松と桜は・・・  ≪景時side≫





 今日はさ。
 ちゃんの着物が届く日で。
 早く帰りたいってお願いしてたのに。
 ・・・・・・嫌がらせなわけ?
 急使が来てさぁ。
 大宰府辺りで、また揉め事。
 何もこんな時に書状なんて届けてくれなくていいのに。

 大宰府は、平氏に組した勢力が数多く残っている。
 またね、あそこは交易拠点でもあるから。
 面倒が起きやすいといえば、起きやすい場所なんだ。
 でも!
 それなりに落ち着いてきてたじゃないの〜〜〜。
 やめてよね、ほんと。
 
 そんな理由で。
 兵を送る手配とか。物資の確保とか。
 仕事してたら、帰りが遅くなった。

 ちゃんが「お帰りなさい」って言ってくれても。
 機嫌直んないよ。
 みたかったもん、裳唐衣のちゃん。
「着てみたの?」って聞いたらさ。
「はいvすっごい可愛いピンクのグラデでしたよぅ」って。
 満面の笑みで答えられた。
 何て返事したかも覚えていないくらい、内心凹んだ。



 またもちゃんに救われたけどね。
「直垂着てみないんですか?きっと格好いいですよぅ」だって!
 しかもね。
「松葉色ですよね〜、朔が言ってました。似合いますよ〜」
 さらにね。
「緑と桃色って、ふんわりいい感じですよね〜。桜色に近いかな?
朔は紅梅の重ねって言ってました」って頭撫でてもらった。
 あ!膝枕してくれてたからね。
 緑と桃色。ちょっと深い緑なんだけどさ、松葉色って。
「紅梅と松葉かぁ・・・おめでたい色なんだよねぇ・・・・・・」
「えっ!じゃあ良い事いっぱいで。いっぱい幸せですねv」って。
 すごい。ヤラレタ。完敗。なんて前向きなんだろう。
「だね〜〜すごいねオレたち」
 ちゃっかりちゃんをぎゅむぎゅむに抱きしめた。
 
 これから良い事いっぱい───
 そうだね。そう考えなきゃ!





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≪景時×神子に30のお題≫の続編風で

 あとがき:常緑樹なので、松は縁起物なのですよね。また梅も新年の色ですし。実にわかりやすいぞ、日本(笑)     (2005.3.30サイト掲載)




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