枷 「お散歩〜。海が見えたら・・・知盛がソコに居るってことだよね!」 「まあ・・・そういう事になりますね」 朝から元気に小高い丘を登り始める。 どういったわけか機嫌がいい。 休む場所を確保できた事と、知盛の迎えというのが特別に嬉しいらしい。 さらに、知盛からもらった腕輪がモノをいっている。 『これを・・・・・・平氏に仕えるものならば意味はわかるはずだ』 『なあに?』 『いいから・・・してろ。外すな』 知盛が仕事へ向かう時にの腕に嵌められたそれはバングル状で蝶の模様が彫ってある。 装身具の類を預けられるのは、少しばかり特別な感じがする。 時々腕を伸ばしては眺めながら散歩をした。 帰り道、早めに教経の邸へ寄り道をしようと思い立つ。 この辺りについての話も聞きたい。 「さすがに手ぶらは行きにくいよね〜?お花でも・・・あの泉のトコに咲いてたよね!」 「ええっ!?」 らしからぬ気遣いに、譲が口元を手で隠す。 「・・・その反応、嫌だなぁ〜。だってさ、私ってば知盛のお嫁さんで。親戚付合いは大切 じゃない?」 どこからそのような発想が出てきたのか、だったら今までは何だったのか。 (・・・先輩・・・敦盛も親戚です。間違いなく) どんなに気取っても、敦盛の前でも帝の前でもいつも通りだったのだ。 福原にいる親戚にだけいい顔をしても無駄だろうと思われる。 「だって。私がちゃんと知ってるのって、経正さんと忠度さんくらいなんだもん。ところで、 忠度さんって、知盛の何?」 「はぁ〜〜〜〜。先輩に説明できるのは、知盛さんだけだと思いますよ。俺だってそこまで 日本史に、しかも平氏限定で詳しくないです」 一応は歌人として名の通っていた忠度が清盛の弟だというのは知っている。 けれど、それを言うとさらにが混乱するに違いないのだ。 (あの清盛の弟という説明をしてもなぁ・・・・・・) 清盛を見て、どこの子供と言ってのけた人物に説明する気にはなれない。 のんびりと坂を下っていると、妙な気配を感じたが遅かった。 「源氏の神子様が、大した供もつけずに出歩くのは・・・・・・関心しねぇな」 ずらりと二十名程度に取り囲まれ、今から逃げるのも無理な状態になっていた。 「この人が誰か知っているなら通して下さい」 譲がをその背に庇いつつ言い返す。 「・・・先輩。俺が切り込んだら、白龍を連れて走って逃げて下さい」 刀に不慣れな譲を置いて逃げるなどできない。 かといって、この地で白龍の力を使うには、まだ早すぎる。 「譲くん。私も戦うよ」 「先輩!?」 あとの言葉を交わす暇もなく、小さな戦闘が始まってしまった。 「・・・噂はアテになんねぇな!」 激しくに斬りつける賊が呟く。 「冗談!怪我させないように気を使ってあげてるのよっ!!!」 「いてぇっ!」 剣を離して体制を低くし、相手の脛を思い切り蹴り上げる。 再び剣を拾って次の賊へと立ち向かう。 接近戦が苦手な譲の元へ駆け寄ろうとするが、こちらも取り囲まれて身動きが取れない。 「ちょっ・・・いい加減にしてっ!」 数名に手傷を負わせて倒したが、そろそろ腰も限界だ。 が持つ剣はそう軽いモノではない。 「神子!私を・・・私に願いを!」 縛られて転がされている白龍が必死にに向かって叫ぶ。 「白龍!今、助けてあげるから。私は・・・・・・」 足元がふらつき、地面に転がったところを再び賊に襲われてしまう。 「次から次へと・・・もう!可憐な神子様に・・・なにするのよっ!」 「うわぁ!!!」 相手の鳩尾を蹴り上げ、駆け出す。 残念だが、助けを呼ぶしかなさそうである。 (白龍の力は、ここで使うのはダメなんだから!) はまだ自分の力加減と、誰が怨霊で御霊がこの世へ還ってる者か把握していないのだ。 (私の力が暴走したら・・・・・・) 知っている範囲では、経正はこの世界から消えるだろう。 京にいる敦盛が悲しむ。 福原へ来る前に、無理矢理経正宛ての文を書いてもらった時の照れくさそうな表情が過ぎる。 他にも平氏の武将がいるならば、将臣を助け、たちに会うまでの時間を将臣と過ごした 人々が消えるという事になる。 (そんなの・・・ダメだよ。私のためには、この力は使っちゃダメ) 必死に走るが、誰にも出会わない。 慣れない袴に草履で走るのも辛くなってきたところで転んでしまった。 「雨が降りそうだなぁ〜〜〜。あらら。雲が流れちゃってさ」 景時が海を見ながら呟くと、知盛が隣に立った。 「それは、それは。ぜひとも・・・今日はこれで帰りたいものだな」 確かに雲が流れている。 すぐにも降り出しそうな気配に、知盛の口の端が上がる。 雨が降れば仕事は終わりになるからだ。 「だ〜よねぇ〜。・・・将臣くんはドコかな〜〜〜」 ある考えが浮かんだ景時は、誰よりも始めにヒノエが上陸する前に会いたい。 今日は到着出来そうな風向きでないとなれば、他にもしたい事がある。 景時が振り返って将臣を探そうとした時、知盛の肩へと何かが飛び移った。 「え・・・・・・」 「・・・銀か?どうした・・・に!」 確認するより早く、知盛は馬の方へ駆け出している。 「うおいち、うおに遅いよ。・・・・・・うわっ。何?向こうで?」 後から別の式神が景時にぶつかってきた。 うおいちは知盛に飛びつき損ねて、振り返った景時の顔に張り付いている。 顔からうおいちを引き剥がしながら景時も知盛の後を追って走り出す。 「お前等!二人してサボろうとは、いい根性・・・・・・」 走っているのはかなり目立つ。 しかも、長身の二人ともなれば誰でも目に入るというものだ。 将臣がやや離れた位置から怒鳴る。 「将臣君!ちゃんに何かあったみたいなんだ!」 叫び返すと景時は馬へ跨り、邸の方へ砂塵を上げて馬を奔らせた。 先行する知盛の馬の頭部には銀がしがみ付いている。 道案内のつもりなのだろうが、ある程度の行き先はわかっている。 「クソッ・・・今朝の予感か・・・・・・」 何か嫌な気持ちがしたのに、が外出する事を止めなかったのを悔いる。 そんな知盛に景時が必死に追いついてきた。 「とっ・・・知盛殿!少なくとも、人ならば・・・きっ・・・斬らないで!」 手綱を握り締め、必死に叫ぶ。 「・・・クッ、冗談。全部斬り捨ててやるさ」 知盛の呟きが聞えなくても、口の端が少しだけ上がったのが見えたのだ。 景時の言う事は聞かないという証拠でしかない。 「なっ・・・ダメなんだ。それは、ちゃんが嫌がる。オレが術をかけるから、 刀背打ちで・・・・・・じゃないと・・・・・・」 息切れして上手く話せないが、何とか伝えなければと声を上げ続ける。 「・・・チッ・・・・・・銀、もっと上か?」 教経の邸を通り過ぎたが、銀は桜がいないらしく知盛の方を向きはしない。 銃の準備を始めた景時が後ろに遠ざかる気配を感じつつも、手綱を緩めず丘を 駆け上がる。 その時、辺り一帯に景時の銃の音が響いた。 「もぉ〜!袴じゃなければ、もっと動けたのにぃ」 袴だったから腰が安定していたのだ。 袴を恨むのはお門違いだが、確かに走るのには適さない。 「とんだじゃじゃ馬神子様だ・・・・・・女は大人しくが可愛いぜ?」 豊成がゆっくりに近づいてくる。 その後ろには数名の賊たち。 悔しいが倒せるのは剣を突き立てられたらあと一人といったところだろう。 起き上がれなくなったの袴を踏みつけ、馬乗りになる。 