月夜に見る夢 ≪景時side≫ 予定通り夕方に目的地へ到着。 よかった〜。 暗くなったら物騒だからね。 元気にご飯を食べるちゃん。 実に気持ちがいい。 もう世話人の老夫婦とも打解けている。 すごいね。 君の周りは日に照らされているように明るい。 ちゃんがお風呂に入っている間に用事を済ませる。 庭に向って声をかけた。 「リズ先生〜?」 お手数おかけしました・・・・・・と、ここは素直に詫びる。 盃を渡し、酌をする。 リズ先生には、いつもちゃんを護衛してもらってて。 今回の事は、脱出する時に式神を使ってお知らせした。 万が一、九郎にバレたら全員にバレちゃうし。 既にこの辺りを探索してくれてて。 オレの結界で大丈夫だろうって。 あ〜、いい人だ。しかも出来る男だ。こうありたいね。 頼む前にこちらの気持ちなんてお見通しで。 オレもリズ先生が気にしているだろう事を告げた。 「九郎たちには、宴が終った頃に朔と譲君が種明かしの予定です」 リズ先生の目が笑ってた。 「九郎もまだまだだな・・・・・・」 う〜ん。九郎への稽古が厳しくなったらどうしよう。 オレの所為じゃないよね。九郎の修行不足ってことにしよう。 リズ先生は、緊急時以外は姿を現さないといって消えた。 ご飯とか、どうしているんだろう・・・・・・ 外を見れば月が輝いていた。半分の月。 ちゃんの世界に繋がっているのかな? 竹取物語ではさ、月の住人の姫ってなってるし。 龍神の神子の記録かとも考えている。 先代の龍神の神子も異世界の人だったらしい。 その後、帰れたのか。帰れずに残ったのか。 帰らないという選択肢もある。 戦が多かったのと、星の一族の直系の子孫が居ないので。 記録がとにかく残っていない。 オレなりに伝手を頼って調べている。 気になるよ。 突然ちゃんが帰る日が来るとか考えたくない。 ちゃんがオレに寄りかかって座った。 温かい事が嬉しいのに。 君が月を見ているのは、あの向こうに君の世界があるから? 顔に出ていたのかな。聞く前に言われちゃった。 月には何もないらしい。そっか。心配いらないね。 冷えてきたから寝ようね。 ちゃんは、温かかった。 |
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≪景時×神子に30のお題≫の続編風で
あとがき:“異世界”って何処よ?と単純に思うのですよ。火星人いなかったし(笑) (2005.4.5サイト掲載)