幸福





 京で本当の幸福を手に入れた。
 あ〜、毎日楽しい。
 面倒な仕事も残ってるけど。
 今まで色々隠し事したりしていた痛みなんて、
 どこへ行っちゃったんだろう?
 あのギシギシという音も止んだ。
 ちゃんが、全部解き放ってくれた・・・・・・

 一緒に暮らしてはいるけど。
 彼女は来月までは許婚。
 それでも、家に帰るのが楽しい。
 お帰りなさいって彼女の口から聞くとね〜。
 心の中で握り拳って感じ。
 逆に朝は辛いんだよ。
 行きたくない。
 それでも、行かないと心配させちゃうから行く。
 仕事は早いよ、オレ。
 出来るだけ自邸にいたいから。
 
 この前は心臓が止まった。
 御所からの帰りだったかな。
 ちゃんが、供も付けずに一人で歩いていた。
 彼女の立場は、彼女が考えるより大きいものなんだ。
 オレの嫁さんになるというより、
 龍神の神子が源氏の嫁になるっていう意味がある。
 利用しようとする、悪い輩がいないとはいえない。
 オレより先に、九郎が激怒してた。
 まあ、九郎の気持ちもわかるしね。
 西国を任されてるんだ。
 そこで不祥事があったら困るよね。
 ましてや、頼朝様にオレとちゃんの婚儀をとりなして
くれたのは九郎だし。
 オレがリズ先生に護衛を頼んでいることは誰にも内緒だし。
 ここは、ちゃんには申し訳ないけど。
 お説教を聞いてもらった。
 
 ちゃんと自邸へ戻ってから、
 どう説明しようか考えていたら。
 彼女の方から謝られた。
 まただ。ちゃんは優しい。
 オレに言わせない為に・・・・・・
 閉じ込めたいわけじゃないからね?
 君が心配なんだ。

 この幸せは誰にも邪魔させない。
 彼女はオレが守る。
 悪いけど、彼女に式神つけるんだ。
 いつでも、どこでも駆けつけるから。
 密かに修行して、陰陽術の腕が上がったしね〜。

 オレの今の野望はね。
 ちゃんの膝枕で毎日昼寝すること。
 これってすごいよね〜。
 平和じゃなきゃ出来ない事でしょ?
 欲張りだけど。
 幸福は大きくなるものなんだって彼女は言う。
 好きは増えるんだって。
 だから・・・いいよね?





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≪景時×神子に30のお題≫からお題拝借。お題元はコチラからどうぞ。

 あとがき:景時くん、幸せだねぇ。野望が小さくて、彼らしい(笑)     (2005.2.19サイト掲載)




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