「・・・平家の若様を・・・っていうには、色々足りなさそうだなぁ?」 不躾な視線を注ぐ。 いかにも値踏みをしている視線に、の怒りも簡単に頂点に達した。 「色々って何よ、色々って。いいでしょ!アンタみたいな卑怯者に言われたくない!」 何が言いたいかなどわかっている。 女らしさが足りない、色気がない、美しくない、まだ子供、いくらでも思いつく。 「やれ、やれ。別なところがお気に召したのかもしれないしな・・・試させてもらうか」 軽く手首を掴んで剣を取り上げると、の首を絞めながら顔を近づける。 「俺としては特別アンタに恨みはないが・・・アンタがいると不快だという人間は多いんだ」 「・・・っ、けふっ・・・んなの・・・しっ・・・・・・る・・・・・・っ!」 言われなくても知っていると言い返したい。 源平の合戦があった土地で、恨まれない訳がない。 和議が成立したといっても、もとは源氏に組していたというだけで不快だろう。 それぐらいはわかっている。 それでも、にしか出来ない務めを、責任を果たしたいと思ったのだ。 (頭・・・割れそう・・・・・・) 息が出来ない。 必死に首にある手を振り払おうとするが、力が入らない。 諦めたわけではないが、意識が遠退きかけた時に首にかかる手が緩められ首筋に触れられる。 「確かに・・・こんなものがあるようじゃ、神子様らしくはないなぁ?」 「っ、触んないで!」 知盛がつけてくれたシルシの辺りを撫でられ、身震いする。 (・・・こんな熊みたいな男に触られたぁ〜!!!) ムカついても動けないのが今のの状態である。 残された道は龍神の力を使うのみ。 (自分のために使うのヤダよぅ・・・でも・・・・・・それに・・・・・・) 一番の心配は周囲への影響だ。 本気になれば、辺り一帯を浄化できるだけの力が白龍にはある。 ただ、邸近くのこの場所でそれだけの力を使った後の結果が怖い。 考えれば考えるほど、敦盛や経正の顔が思い浮かんでは消える。 「あの中納言殿がねぇ・・・・・・」 「っ・・・!」 首筋に滑りのある感触を感じたが、今は無視することにする。 気持ち悪くても、右手に神経を集中させ続ける。 (半径二十メートルくらいにコントロールできたらいいんだけど・・・・・・) そんな細かな訓練はまだした事がない。 の剣は、もともとが白龍の力を使った具現化だ。 大人しくしているつもりはないが、右の手のひらに力が集まるのを待つ。 「俺が一番に試させてもらうか・・・・・・」 襟元に手がかかった時に、ようやく手のひらに光が見えた。 手首には、今朝知盛につけてもらった腕輪がある。 (あと少し・・・・・・あと少しで・・・・・・ごめんなさい・・・・・・) 心の中で詫びながら、力が溜まるのを待つ。 (ごめん、白龍。呼ばないつもりだったのに・・・・・・無理・・・・・・) 逆鱗を使って戻ってきた。 何度も歴史を繰り返しては戻り、やっと手に入れた今の幸せ。 再び知盛とめぐり合える保証はないのだ。 (私、知盛と生きたいの!!!) 「触るなって、言ったでしょぉぉぉぉ!!!」 力を解放させようとした瞬間に銃声が響き、誰もがその爆音に動きが止まった。 「なんだ?!」 「わっ、わからん」 豊成が仲間を振り返るが、近くで何かが起きている様子はない。 あれだけの音がして何もないのは、反って不気味だ。 (・・・景時・・・さん?) 集めた神気を放ちはぐったの手には、もう龍神の力は宿っていない。 そうこうするうちに蹄の音が近づいてきた。 「知盛!!!」 目にも鮮やかに馬から飛び降りると、取り巻いていた数名の賊を難なく斬り捨てた。 さらに、に跨る男の腹を蹴り上げると、男は腰を抜かして仰向けに転がった。 