おやゆび姫 ≪望美side≫ たぶん、正しいお話は覚えていない。 だけれど、小さなお姫様が冒険もどきをして、ゴールに妖精の王子様がいた気がする。 おやゆび姫という童話は、シンデレラや白雪姫ほど有名じゃないもんね〜。 知らない人の方が多いかも。 あの写真を見た瞬間、小さな景時さんが可愛いと思った。 それはそれとして、とっさに逆を想像してしまったのは、おかしくなんかないよね? だって─── 「・・・景時さんって、時々ものすっごく恥ずかしいコト普通に言うし、するもん」 異世界のあの時代では、女性を姫とか呼ぶのが普通なのかな〜とか。 ヒノエくんを見ていると、普通っポイけど。 他の人はそうそういってなかったから、やっぱり普通じゃないのかな〜とか。 今となっては確認できないんだけど。 『オレのお姫様だから・・・・・・』 人前でもぎゅぎゅって突然されたり。 すっごく表現豊かっていうか。 とっても大切にしてもらっている自分を自覚する瞬間がたくさんあるっていうか。 「こんな感じだもの・・・・・・」 たった今作ってもらった写真を眺める。 景時さんの手のひらの上で。 あの眼差しで見つめられている小さな私。 本当はとっても小さな小さな私。 景時さんに守られているな〜っていつも思う。 それをとても良く表していて。 「お姫様なんていわれてもくすぐったいだけなんだよね。ただ・・・・・・」 景時さんが“オレの”と言ってくれるから、受け入れられる言葉。 「うふふ。景時さんの馬は黒毛だったけど王子様だもん」 生田で助けに来てくれたの。 逸れた私を見つけてくれた人。 机の上に写真を飾る。 「頑張りますからね?」 景時さんと笑って暮らせるように─── 「ちゃん?」 「は〜い。どうぞ」 ドアがノックされ、ひょっこり景時さんが顔を出す。 「お風呂の準備したんだ。その・・・・・・」 「はい!すぐに私も行きますね」 照れくさそうに、それでいてきちんと言葉にしてくれるから。 私も素直に返せる。 「うん・・・今日はさ・・・その・・・・・・」 「一緒に入りましょう?修行の成果を見てくださいね。こぉ〜んなに大きく出来ますよ」 何がっていうと、水の気を集めた球体作り。 始めはくるくると手のひらサイズで水の気を集めるだけだったんだけど。 最近では自分が入れそうなサイズにまで出来る様になったんだ〜。 「だと思った。そろそろ次の五行に移ろうかなってね」 「ホントに?私ってば水は卒業だ〜」 景時さんに認めてもらえれば本物だよね。 ひとつでも自分で出来る様になったのが嬉しい。 「季節や日によっては違う気がいい場合もあるからね。焦らず覚えようね」 「はいっ!」 焦らないですよ〜だ。 景時さんが丁寧に教えてくれるから、焦る理由がないもん。 考えたら、景時さんって教えるの上手。 先生に向いてると思う。 「景時さん!」 「うわぁっ・・・と。ど、どうかした?」 飛びついてもしっかり抱きとめてくれる。 「何でもないです」 「ん〜〜〜、じゃあ。このままお風呂へ直行」 「え〜〜〜〜」 口ではちょっぴり否定。 ホントは嬉しかったり。 「景時さん。景時さん」 「ん〜〜〜?」 「好きっ」 耳にちゅ〜ってしてみた。 「・・・オレ、お風呂で貧血しそう」 「嘘ばっかり」 鼻歌で楽しそう・・・嬉しそうの方がぴったり。 「嘘じゃないし〜〜。お風呂でたくさんお返しするからね」 「え゛!」 景時さんのお返しは・・・とってもとっても大変な事になりそう。 「お風呂の前にこんな嬉しい事されたら誰でもそうでしょ」 「誰でもって、そんな基準きいたことないですよ〜〜〜?」 私のツッコミじゃいまいち過ぎて景時さんに流されちゃう。 「いいの、いいの」 いいのかなぁ?まぁ・・・いっか! 今日も長風呂でいちゃいちゃしましょうね! |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ
あとがき:童話の記憶は曖昧になっている部分が多くて、読み返して愕然とする時があり(汗) (2007.11.11サイト掲載)