未熟者  ≪望美side≫





 今度の事では少し反省した。
 ちょっとだけ過信していたと思う。
 相手がどんな人たちなのか、どういう手段でくるのか。
 あっちの世界では体力勝負的な事が多かったから、彼の性格とか出方を考えてなかった。

 景時さんにぎゅってしてもらえて、安心してすぐに寝てしまって。
 帰ったら美味しいご飯があって。
 皆がそろって迎えてくれて。
 だから、景時さんに一緒にお風呂って言われて。
 最初はよそのお家なのにって。
 そのうち・・・私の行動はとても軽率だったんだって、ようやく気づいた。
 
 少し考えればすぐにわかったはずなのに。
 京都で言われていたのに。
 あの人たちは、「私」じゃなくて、「龍神の神子」と「星の一族」の血脈をって言ってた。
 それって、そういう意味なのに。
 景時さんに疑われてるのかなって思ったら悲しかった。
 だけど、たぶん大丈夫。
 それくらいはわかる・・・たぶんだけど。
 全部がたぶんで曖昧だけど、まずは言わなきゃって。
 
 景時さん、いつ修行していたんだろう?
 小さな鳥しか出せないな〜って、中華を食べていた時には首を傾げてたのに。
 私の傍にはいつも景時さんの式神がいたなんて!
 しかも、式神を通じて何かできちゃうだなんて!

 何だ〜、いつも安心だったの、それなんだ〜って。
 わかったら、すとんってすべてが繋がって安心しちゃった。
 ぼんやりしていたら、髪まで乾かしてくれた。


「オレの・・・・・・」


 景時さんの手が、乾いた私の髪を梳くってはサラサラって遊んでいて。
 私より髪?!とか思ったけど、髪もなんだって、つい言葉になってた。

「・・・変なの」

 言葉にすると変なんだけど、言いたかったのは、景時さんは私より私が好きかもって。
 そういう意味の変で。それがなんだか伝わっちゃったみたい。
 嬉しいなって思う前に、背中に音がするキスをされた。
 それって・・・痕があるってことなのよね。
 僅かとはいえ週に二回は体育があるんだから!
 着替えなきゃなのよ、皆と。
 何だか慌てて着替えてる自分を思い出したら悔しくて、のん気に鼻歌してる景時さんを
齧りたくなった。


 それなのに、景時さんは怒らない。
 怒るどころか益々笑っていて。
 しかも、景時さんが学校で着替えることなんて無い。
 私、今日すっごく変。もやもやっとしてる。
 泣きたくなったら、泣く前に抱っこしてくれた。


「もう寝よっか。この部屋、懐かしいね。オレがこっちに来た時の部屋だ」


 そうだ。景時さんのお部屋はあったけど、ここに二人でいたんだ。
 懐かしくて、甘えたくて。
 そういうのもわかっちゃうのかな?
 たくさん、たくさん頬に、額にキスしてくれて。
 でも───


「景時さん?」


 珍しい。景時さんが私より先に寝てる。
 ・・・私、お昼寝したんだっけ。
 景時さんは車で寝なかったのかも。私が重くて寝られなかった?!


「おやすみなさい」


 景時さんの頬にそっと触れる。
 ちっとも起きる気配がなくて、ココって景時さんも安心の場所ってホントなんだ。


「明日、学校じゃなければよかったのにぃ・・・・・・」


 もしも学校じゃなかったら。
 背中の痕も気にしなくてよかったし。
 たくさん、たくさん、イチャイチャできたのに。


「明日になれば・・・ううん。また明日から頑張るからね?」
 今日だけオサボリさん。
 また明日からちゃんと奥さんと生徒の二役頑張るから。



 だ・か・ら!


 たくさん、たくさん、ぎゅぎゅってしてね?


 上手に景時さんの胸にもぐりこんで。
 ぬくぬくのドキドキ。
 お昼寝したはずなのにすぐに眠くなって。
 よく考えたら、どうしておそろいのパジャマが用意してあったのかなって。
 明日聞こう・・・・・・、覚えていたら。
 楽しい夢、見られるかな───










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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ

 あとがき:パパがすべてご存知だったからが答えです(笑)     (2008.08.18サイト掲載)




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