花火





 熊野の道程は。
 きつかったと思う。
 特に女の子には。
 九郎たちはさくさく歩いていっちゃうけど。
 夏の日差しに加え、険しい山道。
 朔とちゃんが、とにかく心配だったよ〜。

 途中軽口を言うと、朔には叱られたけどさ。
 だいたい、二人とも会話が減ってたんだよ?
 気がついてる?
 話せない位へばってたって。

 ずっと考えていたことを試す、いい機会だと思った。
 ちゃんに笑って欲しい。
 でもさ〜、ひとりなんて誘えないよ。
 あ〜、オレの小心者。
 皆を誘った。
 
 もともと幻術を色々応用してみたかったんだ。
 晴れているのに霧を出すとか。
 逃げるのに便利そうでしょ?
 それじゃ喜んでもらえないから。
 夜空に光を放つ方を。
 近くに放てば目潰し。
 空に放てば、相手の気を反らせられるでしょ?
 もともとは戦用の思いつきなんだけど。
 夜空の星を見ていたら、花にしたら喜ぶかなって。

 ちゃんの世界にも、花火って名前であるらしい。
 おしいな〜。
 知ってたんだ、こういうの。
 でも、すっごい喜んでくれた。
 よかった〜〜〜、失敗しないで。





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≪景時×神子に30のお題≫からお題拝借。お題元はコチラからどうぞ。

 あとがき:ちょっと浮かれ気味風。小心者はひとりを誘えないところ。見栄っ張りは、失敗した時の保険に仲間を呼ぶ辺り。かな?   (2005.2サイト掲載)




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