またも失敗  ≪景時side≫





 弁慶に色々聞いた日から丁度一週間目の夕方。
 オレが家に帰ると、ちゃんがいつもの様に出迎えてくれた。
 ここからが忘れられない出来事。
「ただい・・・・・・」

 スコーーーーーーーンッ!!!

 オレの頭に何かが直撃した。
 何かって、扇なんだけど。
 いい腕してるね、朔。
 短剣とかじゃなくてよかったよ、ほんとに。
 源氏軍で大活躍されても困るよ、実際。
 兄より優秀なんてどうなのさ?

「兄上!お話がありますっ!!!」
 目に見えるほどの青筋を立てている朔。
 こわっ・・・・・・。
 いつもの小言では済まなさそうな雰囲気。

「さ、朔!あの・・・大丈夫だから!そのっ・・・・・・」
 ちゃんが必死に朔の腕を掴んでいる。
 どうやらちゃんに関する事のようだ。
 そりゃそうだ。
 そうでもなければ、朔がこんなに怒る事はないよね。

「あ〜っと。うん。オレの部屋でいいかな」
「勿論です。・・・は夕食の支度をお願いね」
 オレを見るときはつり目。
 ちゃんには微笑んで告げる。
 すごいよ。
 憤怒の不動明王から、千手観音とでも言おうか。
 そんな表現がぴったりな顔の豹変ぶりだった。



「兄上。どうしてを無視なさってるの?」
 無視?そんな事してな〜いし。ちょっとは避けてるけど。
「・・・・・・何?無視なんてしてないし。第一、毎朝いってきま〜すって。
毎夕ただいま〜って帰って来てるよね?」
 そう。無視とは言葉を交わさない事だよな?
 オレたちは話をしているから違う。
「そうではございませんっ!兄上の態度がを不安にさせてるんです!」
「オ、オレ〜〜〜〜???」
 オレの顔からは大量の汗。
 なんといっても、多少なりとも避けていたわけで。
 ちゃんの不安の原因をオレが作ってどうする!!!
「だだだだ、だって。ちゃんに無理させちゃいけないし。
大切にしなきゃって・・・・・・」
 朔が扇で床を叩いた。パシーンッ!といい音。
 耳に響くね、こりゃ。
「大切の方向が、間違っておいでのようです。考えなさいませね」
 すっと立ち上がると、言いたいことだけいって部屋を出て行った。

 まいったな〜〜〜。心配かけちゃったね。
 ごめんよ、朔。
 
 ごめん、ちゃん。
 ちゃんと話して下さいねって言われてたのにね。
 オレはまた格好つけて君に誤魔化そうとしてしまったらしい。
 今晩、ちゃんと話すから。泣かないで?





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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→京で二人の子供が?!

 あとがき:短剣投げさせたら日本一とか(笑)     (2005.6.19サイト掲載)




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