洗濯





 洗濯は、いいよね〜。
 武士なのに洗濯してるの変だって?
 いいんだよ、オレがしたいんだから。

 本当は、オレを育ててくれた乳母がしてたから。

 オレね、武芸の才能なくてね。
 父上に稽古をつけてもらっては、ボロボロで。
 よく乳母のところに来ては、隠れて泣いてたんだ。

 こうして考えてみると、乳母は変な人だったな。
 普通泣くなって言うよね。
 彼女は言わなかった・・・・・・

 痛いのは、本人しかわからないからって。
 同じ痛みでも、違う人にとっては些細なことかもしれないし。
 逆に、とても痛いのかもしれないじゃないかって。
 変な理屈だよねえ。
 まぁ、子供だったからね。
 泣いてもいい場所を見つけた・・・くらいの。

 ただ泣きに来るのも芸がないでしょ?
 そのうち乳母を手伝いだしたんだ。
 乳母も最初は駄目だってオレを叱ったけど。
 跡取が下働きの仕事なんて!って。
 最後は、泣くよりいいかって諦めたみたいだったね。

 だから、洗濯はオレの悔しい気持ちとか。
 色々なモノを洗い流せるみたいな気がして・・・・・・
 うん。好きなんだよね。

 今じゃホントに趣味になってるけどさ。
 ───こんな秘密書いていいのかな・・・・・・





Copyright © 2005- 〜Heavenly Blue〜 氷輪  All rights reserved.


≪景時×神子に30のお題≫からお題拝借。お題元はコチラからどうぞ。

 あとがき:どこで洗濯覚えたのって思っていまして。捏造しすぎ?!     (2005.2サイト掲載)




夢小説メニューページへもどる