見上げちゃって。 「え〜〜っと、オレに出来るかなぁ?」 「もちろんです!あのね、景時さんに歌を歌って欲しいなぁ〜って」 傍目にもわかる程、後退りされた。 「だ、だ、だめだよ。その・・・前にあげたのはさ、すっごく練習をね・・・・・・」 「そっちの歌じゃなくて。えっと・・・子守唄みたいな方!」 「へ?」 手招きして、景時さんを呼び寄せる。 そんなに遠くちゃ触れないでしょ。 「手を貸してください」 景時さんの手を取って、お腹にあてる。 「ね?お腹が変わった気がするの。で、私もこの子も景時さんの声が大好きなの。 だから、時々歌を聞かせて欲しいな〜〜って。もちろん、生まれてからもですよ」 あなたの歌声が欲しいです─── 贅沢なお願いかな? 「えっと・・・今様歌は、まだそんなに知らなくて。でも、練習するから」 「はい!」 約束を取り付けたよ、聞こえた?パパが歌ってくれるって。 お腹にいるはずの小さな生命に問いかけてみる。 「ねね!ちょっとお腹大きくなりましたよね?」 「・・・ちゃん、細いからわかんないよ」 「え〜〜!なったもん。・・・なんとなくだけど」 「じゃ、そうかな」 のんびり二人で夜空を見上げる。 お星様がきらきら。 来年は・・・何人で七夕なのかな♪ |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!
あとがき:実際、出産だけは経験ナイので。間違っててもご容赦下さいませ。 (2005.7.7サイト掲載)