「ひっ・・・・・・・」 「おいたは良くないな?」 ニヤリと笑うと、軽く豊成の右腕を斬り落とす。 「知盛っ、ダメだよ!そこまですることな・・・・・・」 完全に動けなくなったは、起き上がれないままで叫ぶしかない。 「冗談・・・だろう?・・・を見たならばその眼をも・・・不要だな?」 首こそ取らないが、目を抉り取りそうな知盛の冷笑。 「知盛!ねぇ・・・聞いて?私、生きてるし、そんな・・・・・・」 と目が合った知盛は、軽く首を竦めると今度は豊成の片足を踏みつける。 「逃げられない程度に・・・痛いのは生きている証拠だな」 床を踏むように、豊成の脚を踏みつける。 妙な音がし、豊成が呻きだすが知盛は気にしていないらしい。 爪先で蹴り上げてからの傍へと歩いてきた。 「知盛・・・どうしてあんな・・・・・・」 を抱えあげると、泥を叩いてから髪を手櫛で梳き始める。 「・・・随分とまあ・・・・・・ここは?」 項についている痣が、嫌でも目に入った。 「・・・・・・それは・・・わかんない・・・・・・」 言えば知盛が今度こそ近くに転がっている男を殺してしまうだろう。 項には口づけられてしまったものの、他は無事だ。 考えようによってはそれだけなのだが、それすら言いたくてもいえない。 「わからない・・・か・・・まあ、いい」 抱えなおすと、来た道を普通に歩き出す知盛。 「ちょっ・・・あの・・・あのままじゃ、死んじゃうよ。あの人たち」 「生きてる。いいんだ、後で誰かが片付ける」 実際生きているのだから、十分だろうと思われる。 「ちがっ・・・血が出すぎたら、死んじゃうんだよ?ねぇ・・・・・・」 知盛に片腕で抱えられているには倒れている賊たちが見える。 「・・・さあ?」 まるで止まるつもりは無いらしい。 「さあって、ちょっと!」 知盛の髪を掴んで引っ張っていると、またも蹄の音がした。 「ちゃ〜〜ん!よかった〜、なんとか間に合ったみたいだね」 軽く手綱を引いて馬を止めると、景時がと知盛の前に来た。 「景時さん、あのね、あのね・・・・・・」 知盛がダメなら景時に頼むしかないのだ。 「あ〜っと、その前に。ちゃんも術がかかっちゃってるからね。・・・はい!」 すぐにの前で指を弾いて術を解いた。 何の術がかかっていたのだろうかと首をかしげていると、景時がある方向を指差す。 つられて指先のさらに先へと視線を向ければ、辺りに血飛沫はない。 そして─── 「腕・・・離れてない・・・・・・」 知盛が腕を斬り落としたように見えた豊成の腕は繋がっている。 「えっ?え〜〜?何?どうして?知盛、何したの?」 の問いに知盛は返事をしない。 「・・・譲は?」 途中で見捨てた譲と白龍について思い出し、景時に確認を入れる。 「あ、うん。もちろん譲君も白龍も無事。向こうは将臣君たちに任せてあるんだ。もうすぐ こっちに来るんじゃないかな」 景時の言葉通りに、今度は複数の蹄の音の後、将臣を先頭に経正と彼の部下数名がやって来た。 「〜、無事だな?よし!」 の無事は確認したものの、知盛は機嫌の悪さを周囲にばら撒いている。 「・・・んだよ、知盛。間に合ったんだろう?」 の泥だらけの様子を見るにつけ、ギリギリだったのだと思わざる得ないが命はあるのだ。 「神子様、ご無事で」 経正は手で部下達へ下手人の捕縛を指示しながら、の前へ跪く。 「申し訳ございませんでした。福原での不手際、すべての咎は私にあります」 「そうだな。その通りだ」 ではなく、知盛が間髪いれずに返事をする。 「・・・知盛は黙ってて。あの・・・大丈夫です。