うっかり ≪望美side≫ ママのことだから、隠そうと思って隠していたんじゃなくて。 うっかりと、してなかったとか、言い忘れとか、とにかく詮索しても無駄っていうか。 そんな気がしている今日この頃。 またも事件ですよ、ええ。 ママがお菓子を作れるなんて! パパに手作りチョコレートだなんて! もう少しでママに負けるところだったわ。 パパに手作りチョコレートじゃなくて、クッキーにしたのも大正解みたいだったし。 ママとお茶する時にて食べてくれるって言ってた。 ちょっとは期待してくれてたのかな〜? そんなこんなで楽しい夕食会が終って。 今日は木曜日だからお泊りはナシで景時さんと家へ帰る。 明日も学校があるから。 で、気になるのがチョコレートの存在。 景時さん、おば様とママからもらってた。 どうするのかなぁ?アレ。 「到着!車でも寒いものは寒いよね〜。お茶にしようか?紅茶がいいなぁ」 「すぐに用意するね」 そうそう。 まったりおしゃべりしたい時は、お茶がイイ。 並んで座ると、するするって何でも話せちゃうから。 それでも、景時さんの手にあるチョコレートの行方を視線で追いかけると、 リビングのテーブルの上にあっさり置かれて。 景時さんはコートを脱いで、居なくなっちゃった。 手洗い、うがいを実行中かな? 私もキッチンでお湯の準備をすると、コートを脱いで洗面所というお決まりの コースを辿った。 「う〜ん。いいね〜、この香り。紅茶も種類がたくさんあるんだよね〜」 今はコーヒーだけで手がいっぱいなんだろうなぁ、景時さん。 紅茶にもハマったら、紅茶の缶も増えちゃうね。 お店開けちゃうかも? 「デザートにはちょっと遅い時間だけど、これ、食べてみようよ」 ママの手作りのだ。 景時さんが摘まんで、その指はそのまま私の口元へとやって来た。 「さ、どうぞ」 景時さんがもらったチョコレートを私が食べるの変な感じ。 でも、ママが作ったのに興味はあるから食べちゃった。 「あ・・・見た目よりビターだ」 「そうなんだ。じゃオレも」 ぱくんって音がしそうなほど、軽く口に放り込んで、考えながら食べてる。 ・・・紅茶よりチョコにはまったらどうしよ? 毎日食べていたらさすがにマズイ事態になりそうよ。 体重計が怖くて、そんなのはちょっと・・・・・・。 「ふうん。こういうのもあるんだね。これはどんなのかな?」 箱ごと手渡されちゃったから、なんとなく私が包装紙を解いて、整然と並んでいる チョコレートを景時さんに見せるようにした。 「・・・すごい。こんな小さい粒に色々形があるよ〜。へ〜〜〜。何、何・・・・・・」 チョコ無視なの?! チョコの説明書きの方を手にとって読み始めてるよぅ。 私はね、この・・・コーヒー味のが好きなんだ。 食べてもいいかなぁ?でも、でも。 コーヒー味なら景時さんだって食べたいよね?ね? 「ちゃんはどれが好き?いいんだよ、好きなの食べて。紫子さんもそのつもりだと 思うしね〜。オレ、ひとりでこんなに食べないし」 「ホント?私ね、これ食べたい・・・・・・」 指差したのはコーヒー味。 また景時さんに食べさせてもらっちゃった。 「ああっ?!それってコーヒー味だったんだ。オレもどんな味か知りたいなぁ〜」 「ど、どうしよ。食べちゃった。半分にすればよかったですよね?!」 やっぱり!景時さんも食べたかったんだ。 どうしよう、食べちゃった。もうない─── 「・・・なるほど。こういう味なんだ。コーヒーっポイね。うん、うん」 あれれ? 「あの・・・・・・」 景時さん、今、何しました? 「あはは!ごめん、ごめん。実は最初からキス狙い。チョコレートはさ、君が何を選んでも 同じ結果だったよ。そういう事〜〜〜」 めちゃくちゃ嬉しそうな笑顔で言われたけど。 け・ど! 「ひどぉ〜い!ちょっとは気にしてたのにぃ〜〜〜。景時さんのチョコなのに、私が 食べちゃったからって!!!」 「だってさ、オレが好きなモノもらった方がお得でしょ〜。ちゃんからのチョコは もうもらってあるんだから。他なんてなんでも一緒。断然こっち」 今度は軽く唇が触れ合って。 何だか景時さんに騙されたような、それでいて、どっちでもいいやって気分になって。 「じゃ、今度は、景時さんはどれが好き?どれが食べたい?」 チョコレートの箱を持って見せる。 どれを選ぶかな?来年の参考になればいいな〜。 「そう?オレは決まってるんだけどね。これって」 「あれれ?それは私の手首でチョコじゃな・・・・・・」 ああっ!またやられた。 「景時さん、最初から!!!」 「うん。最初から〜。ダメだよ?最初に気づかなきゃ。と、いうわけで。お風呂にしようね」 思わずチョコレートの箱を手から落としてしまいそうなほど、自分のダメっぷりに項垂れ。 軍奉行してたんだよ、戦術なんてお手のモノ。 私の考えなんてバレバレ。 景時さんがチョコレートをもらった事を気にしていたこととか。 実際にもらっているのをみたら、それはそれでチョコレートを食べてみたかったのとか。 どのチョコレートが好きかとか。 「今日はどれがいい〜?なんとなく気分は草津の湯」 お風呂にお湯を落としてきたんだろうな。 今日の入浴剤は草津ですか・・・渋いなぁ。 そうだ! 「いいのがあるの。待ってて下さいね」 一矢報いるっていうか。 景時さんならきっと笑ってくれる。 雑貨屋さんで買っておいたアレを取りに部屋へと急ぐ。 「・・・あんかけ?お風呂なのにあんかけ?!うわ〜〜〜、あんかけ!!!」 これでしばらくは大人しくなってくれるかな。 お風呂はのんびりしたいんだもの。 新しいモノ好きの貴方の攻略法、知ってるの。妻ですから! |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ
あとがき:とろみ・・・ちょっと驚きでした。ゼリーも。色々お試し中。 (2008.02.24サイト掲載)