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共鳴 ≪望美side≫ すっごく美味しいご飯にデザート。 ウキウキのワクワクで。 ふと、ここに朔がいたらって思った。 景時さんも、違う意味で朔の事を思い出してるみたい。 今、景時さんも朔のコトを考えてる?─── そう思ったら、ついつい話したくて言っちゃった。 笑ってくれたけど、本当は少しだけしんみり。 朔がいたらと思わずにはいられないことがある。 それだけ私が向こうの世界で朔を頼っていたんだなと、 ちょっとだけ反省しなきゃって。 すっごくじゃなくて、ちょっと。 だって、朔はお姉さんの様な存在だから。 甘えてもいいって、どこかで思ってる。 なんとなくガラスに反射して映る自分たちと、外の風景を 見比べながら時を過ごす。 言葉はなくても伝わるモノって、あると思う。 周囲の雑音が聞えなくなる。 二人の場所だけが別世界みたい。 朔も、同じ星を眺めているのかな? 朔の大好きなお兄ちゃんを連れてきちゃってゴメンね? いつか朔が来たら、朝までおしゃべりをしよう。 すっごく幸せだよって報告もしなきゃだし。 上手になったお料理も褒めてもらって。 可愛い服を選んであげる。 一緒にスイーツ食べまくって。 たくさん楽しい事しなきゃ。 「ちゃん。ドライブしながら帰ろうか」 景時さんがとってもすっきりした顔で微笑んでくれた。 なんとなくほっとして、頷いた。 海岸線を見ながらの帰り道。 もう海は怖くないよ? 後は、早くお家に着かないかな。 景時さんの運転の邪魔しちゃいけないもん。 ・・・この距離が嫌。くっつけないから。 「どうかした?静かだね」 「えっ?そうですか?」 「うん。疲れちゃった?」 ちっとも疲れてなくて。 今日は朝から安心できたから、すっごく学校でも気が楽だったし。 「あの・・・お家に着いたら・・・二人でお茶しませんか?」 わざわざ誘うのも変なんだけど、誘いたかった。 「そうだなぁ・・・少し寒いけだろうけど、屋上で星を見ようか」 「はい!ホットレモネードにしましょう!」 予告通りに家に帰ってまずはお湯を沸かして飲み物を用意した。 「うわ〜〜〜、息が白いね」 「顔がピリピリするぅ〜〜〜。景時さんのお家でもこうでしたね」 「あ〜〜〜、暖をとることに関してはそうかもね〜〜〜」 屋上の温室で景時さんに抱っこされて星を眺める。 風がないだけマシくらい。 手袋にマフラーまでして装備は完璧! 「景時さん!さっきね、景時さんにくっつきたかったの。でも、車では できないでしょ〜?」 「そっか。オレも・・・こうしたかったよ」 横抱きにされてるから、頬をくっつけるのなんて簡単。 「・・・つめた〜い!」 目を合わせると可笑しくて笑う。 外だもん、冷たいのはあたり前だよね。 「離さなければ温かいかも?」 景時さんにすりすりと頬ずりされる。 「うふふ。くっついてるトコあったかぁ〜い」 嬉しくてしっかりしがみつく。 「・・・ちゃん。オレさ・・・・・・」 わかってるもん。言わせてあげないんだから! 「景時さん。あのね、内緒もいいんです。今朝の事だって気にしてないの。 たったひとつだけ守って欲しいのは、景時さんがいなくなるのはダメ」 私をかばってとか。そういうのは困る。 そんなの意味がないよ。 二人でいたいから頑張ったのに。 ううん。いま、頑張ってるのに。 「約束する。それは・・・もちろん。ただ、どんなオレでも・・・・・・」 「好きっ!景時さんになら撃たれていいって、あの時から私は変わってない!」 これは本当のホント。 「もう一度撃たれても、目が覚めた時に景時さんに会えるならいいよ?」 景時さんの顔が見えないけど、思いっきり景時さんの首にしがみついた。 「そんな事しないよ・・・そんな事にならないようにするから」 大きな手で髪を梳かれるのが気持ちよくて。 ついつい離れられなかった。 ホットレモネードの湯気が見えなくなるまで。 景時さんは夜空を見ていた。 私は、景時さんの肩を眺めたり、耳に触ったり。 なんにも話さないけど、それが楽しかったり。 「冷えちゃったね〜。今日も一緒にお風呂に入ろうか?」 「は〜い!修行しなきゃですもんね」 こんなに毎日いるのに、話したいことがあって。 こんなに毎日いるから、言葉がなくてもいいことがあって。 「今日は・・・何色にしますか?」 「オレは登別の湯がいいな〜。水色かなっ」 最近、景時さんたら、温泉入浴剤がお気に入りで。 どれも基本は濁っていて色つきなんだけど、成分が違うらしいの。 「待てよ。別府も・・・・・・」 「毎日入るからそんなに悩まなくても大丈夫ですよ〜?」 本の時と同じで、気になると止まらないみたい。 「よしっ!登別気分で温まろう!!!」 う〜ん。何だか元気さんみたい。 よくわからないけど、よかった。 朔。景時さんは、何でも試したがりで、相変わらずだよ! 散らかさないように、ちゃ〜んと見張ってるから大丈夫だからね。 早く貴女に会いたいです。 |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風の続編風→現代へ
あとがき:“シンパシー”より“共鳴”という文字の方が、心が鳴っているように見えるかな〜と。 (2006.12.18サイト掲載)