その・・・泥んこだけど、顔なんてぐっちゃ ぐちゃだけど元気です」 の方が経正と目を合わせ難い。 あの一瞬とはいえ、すべてを犠牲にしても知盛との生活を選んでしまったのだ。 (・・・ごめんなさい、経正さん。・・・敦盛さん・・・・・・) 「ウザイよ・・・・・・退け」 将臣たちを無視して歩き出す知盛。 久しぶりに見た知盛の冷たい視線に、将臣はこれ以上話しかけるのを諦めた。 「で?これ・・・じゃねぇだろうなぁ〜」 「うん。違うね。別件だと思うよ。ただね・・・・・・」 遠ざかる知盛の背中と、すっかり知盛へ体を預けているの頭部を眺めている景時。 「・・・ただ・・・なんだよ」 「ん〜?ひとつ、ふたつじゃ済まなさそうだね〜と思ってね」 将臣の首が思いっきり項垂れた。 「・・・いくつあるんだっての・・・・・・経正。もういいから立てよ。知盛の機嫌ならが なんとかするから」 まだ膝をついていた経正の背を軽く叩く将臣。 「されど・・・神子様は・・・・・・」 「ああ。あんな状態でも他を心配してたなら・・・大丈夫だろ。で?譲は打撲で済んだのか?」 景時が到着した時には、残り三人の賊に面白がって袋叩きにされていた。 銃声で賊たちは放心していたので片付けるのは容易かったが、それまでひとりで頑張っていたのだ。 ひたすらに詫びる言葉を言いながら邸へ運ばれていった譲。 「腕はいいけど、顔が相当腫れそうだね、明日には」 怪我は利き腕と反対、なおかつ、折れていなかったのは幸いである。 思ったより早く治るだろうが、顔の方が酷そうだ。 「顔ね。顔は・・・箔が付くっていうもんだ、男はな」 さすがに殴り合いの兄弟喧嘩はそうそうした事はないが、まったく無かったわけでもない。 「いや〜、箔って・・・弁慶の傷薬で治ればいいんだけど。で?とりあえず牢かな?」 捕らえた豊成以下かなりの賊たちは、相手がだったから生きながらえたのだが、簡単に断罪 出来ない事情があるのだ。 「ああ。知盛にも・・・チッ。面倒くせ〜〜〜」 頭をかきむしると、しゃがみ込む将臣。 「まあ、まあ。ちょっと思いついたコトがあるからさ、試してみようかな〜ってね」 将臣が景時を見上げる。 「・・・・・・そっちは任せた。俺は・・・知盛に寝首を掻かれないようにしねぇとな」 首の辺りを撫でながら、息を大きく吐き出す将臣。 「あはは〜。何だか笑えない冗談になってるよ、将臣君」 初めて得た何よりも大切なモノを傷つけられたのだ。 怒りがどこへ向かうかなど、本人でさえわからないかもしれない。 「まあな。経正!行くぞ。俺たちはこれ片付けたら持ち場に戻る。景時は邸へ行ってくれ」 「御意〜〜〜。雨が降り出しちゃって、空は真っ暗、服も真っ黒だしね」 土が泥になって足場が相当悪くなってきている。 知盛が乗り捨てた馬と自分の馬を引きながら、景時も邸を目指した。 (銀の方が先に知盛殿のところへ来るなんてね。それより───) 怨霊の気配が無い、どちらかといえば清浄なこの地で人が操られるという事はない。 (こりゃ・・・知盛殿絡みか・・・な?) 単純にが邪魔ならば、今までにいくらでも機会があった。 なぜ今日でなければいけなかったのが、事件を解く鍵になりそうである。 「あっちも、こっちも忙しいね〜。お兄ちゃんは頑張りますよ〜ってね!」 の心中を考えればそうのん気に構えていられないが、すべては未遂で終わったのだ。 雨足が見えるほどに降り出した福原。涙雨─── |
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あとがき:氷輪が書くのでヌルイです。だって、幸せじゃないの嫌なんですもん。 (2006.08.15サイト掲載)